ある日、しいたけの散歩中に事故に遭いかけその際に頭を打って、千歌は一年間の記憶を失う。
Aqoursのみんなはどうにか記憶を戻そうと行動を起こす。
ただ単に振り返るおはなし?

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WONDERFUL MEMORIES

「よし!書けた!」

 

ラブライブで優勝した日。私はずっと探し続けていた輝きを見つけることができた。そして、そのおかげか新しい曲の歌詞が思い付いた。

ラブライブが終わって、果南ちゃんたちはもう卒業するから、みんなでこの曲を歌うことは無いけど。それに、歌詞があっても作曲も振り付けもしてないから無理だしね。

でも、見つけたこの輝きを形に残しておきたかったから、まぁいいかな?

 

「千歌ちゃん、しいたけの散歩お願い」

「はーい」

 

志満姉に言われて私は返事をすると、歌詞を書いた紙を歌詞ノートの上に置いて机の引き出しを閉めて部屋を出た。

いつもは美渡姉が行ってるんだけど、今日は仕事の関係で家にいないから代わりにね。それに、練習で最近行けてなかったし、今日は練習もなかったから良かったかな?

 

「行くよ、しいたけ」

『わふっ』

 

リードを付けると一緒に歩き出す。しいたけは基本のんびりだから私の前にグイグイ進むようなことは無く、私の歩調に合わせて隣を歩く。

のんびりと浦女の方に向かって歩き、浦女前の坂に差し掛かる。

もうすぐ廃校になるから、この坂を上るのもあと数回なんだよなぁ。廃校になってからもしいたけの散歩とかでなんだかんだでここには来そうだけど。

そんなことを考えながら坂を上り、

 

『ワンッ!』

「わっ!……え?」

 

しいたけがいきなり吠えた。いきなりの事で驚き、どうして吠えたのかという疑問を持つもすぐにわかった。前からあり得ない速度で車が迫って来ていた。普通じゃない速度だからしいたけは不審に思ったのか、それとも動物の勘なのかわからないけど、危険を知らせてくれた訳だから私たちは道の端っこに寄る。しかし、車は回避しようとした私たちの方に方向が逸れた。

私の視界に映るのは、運転席でハンドルにもたれるように倒れている女性と、私に向かって跳びかかるしいたけの姿。

 

『ワンッ!』

「きゃっ!」

ドンッ!

 

 

~☆~

 

 

「ん、ん~」

「千歌ちゃん!」

「千歌!」

「わっ!よーちゃん!果南ちゃん!」

 

目を覚ますと、そこは白い天井に白い壁と病院のようだった。私はベッドの上に寝ていて、よーちゃんと果南ちゃんがいきなり抱きついてきた。いきなりの事で驚きなのと、どうして私はこんなところに居るのかわからない。あと、私の記憶よりも二人とも身体が成長してるような?あっ、私もなんだか背が伸びてるような気がするかも。

そして、病室には他に六人の知らない人がいた。何人かは何処かで見たことがあるような気もするけど。私が目を覚ましたことに対して全員安堵の表情をしていた。

 

「えーと、チカはどうして病院にいるの?」

「覚えてない?しいたけの散歩中に千歌ちゃん、車に轢かれかけたんだよ。どうにか轢かれずに済んだけどその時に転倒して頭を打って気を失ってたんだよ」

「うん。それで、しいたけが助けを呼んでくれたんだよ。そのおかげですぐに千歌は病院に運ばれたって訳」

「そうだったんだ」

 

うーん、しいたけの散歩ねー。確かに美渡姉と日によって代わる代わる行ってるからね。特に大きな怪我はなく、少し擦りむいた程度らしい。意識がなかったから念のために入院してるけど。

私を引きかけた車の運転手は、運転の途中で発作が起きて意識を失っていたらしく、そんな状態でアクセルが踏まれていたことで今回のことが起きたらしかった。車はガードレールに突っ込んで止まったらしく、その人もこの病院にいるだとか。

 

「でも、大きな怪我もなくてよかった。それに見た感じ特に異常も後遺症も無さそうだし」

「そうね。千歌っちが無事でなによりよ」

「千歌ちゃんが病院に運ばれたって聞いた時は驚いたけど、大きな怪我はなくてよかった」

 

みんなはそう言って、私の無事に安堵していた。どうやらけっこう心配をかけちゃったみたい。

帰ったらしいたけにお礼を言わないとね。

さて、そろそろ。

 

「ところで果南ちゃん、よーちゃん」

「ん?どうしたの?」

「こちらの六人は誰?」

「え?」

 

千歌ちゃん、千歌っちと私のことを知ってるみたいの六人。名字呼びでもないし、それなりに向こうは私のことを知ってるみたいだけど、私にはさっぱり。何処かで会ったかな?

