■■■■は勇者である。   作:たむろする猫

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《自衛隊指揮官の独白》

オレ達はきっと、ロクな死に方をしないだろう。

大人が、それも国民の盾であり矛であるべき、オレ達自衛官がその守るべき対象に守られている。

しかもオレ達を守っているその背中は、まだまだ幼い少女の背中だ。

罷り間違ってもこの日本で、平和だったこの国で、銃を手にする事なんて無かっただろう、戦場に立つ事なんてあり得なかっただろう、そんな幼い少女がオレ達を、沢山の本来ならオレ達が守るべき人々を守って、今日も傷付いている。

だって仕方が無かったんだ、オレ達の持つ武器は、銃にしろ砲にしろミサイルに至っても、奴らには効かなかったんだ。

選ばれた存在じゃ無いオレ達に、できる事なんてありはしない。

 

そう言ってしまえば気分は楽になるのだろうか?

 

仕方無いと目を逸らし

無理なんだと喚き散らし

 

自分達には何も出来ないと、全てを諦める。

そうやって逃げた奴もいた、無様に喚いて逃げ出して、結局“彼女”に全部押し付けて。

けれどきっと、それは許されない事だ。

 

“彼女”の力で化け物共に、多少鬱陶しいと思わせる程度の力は得た、それでもそれが有効打になる訳でも無く、精々が戦車にエアガンぶっ放してたのが、弱っちいけん銃に変わった程度でしか無い。

でもそれでも、オレ達は“彼女”独りで戦場に立たせる事は出来なかった。

 

できる事と言えば文字通り餌となって、化け物共を引きつけたり。

“彼女”の死角をカバーして、馬鹿の一つ覚えみたいな連射で、一瞬だけでも化け物の気を引く程度。

勿論、当然の様に犠牲は出る、オレ達はスーパーエリートの特殊部隊でも何でも無い、一介のヒラ自衛官なんだから。

 

今日もまた部下が一人戦死した。

不意を突かれた“彼女”を庇って、

化け物の杭に貫かれて呆気なく死んだ。

その部下はまだ若いWAVEだった。

防大を卒業したばかりな上に海自の所属だったのに、紆余曲折あってここで俺の指揮下の部隊に組み込まれていた。

殆ど一緒に居る自衛官の中でも“彼女”に一番歳が近いのと、同じ女性だってのもあってか、“彼女”の事をとても気に掛けていた。

“彼女”も部下の事を姉の様に慕っていた。

仲のいい二人の様子はオレ達に束の間の癒しを与えてくれたりしていた。

 

 

なのにそいつは、“彼女”を守って死んだ時

とても満足気な顔をしてやがったんだ。

 

 

その気持ちが解らない訳じゃ無い、だって結局オレ達は化け物共に対して無力なままなんだ。だけど、そんなオレ達でもハッキリと一つ、「出来ると」言える事が有る。

それは今日死んだ部下がやった様に“彼女”の盾になる事だ。

文字通りの意味で、身体を盾にして“彼女”を守る。

 

これもまた逃げの一つなんだって事は、頭では理解している。

結局“彼女”に色々なものを押し付ける事になるって事も、“彼女”の可愛らしい笑顔を崩してしまうって事も。

 

だけどそれでも、この死に方だけは

何も出来ないオレ達にとっては

 

多分きっと唯一誇らしい死に方なんだ。

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