異世界に転移したらユグドラシルだった件 作:フロストランタン
地下迷宮の外、大モニター前。そこには多くの人が集まっている。手に汗握りながらモニターに向かって声援を送っている。
胸の前で手を組み、必死の形相で画面を見つめているロザリー。マグナス、カルマ、そしてユリウスもまた、彼女達の戦いを見守っていた。
「かぜっちちゃん達、やるねー」
言葉だけ聞けば暢気なものだが、その声音からは驚愕の色が見て取れる。戦っている魔物達は相当な強さだ。いずれも
「まさかこんな形でも魅せられるとは思わなかったな」
「ああ、要所要所で助け合い、実力差を埋められている」
興奮した様子のカルマの言葉に、ユリウスも感心した口調で同意する。この場の誰もが彼らの戦いに魅せられ、手に持った飲み物に口を付けることさえ忘れてモニターに釘付けになっている。
ガイィィーン
「痛ったぁぁぁい!」
「くう~~~~っ、どんだけ硬いのよ、もう!」
「クアハハハ、速さは中々だが軽いな。その程度の拳では、我の身体に傷は付けられんぞ!」
「くっ、やはりダメか」
たっち・みーは歯噛みする。ウルベルトも、オリハルコンの骨に僅かに跡が付けられる程度だった。
ユグドラシルでは、スケルトン系のモンスターは斬撃や刺突には強く、打撃に対して脆弱な種族特性がある。そこに期待しての殴打であったが、有効ではなかったようだ。
唯一まともなダメージを与えうる攻撃力を持つたっち・みーは果敢に攻めているが、ヴェルドラの巧みな防御に阻まれ、有効打を入れられない。
一方、
しかしウルベルトもまた、硬い鎧の装甲に決定的なダメージを与えられずにいた。
全力の突進突き、"紫電"を放てれば重鎧の装甲を貫ける可能性はある。しかし、助走を取る為の適度な距離が必要となる。
接近してくるラミリスの攻撃を正面から受け止められない以上、回避を念頭に置く必要がある。それでも一対一なら、一度きりの切り札を使う事で勝利出来たかもしれない。しかし、これは集団戦だ。ぶくぶく茶釜の"
ミリムの素早い動きには、ペロロンチーノの射撃で行動範囲を絞ることでどうにか対応出来ている。
リムルの魔法はというと、モモンガの魔法障壁と魔素収束の能力によって、無傷とまではいかないが、被害は軽微なものに収まっていた。
「チョコ、マカ、チョコ、マカ、とぉ……当たりさえ、当たりさえすれば~!!」
ラミリスが苛ついた様子で文句を垂れながら、ガムシャラに斧を振り回す。
「この分じゃ、当たるまでには何年掛かるかねえ」
ウルベルトは厭らしい笑みを見せながら、ラミリスを煽り、冷静な思考を奪い取っていく。
だが、余裕に見える彼も実際は綱渡りの連続であった。乱暴に振り回すだけの斧は、基本も何も無い単調な攻撃だが、食らってしまえば大怪我どころでは済まない。ブンブンと振り回される一撃一撃が必殺の威力なのだ。それらを背筋が凍るような思いをしながらも、かわし続けているのだ。
現状、殆どダメージを受けていないラミリスと、一度も攻撃を食らっていないウルベルト。一見すると互角、もしくはウルベルトが優勢の戦いだが、このままの状況が続けば、不利なのはウルベルトの方だった。今は攻撃を避け続けているが、疲労が溜まってくればそれが難しくなる。一撃でもまともに受ければ致命傷になるだけに、決して気を抜けない。
(……チッ)
チラリとたっち・みーの方を見たウルベルトは、僅かに眉を歪める。明らかに彼の相手は格上だ。せめて搦め手ぐらいは使わなければ勝ち目の見えない様な相手に、いまだに正面から力押ししようとするたっち・みー。思うところはあるが、互いのやり方に干渉しない事にしたので、ぐっと文句を飲み込む。
(
「わはははは!当たらなければどうということもないのだ」
「くっそ、動き速すぎ……」
ペロロンチーノは苦戦していた。縦横無尽に赤い彗星よろしく動き回るミリムに、マトを絞らせてもらえない。他の仲間の隙を突こうとする際に、タイミングを合わせて牽制するのが精一杯で、こちらの攻撃は掠りもしない。接近戦は姉のフォローでどうにか凌いでいる状態だ。
「
「
モモンガとリムルの魔法がぶつかり合う。リムルの魔法に対し、防御ばかりでは不利と判断したのか、モモンガは氷系の魔法で積極的に攻撃を仕掛けていた。対してリムルは、風の刃を飛ばす魔法で迎撃する。氷柱の散弾が風の刃とぶつかり合い、氷の雨を降らせることで、周囲の空気が一気に冷え込む。数度か目になる魔法のぶつかり合いに、広さ50m四方程あろうかというボス部屋の室内は、床の一部が凍りつくほどの冷気に包まれていた。
人間の魔法と魔物の魔法は、仕組みが違っている。人間の使う魔法とは、周囲に漂う魔素を術式によって操る事で行使できる力である。当然、周囲の魔素の濃度が薄くなれば行使できなかったり、魔法を発動できなくなる。
しかし、モモンガは"魔素収束"の
対して、魔物は自身の体内の魔素を消費して魔法を発動する事もできる。肉体を魔素で構成されていない人間の場合と違い、詠唱しなくても魔法を行使可能な者も居る。
但し、自分の生命の源である魔素を消費する事は、文字通り生命力を削る事になる。
リムルが積極的に魔法を連発しないのはこのためであろうとモモンガは推測する。一方リムルは面白く無さそうだ。手に持つ大鎌で攻撃に参加してこないのは、全体を見渡せる位置からすぐにフォローに入るためであろう。