 

「それと、二人とも背伸びた?もしかして、長い間チカ眠ってた?」

「え?いや、一日しか経ってないけど」

「そっか。うーん。でも、二人とも背伸びてるような?」

 

一日しか経っていないのに、二人は一年くらい経ってそうな感じだけど……どうしてだろ?

 

「……もしかして」

「花丸、何かわかったの?」

 

すると、花丸と呼ばれた茶色い髪の子が小さく呟き、みんなの視線が向く。

 

「まだ確証はないけど。ねぇ、千歌ちゃん。マルの名前わかる?」

「名前?ごめんなさい。わからない」

「そっか。じゃぁ、千歌ちゃんがわかるのは曜ちゃんと果南ちゃんだけ?」

「うん」

「……じゃぁ、最後に。千歌ちゃん、今何年生?」

 

残念ながら二人以外のことはわからず、素直に答えると今千歌が何年生なのか聞かれた。なんで、そんなこと聞くんだろ?よーちゃんたちに聞けばいいのに。

 

「もちろん、高校一年生だよ!あっ、でも、もうすぐ高校二年生か。あれ?そう言えば、果南ちゃんはお店大丈夫なの?休学してお店の仕事中じゃ?まだ明るいし仕事の時間だよね?」

「え?」

「……やっぱり」

「嘘……てことは」

 

私の返答が意外だったのかよーちゃんたちは驚いた表情をする。そして、何人かは何か気付いたような反応だった。どうかしたのかな?

 

「……記憶喪失」

「見た感じここ一年の記憶が無いみたいですわね」

「だね。私が休学してる発言と皆を知らないってことはそういうことみたい」

 

私の記憶が無い?どういうこと?

 

「記憶が無い?まっさかー。そんなドラマみたいなこと……」

「いや、そのまさかよ。そうとしか考えられないわ」

 

にわかに信じられないけど、そういうことらしい。まさか、そんなことになるとは。

その後、ここ一年であったことを聞いた。

みんなの自己紹介から始まり、私がスクールアイドルに興味を持って、この九人でスクールアイドルをやったこと。夏のラブライブという大会では予選敗退したこと。この前の冬のラブライブでは優勝したこと。浦女が廃校になること。

 

「嘘……」

 

私がスクールアイドルというのをやっていたのも驚きだけど、浦女が廃校になるのは信じられなかった。確かに人数は少ないけど、廃校になるとは思ってもみなかった。

そして、それらの話を聞いても記憶が戻ることは無かった。

 

 

~☆~

 

 

「千歌ちゃん、どう?」

 

検査の結果、頭を打った衝撃で記憶が欠損したが、それ以外は特に異常が見られないという事で私は退院した。

家はあの頃と全く変わってなくて、志満姉も美渡姉もお母さんもお父さんも、私の記憶が欠けているということですごく心配してくれた。十千万の中をうろうろして見たり、しいたけをモフモフしたり、話を聞いても記憶は戻らなかったけど……。

翌日、というか今日は授業があるという事で浦女に来ていた。一年分の記憶が無いから授業にはついて行けないけど、記憶が無いという事で当てられることは無く、とりあえず板書をノートに写して過ごした。

クラスの皆は心配してくれたけど、浦女に来ても記憶が戻る気配もない。

放課後になると浦女の中を回ってみた。もしかしたら、記憶が戻る何かがあるかもしれないから。

よーちゃんと梨子ちゃん(桜内さんって呼んだら、名前で呼んでと言われた)の二人と一緒に見て回る。ぞろぞろと歩くのは変だから三人でいて、皆はインターネットや本で記憶を戻す方法を探してくれている。

最初はスクールアイドル部の部室に来ていた。二人が言うには、浦女の中だと記憶が戻る可能性が高い場所の一つだったらしい。

 

【千歌ちゃん、歌詞は?】

【あはは】

【はい。私たちの入部届ね】

【ここの振りはこうの方がいいかな?】

 

部室に入った瞬間、どこか安心する感覚を覚えた。それと同時に少しだけ脳裏に映る光景。怒った梨子ちゃんや果南ちゃんたち三人がAqoursに加わった時、九人そろって振付を確認している光景だった。

 

「なんだろ?少し記憶が……でも、ほんのちょっとだけで、ほとんど思い出せないや」

「そっか。でも、ほんの少しでもあったってことは、希望はあるね」

「うーん、確かに良かったけど、完全には無理かー。一番可能性があったのに」

 

私の反応にうれしさ半分、残念さ半分といった感じだった。私自身そんな感じだけど。

 

「千歌ちゃんが“部”を間違えて“陪”って書いちゃったんだよね」

「えー、流石にチカはそんな間違いはしないよぉ」

「ふふっ。でも、現にそうなってるけどね」

 

もしかしたら部室で何かすれば何かしらあるかもという事でここであったことを聞いたり、物に触ってみた。でも、それ以上記憶に何かが起こることは無かった。まぁ、閉校準備のために、私物は持ち帰り始めて物が減ってるから引っかかりが少なくなってるのも原因かもだけど。

