かませですが、なにか?   作:酒井悠人

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6 俺はドMじゃねぇ!

 魔法スキルを取得する方法だが、スキルポイントを消費する方法の他に、魔法スキルが込められた魔道具を使う方法がある。

 

 この魔道具は、魔力を込めるだけで魔法を発動できるという代物だが、かなり高価で、一部の貴族や金持ちしか持ってない。

 

 俺は帝国の王子なので当然手に入る。

 

 本来は魔法は然るべき年齢になるまでは使ってはいけないというルールがあるのだが、それまで待つことはできない。

 

 俺は周りの人間に()()()することで、なんとか魔道具を使うことができるようになった。

 

 俺はレングザント帝国の王子であり、巨大な権力を持つことに加え、そこらの人族よりもステータスが高いから、誰も俺に逆らえない。やりたい放題だ。

 

 少し寂しさをを感じたが、俺は使えるものは使うことに決めた。

 

 そうして手に入った魔道具を使って魔法を撃ちまくり、一部を除いた大体の属性の魔法スキルを取得することができた。

 

 

 

 

 

 原作で蜘蛛子(主人公)が行った修行に、自分に攻撃魔法を撃ち込むというものがある。

 一見頭おかしいように感じる、いや、実際頭おかしい修行法だが、効果はある。

 

 同属性の魔法やスキルを使うと、その属性の耐性が上がる。

 だが、その上昇率はかなり微々たるもので、一番効率のいい耐性スキルの鍛え方は、その属性の攻撃を受けることだ。

 

 なので、自分で自分に攻撃魔法を撃つことで、その属性の魔法スキルと耐性スキルを同時に鍛えることができる。

 

 うん。解説してみてもやっぱり頭がおかしい。

 

 攻撃魔法は攻撃するための魔法。それを自分に打ち込んで耐性を鍛えるのは大きな苦痛を伴う狂った方法だ。

 

 けれど、()()()()()()()()の努力なら誰でもしている。

 もっと強くなりたいならば、頭のおかしい、狂気的な鍛錬を積まなければならない。

 

 鑑定の儀で見た俺のステータスは、原作の俺よりも遥かに高いだろう。

 だが、蜘蛛子(主人公)はもちろん、ソフィアの方がおそらく強い。

 

 足りない。

 俺はまだ甘かった。

 運命を乗り越えたいのなら、強くなりたいのなら、修羅にならなければならない。

 

 覚悟完了し、火魔法を自分に撃ち込んだ。

 

「んぎぃっ……ぎいあああああっ……!!!」

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『火耐性LV1』を獲得しました》

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『痛覚軽減LV1』が『痛覚軽減LV2』になりました》

 

 俺は無様に倒れ、のたうち回った。

 

「がっ……うがぁ……」

 

 肌が焼ける。

 体が悲鳴をあげる。

 生命の危険に魂が恐怖を感じる。

 

「あ、ああ……」

 

 少ししたら、HP自動回復のスキルの効果で、減ったHPが回復し、痛みが引いてきた。

 

 けれど、俺の心は折れそうだ。

 苦しかった。やっぱり蜘蛛子(主人公)は異常で、俺の心はとても弱い。

 

 強くなるのを諦めて、何もかも放り出してしまいたくなった。

 

「ああ、でも……」

 

 ここで諦めたら、きっと後悔する。

 原作と同じように無様に死ぬのはもっと怖い。

 

 死んで、融合して、生まれ変わって、怖くなって……それで憧れた。

 

 俺は誇り高く生きたい。

 

「……頑張ろう」

 

 心を奮い立たせ、再び魔法を自分に撃ち込む。

 苦しいが、俺は魔法を撃ち続ける。

 

 俺はもう、諦めない。

 

 

 

 

 

 ……あ、やべ、魔法の制御ミスった。

 

「ぎゃああああああああああ!」

 

 ……やっぱ止めようかな。

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