かませですが、なにか?   作:酒井悠人

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3 修行する幼児って想像したらシュール

 集中し、襲ってきた眠気に抵抗する。

 時刻は夜。城の人々は寝静まっている。侍女も眠っているようだ。

 

 こんな時間に何をするかというと、もちろん修行だ。

 

 昼間は人の目が多くて修行がしづらい。筋トレをする赤ん坊とかもはやホラーだし、魔力操作も、それなりの実力者なら見ればわかってしまうからだ。

 

 なので、昼間に使えるのは演算処理や感知、五感強化などの情報に関するスキルなどに限られるため、俺は昼間は合間合間に情報系のスキルを鍛え、本格的な修行は夜間に行うことにしている。

 

 では早速、今日の修行を始める。

 

 まずは体の内側に意識を向けて、そこにある魔力を認識する。

 とろみのある液体のようなそのエネルギーを動かし、血液のように体を循環させる。

 速く、滑らかに、繊細に。

 

 魔力操作は基本にして奥義だ。高度な魔法を発動するのには、高い魔力操作技術を必要とする。

 そしてシステムから外れた純正の『魔術』を使うには、システムサポートに頼らずに、システムに省略されてない全工程を自力で行わなけらばならず、それを実戦で使うには、()()()()魔力操作のスキルがカンストするレベルの魔力操作技術がいる。

 

 俺には蜘蛛子ほどの才能は無いが、毎日鍛錬を続けた結果、スキルのサポートもあって、かなりのものになった。

 

 続けて魔闘法を発動。

 魔闘法はMPを消費してステータスを上げるスキルで、それにより貧弱な子供の体が強化される。

 

 俺は魔闘法を維持したまま、ベッドから抜け出し床のカーペットに降りた。

 

 しばらく柔軟体操を行ったのちに、王子のブルジョワな広い部屋で、トレーニングを始める。

 

 できるだけ足音を立てないように、部屋の中を走る。

 加速と減速を繰り返し、短距離走と持久走を繰り返す。

 

 これによって、瞬発力と持久力を同時に鍛える。

 まあ、元が幼児の体なので「とててててて」って感じだが。

 

 それでも、強化されたステータスは幼児ではありえないレベルの運動を可能とする。

 地球人がこの光景を見たら自分の目を疑うだろう。

 

 しばらくの間走ったら、筋トレを行う。

 普通の子供ならできないような筋トレも、魔闘法で強化されている状態なら可能になる。

 腹筋、腕立て伏せ、スクワット、背筋と、全身の筋肉を満遍なく鍛える。

 

「はあっ、ふっ、やあっ!」

 

 これらの鍛錬を、死ぬよりも少し手前まで、何度も、何度も、何度も繰り返す。

 体が壊れても取得したHP自動回復のスキルによって修復される。

 

 これも元が弱すぎてあまりたくさんはできないが、それでもステータスは順調に伸びている。

 

 MPとSPが切れる寸前までトレーニングをしたら、ベッドによじ上る。

 

「がひゅっ、ごひゅっ、ひゅうっ、ひゅうっ」

 

 荒い息を整え、酸素を供給する。

 俺の幼児ボディは悲鳴をあげている。呼吸音もヤバイことになっているし、くったくただ。

 

 だが、そのおかげか、ステータスとスキルはかなり伸びている。

 ステータスは幼少期によく伸びる。原作では ソフィア(根岸障子)も、幼女の頃からの蜘蛛ん式教育によって、ステータスとスキルを凄まじく伸ばしている。

 俺には蜘蛛ん式のサポートは無いが、ソフィアやシュレインよりも早くトレーニングを始めているため、体感ではかなりステータスが伸びている。

 

 すごくきついが、心が折れそうになるたびに死の恐怖を思い出す。

 俺は死にたくない。何としてでも生き残る。その思いを燃やして鍛え続ける。

 

 幼少期の間にどれほど鍛えられるかが分かれ目になる。

 

 これからも頑張ろう。

 

 

 

 

 

 ちなみに、検証中に判明したのだが、並列思考のスキルをすっ飛ばして、上位スキルの並列意思をいつのまにか取得していた。

 

 並列意思は、魂を分割し、人格を複数に分けるスキルで、発動すると、自分が何人もいるかのような錯覚に陥る。

 

 並列意思を使えば、肉体の鍛錬を行いながら魔法を使うこともできるし、複数の魔法の同時発動や、本来なら多人数で行使する大規模な魔法も単独で発動することができる。

 

 おそらく、■■■■と夏目健吾が融合した時に獲得したんだと思う。

 原作でカティア(大島叶多)は、TSによる精神分裂が起こった時に、並列意思のスキルを獲得していた。

 この推測はそんなに間違っていないと思う。

 

 修行中には並列意思を同調し、処理能力を大幅に向上させて、スキル上げの効率を上げている。

 

 このスキルはほとんどの間常時発動しているため、スキルレベルが上昇している。

 そのため、演算処理のスキルも合わさって、俺の演算能力はなんかヤバイことになっている。

 

 だが、魔法や魔術を使うには、演算能力はいくらあっても過剰なんていうことは無いから、この調子で演算能力をインフレさせていこうと思う。

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