まだまだ思い出の場所はあるらしいから、部室以外の場所にも行ってみることにした。

 

 

「――まぁ、だからそのまま使い続けてるんだよね。と言う訳で着いたよ」

 

続いてはスクールアイドルの練習をするときは屋上していたらしく、だから屋上に向かっていた。

雨の日には練習ができないという欠点があるけど、練習できる場所がなかったのと、その頃憧れていたµ’sというスクールアイドルが屋上で練習していたから、それでここでやったらしい。

そんな話を聞きながら屋上に着くと、視界には海と富士山が見え、直後私の頭にまた少しだけ光景が映る。

 

【1,2,3,4.1,2,3,4】

【うぅ、暑い~】

【浦の星の名前を残して見せる!】

 

でも、部室の時と一緒でほんの少しだけだった。屋上には一年の頃から時々お弁当を食べに来たりしていて、そんな訳で見慣れた光景。

 

「よくぞ来ましたね」

「あれ?ヨハネちゃん?」

 

すると、屋上の中心にヨハネちゃんがいて、私たちを見るとそんなことを言った。ヨハネちゃんは黒いローブを身に付けていて、足元に敷かれた黒い布とその上に蝋燭が並べられていた。

 

「うーん、何故か違和感」

「みんなスルーしてたもんね」

「あれ?梨子ちゃんは時々ヨハネちゃん呼びじゃなかった?あと、よっちゃん呼びも」

「なんのこと?よっちゃんなんて呼んだことも無いけど」

 

ヨハネちゃん呼びはあまり浸透していないらしく、二人は首を傾げていた。最初は善子ちゃんって呼んだんだけどヨハネって呼んで欲しかったらしく、だからそう呼んでいる。一応、記憶を無くす前は善子ちゃんって呼んでいたらしいけど。

 

「それで、何してるの?」

「もちろん、千歌の記憶を戻す儀式の準備よ」

「え!?そんなことできるの?すごーい」

「くっ。善子ちゃんの扱いがわからないせいで純粋すぎるよ」

「どうしよう、早く元に戻さないと」

 

何をしているのかと聞けば、そういうことらしい。ヨハネちゃんにそんな能力があったとは。純粋に驚いていると、二人は何故か困り顔をしてた。ヨハネちゃんの扱いってなんのことだろ?

そんな疑問を持っていると、ヨハネちゃんの儀式が始まった。

 

「暗黒世界に集う我がリトルデーモンたちよ、今こそ私に力を。暗黒世界接続。魔術軌道構築。精霊結界展開――」

 

 

~☆~

 

 

【マルもAqoursに入れてください!】

 

「千歌ちゃん、記憶はどう?」

「ううん。少し光景がよみがえったけどまだ思い出せないや」

「そうですか。うーん、図書室の本だとそういう本は見当たらなくて」

「うん。力になれなくてごめんね」

「ううん。こうして探してくれてるだけでもありがとう」

 

私たちは続いて図書室に来てみた。

ヨハネちゃんの儀式はうまくいかなくて、記憶は戻らなかった。後から聞いたけど、ヨハネちゃんの儀式は割と成功しないらしい。

そんな訳で、記憶戻しの旅は続いていた。ヨハネちゃんは片づけをしてから行くとかで、この場にはいない。

図書室には花丸ちゃんとルビィちゃん、果南ちゃん、鞠莉さん、ダイヤさんがいて、本で調べてくれていた。

三年生の三人は自由登校だから本来なら学校に来なくてもいいはずなのにわざわざ来てくれた。それを言ったら、鞠莉さんとダイヤさんは理事長と生徒会の仕事、果南ちゃんは「家にいてもすることが無いし、千歌の事が心配だから」と返されてしまった。

そして、残念ながら図書室の本には私の記憶を戻す方法は見つからなかったみたい。

 

「ですが以前読んだ本には、身体には記憶が残っているという説があるだとか」

「そうなの?」

「ええ。記憶を失ったとしても歩いたりできるから。まぁ、千歌っちの場合は一年間の記憶が無いだけだから少し訳が違うけど」

「と言う訳で、身体を動かせば思い出すって寸法だよ。だから、行くよ」

「あっ、うん」

 

何故だか果南ちゃんに手を引かれて、私は部室に連れて行かれ、練習着に着替えると屋上にまた戻って来た。部室にヨハネちゃんがちょうどいたから、九人そろった。

 

「1,2,3,4.1,2,3,4」

 

毎日のようにやっていたというステップ練習が始まり、最初はよくわからずずれてたけど、すぐに感覚的にそろい始めた。

なんだろ?記憶には無いけど身体が覚えてるってこと?

 

「本当に身体は覚えてるみたいだね」

「うーん。でも、思い出せない」

「そっか」

「でも、なんだかこうしてると思い出せそうな気もするかも」

「そう。なら、このまま続けましょうか」

「いいの?ラブライブは終わって、三人はもうやることは無いんでしょ?」

 

私の発言でもう少しやる感じになったけど、ラブライブは高校生だけが出場できるから、卒業する三人はもうこんなことする意味が無いんじゃ?

そんな心配をすると、三人は私の困った顔をする。

 

「確かにそう思いますよね」

「でも、私はみんなと一緒にこうしていたいから」

「だから、いいのよ。それに、千歌っちがこんな状態なら放っておけないわ」

「そっか。ありがとう」

 

でも、三人がそう言ってくれた。私の事を本当に心配してくれてるからうれしいけど、思い出せないことが申し訳なくなる。

でも、思い出せないことが辛い。

 

「さぁ、続けるよ。何か掴めそうなんでしょ?」

「……うん」

 

 

【私でもなれるかな?】

【うん!】

 

あの後練習を続けても思い出す気配がなく、家に帰ってから窓際で隣に住んでいる梨子ちゃんとおしゃべりをした。その結果、少しだけ思い出した。完全ではないけど。

 

「千歌ちゃん、Aqoursの曲を後ででいいから聴いてみて」

「曲?」

「うん。もしかしたら思いだすきっかけになるかもしれないからね」

「そっか。確かに何か起こるかも」

 

 

~☆~

 

 

「うーん、思い出せないよぉ」

「今日こそは思い出せるように頑張ろ?」

「うん」

「それじゃ、行こっか」

 

翌日。結局、夜にAqoursの曲を聴いてみたけど、懐かしさやドキドキした気持ちはあっても、それで記憶が戻ることは無かった。

授業が終わり、放課後は果南ちゃんとよーちゃん、梨子ちゃんの三人と一緒に学校外の思い出の場所に行くことになっている。家や学校内で少し記憶が戻りかけたから、もしかすると学校外の思い出の場所なら思い出す可能性があるから。本当はみんなと一緒に行きたいところだったけど、ダイヤさんと鞠莉さんは仕事があって、花丸ちゃんは図書室の本を片付ける作業をしなくちゃいけないとかで、ルビィちゃんとヨハネちゃんその手伝いをしに行った。まぁ、大勢でぞろぞろと行くと近所迷惑になっちゃうしね。

そんな訳で、よーちゃんと梨子ちゃんと一緒に校門前まで行くと、今日はダイビングショップで仕事をしていた果南ちゃんが待っていた。

 

「やっほ。見た感じ、まだ記憶は戻ってないみたいだね」

「……うん」

「ほら、暗い顔しない。お医者さんだってすぐに記憶が戻るとは限らないって言ってたんだからさ」

「そうだよ。私たちは千歌ちゃんが思い出せないからって離れたりしないよ」

「そうそう。梨子ちゃんの言う通り、ずっと一緒だよ」

「みんな、ありがと」

「うん。と言う訳で、行こうか」

 

みんなにそう言われて、少し気持ちが軽くなった。このまま思い出せなかったら、みんなが離れて行ってしまうんじゃないかって心配だったから。

でも、昔から一緒に居たよーちゃんと果南ちゃんのことはよくわかってるからそんな心配は無駄だし、梨子ちゃんもこの二日間一緒に居て、私の事を想ってくれてることは伝わっていたからその心配はいらないと思う。

果南ちゃんに促されて坂を下る。ここら辺は登下校の時にも通ったから見慣れた景色。私の覚えている景色と変わりない。

 

「それで、どこ行くの?」

「うーん、駅前の方に行きたかったけど、ちょうどバスが行ったばかりだね」

「それじゃ、まずは近場で長浜城跡行かない?」

「そうだね。近場から責めよっか」

「長浜城跡?あそこに思い出があるの?」

「まぁ、一応ね。没になったpvの一つはあそこで撮ったから」

「それって思い出せるの?」

「さぁ?でも、少しでも可能性があるならね」

 

行き先を聞かされていなかったから聞いてみたら行き先は長浜城跡だった。でも、あそこって大きな樹があったり、景色が綺麗なだけなような?聞いた感じでも、思い出せそうな気はあまりしないけど。

 

「そう言えば、ここで曜は千歌にスクールアイドルになるって言ったんだっけ?」

「うん、そうだね」

「え、そうだったの?……うっ」

 

【千歌ちゃん、水泳部と兼部になっちゃうけど!】

【よーちゃん、ありがとー】

 

「千歌ちゃん?」

 

果南ちゃんの言葉を聴いた瞬間、頭の中で少し記憶が蘇る。でも、ほんの少しだけ。

よーちゃんは頭を抑えた私を見て心配そうな顔をする。

 

「大丈夫。少し記憶が蘇ってね」

「そっか、良かった。てっきり、何か頭に異常があったのかと思っちゃった」

「あはは。心配かけてごめんね。それじゃ行こ?」

「ほんとに大丈夫?」

「うん!」

「そっか。でも、何かあったらすぐに言ってよ」

 

苦笑いを浮かべて返すと、みんな心配そうに私を見る。でも、どうにか納得してもらうと、長浜城跡に向かって歩き出した。

 

 

「……覚えてる通りの景色だなぁって感じかな?」

「やっぱり、思い出すまでは行かないか」

 

結果から言えば予想通り思い出すことは無かった。みんなも薄々そんな予感はしていたみたいで、だからそこまで残念感はなかった。それに、思い出せたらいいなくらいの気持ちだったし。

という訳で、私たちは長浜城跡を出て続いての思い出の場所に行くことにする。

 

「という事で、続いては千歌ちゃん家の前の砂浜にやってきました」

「よーちゃん、誰に説明してるの?」

「千歌ちゃん、気にしないで。それより、何か思い出せそう?」

「ううん。特には。というより、家出る時目に入るからね」

 

よーちゃんに聞かれて私はそう答える。実際、三津浜を朝見た時、少しだけこの一年であったと思う記憶を見たけど、完全には記憶が戻ることはなかった。だからか、今は特に思い出す感覚はない。

 

「それもそうだね。うーん、そうなると他にどこがあるかな?」

「あとは淡島とかみとしーくらい?」

「それと、駅前とか松月もかな?」

「そうなの?あっ、みとしーはもう閉まってるから無理だね」

「そうだね。松月も帰りに食べてたくらいだから、たぶん行っても思い出すとは思えないよね?」

「となると、駅前か淡島か」

 

三津浜でも思い出せなかったことでこれから行く先の話をする。

結果二つに絞られるけど、どんな思い出があるのかわからないから私は特にいうことができない。だから三人に決めてもらおうと待つ。どっちも一年以上前の時の記憶はあるけど、今は両方ともどうなっているのかわからない。病院からの帰りは志満姉に車だったしね。

 

「だったら駅前?そっちの方がいっぱいあるし」

「でも、淡島の方が行った回数は多くない?」

「うーん。私は淡島の方がいいかな?ここからだとちょうど通り道だから」

「それもそっか。じゃぁ、淡島ってことで」

 

三人の話し合いで淡島に決まったところで早速淡島に向かう。バスはまだ来そうにないから、このまま歩いて行くことにした。たぶん、今の時間だとバスを待つよりも歩いた方が早そう。

それに、途中の景色も見て行きたいしね。

四人で喋りながら歩き、淡島の船着き場に着く。途中の景色は変わっているところもあれば変わっていない所もあるというくらいで特に記憶が戻ることはなかった。

 

「さてと。定期船ちょっと借りるね」

「はい、鍵よ」

「ありがと」

 

マリンパークの営業が終わってるから定期船は動いておらず、果南ちゃんはマリンパークの受付でそう言うと、定期船の鍵を受け取る。

あれ?果南ちゃん、定期船動かせるようになってるの?

 

「何驚いた顔してるの?一応、小型船は動かせるよ。ここ以外は動かしちゃダメだけど」

「わぁー、知らないうちに果南ちゃんが大人になってた」

「さぁ、行くよ」

 

果南ちゃんが乗り込むと操縦席に鍵を刺してエンジンをかける。私たちが乗り込むと船は動き出す。

 

「ほんとに果南ちゃんが操縦してる」

「まぁ、果南ちゃんに頼んで船を動かしてもらったこともあるからね」

「よーちゃん、ずるーい」

「あの時千歌ちゃんも乗ってたよ?」

「え?チカも乗ったことあるの?」

 

全く記憶にないということは、ここ一年の間にあった出来事みたい。まぁ、千花の記憶がある限りじゃ、果南ちゃんが船を動かしたところを見てないから、そういうことだよね?

 

「三人で海の音聴いたよね」

「うん。それで、梨子ちゃんが作曲をしてくれることになって」

「千歌ちゃんが誘ってくれたおかげで探していた海の音が見つかったんだよ」

「海の音?……うわっ!」

 

よーちゃんと梨子ちゃんの話に出てきた海の音。海の音がどんな音なのか分からず首を傾げると、いきなり船が大きく揺れた。椅子に座ってたから椅子に手をついてどうにか耐えたことで何とかなったけど驚いた。

 

『~♪』

 

すると、耳に微かな音が聞こえた気がした。小さいけど綺麗で澄みわたったような音が。

 

「ごめん。いきなり強風が吹いて揺れたけど、大丈夫?」

「うん、なんとか」

「立ってた果南ちゃんこそ平気?」

「これくらいならよくあるから平気だよ」

 

果南ちゃんは前を向いたままそう言い、私たちは何処かを打ち付けるようなことも無く済んだからそう返答する。果南ちゃんも問題ないみたいで一安心。

 

「もう着くけど、最後に揺れるよ」

「わかったー」

 

船着き場に寄せたことで船が揺れるけど、先に言われてたから準備ができていて問題なかった。

船を降りると、久しぶりに見る淡島の景色。一年間の記憶が無いからあの頃と変わってるんじゃないかって心配だったけど、あの頃のままで安心した。いや、少しは変わってた方が面白かったかも?

 

「千歌、どう?」

「うーん。無くなった記憶じゃなくて、それよりももっと前の頃の記憶を思い出したかな?」

「そっか。なら、行くよ」

「そうだね」

「うーん、千歌ちゃんが思い出せればいいけど」

「こればっかりはわからないよね」

 

淡島で思い出せるかわからないけど、可能性があるからという事で果南ちゃんの家に荷物を置いて、裏の方はそんなに行かないから淡島神社に向かう。ここの階段を駆け上るのを練習に使ってたらしい。それと淡島神社の神様に記憶が戻るように願うのも目的。ここの神様がそういうのを叶えてくれるのかはわからないけど。

 

「あれ?ここの階段ってもっときつくなかったっけ?」

「駆け上ったのもあるけど、一年前よりも千歌ちゃん体力ついてるからそう感じるんじゃない?」

「あっ、そっか」

 

階段を上っていると、記憶にある限りじゃ途中でばててたけど、息も上がらないからそんな疑問を持つと、よーちゃんが教えてくれた。私ってそんなに体力ついてたんだ。

驚きがありながらどんどん上って行き、淡島神社にたどり着く。

 

「私の記憶が戻りますように」

「「「千歌(ちゃん)の記憶が戻りますように」」」

 

神社の前で手を合わせてお祈りをするも、それですぐに記憶が戻るということはないけど、どこか不思議な感覚がある。なんだか、もうすぐ記憶が戻りそうな?

 

「どう?」

「ううん。記憶はダメ。でも、もうすぐ記憶が戻るような気がするかも」

「おっ、それでほんとに戻ったらご利益があったってことかなん?」

「ふふっ。そうかもね。それじゃ、ロックテラスの方も行ってみよっか」

「うん」

 

記憶が戻りそうなことを言うと、三人ともそうなることを願ってくれた。でも、まだ記憶は戻らないから別の場所に行くことにする。

 

【お姉ちゃん……ルビィね。スクールアイドルをやりたい!】

 

少し階段を降りてロックテラスに着くと、いつかの光景がよみがえる。

 

「ルビィちゃんがお願いしてる?」

「あっ、たぶんそれはルビィちゃんがダイヤちゃんにスクールアイドルになりたいことを言った時のかな?」

「さっそくご利益が来た?」

「うーん。でも、それしか分からないや」

「記憶が戻らなかったのは残念だけど、記憶が少し戻ったってことだからこの調子で行けばいいんじゃない?と言っても、もう淡島で思い出せそうなところないけど」

「それじゃ、駅前に行こっか」

 

 

~☆~

 

 

【リトルデーモンになれって言うかも】

【それは……でも、やだったら、やだって言う】

 

駅前に向かってバスに乗り、途中で降りるとびゅうおにやって来た。ここらへんでヨハネちゃんがAqoursに加わってくれただとか。だから、今の蘇ってきた光景がそれだと思う。

 

「順調に記憶が戻り始めてる?」

「そうなるかな?もしかしたらこの調子で少しずつ戻っていって、最後には全部戻るのかも」

「だね。それじゃ、このまま善子ちゃんを追いかけたコースで駅前の方に行こうか」

 

そのことを言うと、自分の事のように三人とも言ってくれた。

もしかしたら果南ちゃんが言った通り、少しずつ少しずつ戻って行ってるのかも。

バスが来るのはまだ先だし、歩いていた方が何か思い出すきっかけがあるかもしれないと言う訳で、よーちゃんの提案通りこのまま歩いて行く。

 

「秋からはここでも練習してたんだよ」

「わー、ここ借りれたんだ」

 

駅前を歩いても記憶が戻るようなことは特に無く、秋から練習場所になったヴェルデ前にやって来た。この中に入ったことは無いから、というかそういうことに使える場所だったんだ。

 

「うーん。結局完全に記憶が戻るまではいかなかったか」

「でも、少しは記憶が戻ってはいそうだし」

「あと思い出の場所になると、東京とか函館になっちゃうよね?」

「流石に平日に行くのは厳しいよね」

「……よし!千歌の家に今日は泊まろう!」

 

これ以上は思いだせそうな場所がなくなり、どうしようか悩んでいると、いきなり果南ちゃんがそう言った。

 

「え?泊まるの?というか、いきなりだね」

「こうなったら、思い出話をしまくってくらいしか思いつかないし」

「あっ、私は賛成であります!」

「ふふっ。そうだね」

「あれ?二人も乗り気?まぁいいや。志満姉に聞いてみるね」

「あっ、私もママに聞かないと」

 

 

~☆~

 

 

『どんな未来かは~』

「このライブは九人そろっての初めてのやつだよ」

 

志満姉に聞いたらいいと言ってもらえて、よーちゃんの家でよーちゃんの荷物を取りに行ってから帰ってきた。果南ちゃんは荷物を取りに一回別れて、家の前で合流した。思い出話もいいけど、蘇る記憶がAqours関係の物ばかりだったから、もしかしたらという事で今は夏祭りの時のライブ映像を見ている。

曲自体は聞いたけど、映像で見ると改めて私はスクールアイドルをやってたんだなぁと実感する。体育館でのファーストライブの映像やスカイランタンが上がる中でのpv、あと鞠莉さんに没にされたpvを見て、映像を再生するたびにその時のことを話してって感じで進んで行く。

 

『イマはイマで昨日と違うよ~』

「これはラブライブ決勝で歌った曲だよ」

「あの時は観客席が青色に染まって綺麗だったんだよ」

「そうそう。あの時のはすぐ思いだせるよ」

 

『見たことない夢の軌道~』

 

そして、色々見て来て決勝の時の曲と優勝してのアンコールの曲の映像を見たけど思いだすことは無かった。曲の度に少しは引っかかるものがあるんだけど、完全に戻る感じはない。

 

「うーん。これでもダメか」

「となると、ここからは思い出話大会かな?」

「あっ、じゃぁ、私着替え取りに一回戻るね」

「そうだね。じゃっ、私は飲み物貰って来るかな?」

「果南ちゃん、私の家なんだからそれは私がやるよ」

「いいよ。場所は知ってるし」

 

記憶がまだ戻らないという事で、夕方に決めた通りここからさらに喋ることになった。梨子ちゃんは隣だからか帰るつもりでいたけど、こうなったからか私の部屋に止まるために着替えを取りに行った。

で、果南ちゃんは何故か飲み物を取りに行ってしまった。勝手知ったるとはいえなんで果南ちゃんが行っちゃうのやら?

でも、行っちゃったものは仕方ないし諦める。

 

「千歌ちゃん、記憶戻りそう?うーん、どうだろ?曲を聴いてるとなんか思い出せそうな感覚はあったんだけど」

「そっか。歌詞でも見たら案外思いだしたりして」

「そんなことあるのかな?まぁ、よーちゃんが言うなら試してみよーっと」

「そうそう。歌詞ノートなら机の引き出しに入れてるって前言ってたっけ?」

「そうなの?」

 

二人が戻ってくるまでそんな話をしていると、歌詞を見てみることになった。もしかしたら、歌詞を見たらその時の光景が蘇るかもしれないしね。

よーちゃんに言われた通り机の引き出しを開けると、一冊のノートが入っていた。

 

「あれ?なんだろこれ?」

 

そして、ノートの上には二つ折りになった紙があり、首を傾げながらそれを手に取る。

 

「千歌ちゃん、どうかしたの?」

「ノートの上になんか紙があってねー」

 

私の反応によーちゃんが聞いたからそう返答して紙を広げる。

よーちゃんも気になったのか私の隣に来る。

 

“WONDERFUL STORIES”

“夢を駆けてきた~”

 

それは歌詞のようだった。でも、こんな歌詞の曲はさっきの映像の中にも、昨日聴いた曲の中にもなかったような?

 

「あれ?こんな歌詞の曲ないような?」

 

よーちゃんも知らないみたいで、首を傾げていた。そうなると、これはなんなんだろ?

わからないけど、でもなんか気になって歌詞を読み進めてみる。読んでいくと心に何か入って来るような感覚がある。

 

【よーちゃん、これだよ!】

【梨子ちゃん、一緒にスクールアイドルやらない?】

【輝きたい!】

【できるかどうかじゃない。やりたいかどうかだよ!】

【追いかけてみせるよ。ずっと、ずっと。この場所から始めよう。できるんだ!】

【悔しいよ!】

【良かった。やっと素直になれたね】

【親愛なるお姉ちゃん。ようこそ、Aqoursへ】

【その気持ちに答えを出してあげて】

【よーちゃんと私の二人で!】

【指を繋いで。“0”から“1”へ】

【起こそう奇跡を!足掻こう精一杯!】

【起こせるよ、奇跡は。私たちにも!】

【千歌、ありがとう】

【絶対に優勝してみせる!】

【私も全力で勝ちたい!勝って輝きを見つけてみせる!】

【“1”からその先へ!Aqours サンシャイン!】

 

「……うっ」

「千歌ちゃん!?」

 

そして、全部読み終わった瞬間、頭にたくさんの記憶が蘇って意識がぐちゃぐちゃになってその場に倒れる。床に倒れる前によーちゃんが受け止めてくれて、フラフラした足取りでなんとかベッドに腰を下ろす。よーちゃんは私に対して心配そうな目をしているけど、私が落ち着くのを静かに待ってくれてる。

蘇ってきた記憶は私の無くなっていた一年間の記憶だった。

……全部思いだした。

 

「大丈夫?」

「……思い出した」

「え?」

「思い出したよ、よーちゃん!」

「わっ!」

 

私は思いだせたことがうれしくてよーちゃんに抱きつく。でも、さっき倒れかけたこと、いきなり抱きついたことでよーちゃんが受け止めきれず、二人そろってベッドに倒れ込む。

無くなっていた記憶を思い出せたことがうれしくて倒れ込んだ状態のまま喜ぶ。

 

「思い出せたよー!」

「やった!思い出せたんだ!」

 

よーちゃんもまるで自分の事のように喜んでくれる。

 

「飲み物取ってきた、よ?……何してるの?」

「なんで、二人とも抱き合ってるの?」

 

すると、二人が戻って来て私たちの状態を見て首を傾げる。そうだ、言わないと!

 

「果南ちゃん、梨子ちゃん。私思い出したよ!無くなってた一年間の記憶全部!」

「えっ、ほんと!」

「ほんと!……よかった」

 

二人も私の言葉を聞くと安堵の表情をしてくれた。それから私たちは身体を起こし、果南ちゃんがテーブルの上に飲み物を置くと口を開く。

 

「で、何があって思い出せたの?急にって訳じゃないでしょ?」

「うん、これを見たらね」

 

さっきの歌詞が書かれた紙を二人にも見せる。

 

「WONDERFUL STORIES?なに、新曲書いてたの?」

「うん!この前書いたの!それで、この歌詞を見たら今までのこと全部思いだしたの」

「そうだったんだ。この歌詞、千歌の想いが詰まってる気がする」

「だよね。スクールアイドルを始めてからの千歌ちゃんの気持ちをそのまま書いたみたいな?」

「そうだね。千歌ちゃんの想いは伝わってくる。だから、思い出せたんだね」

 

三人もこの歌詞を見てそう言ってくれてうれしい。私の気持ちを詰め込んだからね。

 

「それで、これはどうする気なの?」

「どうする?」

「そ。このまま歌詞だけか、みんなで歌うか」

「それは……できたら歌いたいけど。でも、曲が無いし」

「じゃぁ、曲があればいいのね?」

「梨子ちゃん?」

 

梨子ちゃんはそう言いながら、音楽プレイヤーを机に置き、画面に表示された“music1”を再生させる。

 

『~♪』

 

「これって?」

「どうやら、新しいのを作ってたのは千歌だけって訳じゃなさそうだね」

「少し変えれば完成すると思うよ?」

「じゃぁ、歌えるってこと?」

 

梨子ちゃんが曲をすでに作っていたみたいで、少しの手直しで歌えるらしい。歌えるのなら歌いたい。でも……。

 

「でも、もうすぐ果南ちゃんたちは卒業だし、歌う機会なんてないでしょ?」

「それはまぁ……平気じゃないかな?」

「ふぇ?」

 

 

~☆~

 

 

「さぁ、行くよ!ラストライブ!」

「「「「うん!」」」」

「「ええ」」

「「はい!」」

 

卒業式と閉校式が終わった後、私たちは体育館の舞台袖に集まっていた。

唐突に決まったAqoursのラストライブ。この九人でできる最後のライブ。

“WONDERFUL STORIES”も無事完成して、浦女の皆に対するお礼と最後の思い出作りということで今日のライブができることになった。

この一年で色々なことがあった。一度忘れたからこそ、この一年がどれほど大きなものだったのか実感する。東京のイベントで0だったことや廃校が決まったことなど悲しい思い出もあるけど、みんなでやったライブや過ごした日々など楽しい思い出もある。それらはどれもかけがえのない思い出で、チカの大切なモノ。

何に対しても中途半端なチカがスクールアイドルは諦めずに続けてこられた。

µ’sの輝きを追いかけて、でも届かなくて。だから私の、私たちの輝きを探してきた。輝きがなんなのかわからなくて悩んだこともあった。でも、ラブライブで優勝して、あの景色を見て、その結果わかった。

探していた輝きは、あの日µ’sを――スクールアイドルを知った時から紡いできた日々――思い出だった。だから、私はいつか薄れて消えていかないように――忘れてしまわないようにそれを歌詞という形にした。

 

果南ちゃん、鞠莉ちゃん、ダイヤちゃんはそれぞれの夢に向かって進むために内浦を離れから簡単には会えなくなる。私たちは全員同じ高校に通うからまた会うことができる。

浦の星女学院は廃校になって、春からは沼津の高校に通うからここともお別れ。でも、校舎自体はまだ残るらしい。

スクールアイドルを続けるのか続けないのかはわからない。

 

変わってしまうものもあれば、変わらないものもある。

だから、今日のライブは果南ちゃんたちと作るAqours最後の思い出。浦女にお別れをする最後のイベント。

私の――私たちの紡ぐ輝いていた日々の一つにする。

今日を最高の思い出にする為に。

さぁ、紡ごう。私たちの物語を!輝く日々を!

 

「ラストライブ、全力で輝こう!Aqours!」

「「「「「「「「「サンシャイン!」」」」」」」」」


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