ヴェルドラをたっち・みーが、ラミリスをウルベルトが、ミリムをペロロンチーノが、そしてリムルをモモンガが牽制する。ぶくぶく茶釜は戦闘の要所でカバーに回りつつ、冷静に戦況を分析していた。正直、旗色は悪い。それでも、リムル達の能力、戦術、個々の思考の癖に至るまで
(やっぱり個々の能力は高いけど、連携には難があるみたい。それを考慮して役割を持たせて、ミリムちゃんが撹乱、戦士二人が各個撃破を狙うわけね。リムルンは今のところフォロー役に回ってる)
彼女の分析は的確で、実際その通りだった。ヴェルドラもミリムも、生まれながらに個として他者を隔絶した強さを備えていた。それ故に誰かと協力して戦う必要がなかった。共通の敵を前に同盟を組むことはあっても、互いに過度に干渉しないことで、潰し合いを避ける目的であった。
ラミリスもまた、精霊女王から妖精に身を落としてからというもの、リムルと出会うまでの間、自分の棲み家に引き篭っている。つまりボッチでニートであった。
そんな彼らはそれぞれに我が強く、味方の動きに合わせて行動する事は苦手としている。それぞれ役割を決めて"棲み分け"することでチームの体を成しているが、それは連携とは違う。個々が己の役割で自分勝手に行動しているだけで、チームワークとは呼べないのだ。
リムルが全体を見ながらフォローに回っているお陰で均衡が保たれているが、そうでなければラミリスを早々に倒し、ウルベルトとたっち・みーがヴェルドラと二対一で戦えていただろう。
機は熟した。あとは作戦実行のタイミングだ。チャンスは一度きり。
ヴェルドラを攻めあぐねているたっち・みーの隙を狙ってミリムが動き出した。
「
「了解!本気でいくぜ!」
姉の掛け声でペロロンチーノが素早く特殊な矢を二本射掛ける。驚くべき速射能力だ。二本だけ用意した、神聖属性の鏃を着けた特製の矢だ。
一本目の矢は素早くシュンッと小さな風切り音と共に、神聖属性の矢が低く、疾くミリムに迫る。ミリムはそれを矢の軌道上から外れる事でかわし、たっち・みーの背後を取りに行く筈だった。
「む!?」
ミリムは避けた筈の矢が、追いかけるように曲がってくる事に気づく。同時に、ウルベルトが振り向き、背中を向け合っていたたっち・みーに向かって走り出していた事に気付いた。
たっち・みーに合流し二人でヴェルドラを倒つもりか。ならば的が増えるだけだ。そうミリムは狙いを定め、背後から迫る矢を飛び上がってかわし、そのままウルベルトが向かう先に飛び込むように向かう。それこそがペロロンチーノの、そしてウルベルトの思惑通りであった。
たっち・みーは、その観察眼によって気付いていた。現在のヴェルドラの戦い方は、本来のスタイルではない。剣と盾を駆使して自分と対等以上に渡り合っている。だがそれは、弛まぬ鍛練によるものと言うよりは、卓越した戦闘センスによるものが大きいのだろう。時折感じる僅かな違和感。体捌きや足運びが、生粋の剣士のそれとは違う気がするのだ。
つまり目の前のヴェルドラは、優れた戦士として実力を示しながら、未だに底を見せていない、ということになる。
(どうにか本気を出させたかったが……)
現状は言わば、相手が常に余力を残している状態だ。このままでは勝ち目がない。しかし勝ち負けよりも、純粋に目の前の強者の本気が見てみたい、自分の力でその気にさせたいという想いがあった。
しかしそれはどうやら叶わない。ペロロンチーノが仕掛け始めた。作戦が動き出したのだ。自分もチームの為に動き出さなくてはならない。
たっち・みーは盾を投げ捨て、剣を両手に握る。そしてヴェルドラの剣を正面から受け止める。互いに押し合って、膠着した鍔迫り合いになる と思われた瞬間、たっちが逆に剣を引く。思わず体勢を崩したヴェルドラ。そこへ助走をつけたウルベルトの"紫電"が迫る。
ドゴォ!
「ぐぉっ」
ウルベルトの強烈な突きを、体勢を崩しながらも辛うじて盾で受けたヴェルドラだったが、盾が弾き飛ばされ、尻餅をついてしまった。まともに食らっていれば、
既にたっち・みーは上段に振りかぶっている。両手持ちした剣で放たれるのは、今の突き以上であろう。そこで同時にミリムが飛び込んで来ていることに気づく。ウルベルトの後方からはラミリスも迫って来ている。一撃凌ぐ事が出来れば、ミリムとラミリスが合流し、三対二で挟み撃ちにできる筈だ。そう期待してヴェルドラはたっち・みーの剣を受け止めようと右手に持った剣を上げる。しかし、その手にペロロンチーノの放った二本目の矢が命中し、衝撃で剣を取り落としてしまう。無手になったヴェルドラに、たっち・みーの剣が振り下ろされる。
突然後方を振り向いて走り出したウルベルトを追い掛け、ラミリスはその巨体で走っていた。視線の先にはたっち・みー達がいる。しかし、ウルベルトにさんざん振り回されたラミリスは冷静さを失っていた。凍りついた足元にも全く注意が向かない程に。
ガッ
「フギャ!」
ラミリスはたっち・みーが投げ捨てた
たっち・みーが剣を振り下ろす。
ヴェルドラは咄嗟に右足を左から振り払うような軌道でたっち・みーの剣を横から蹴りつけた。軌道をずらされた剣は、それでもヴェルドラの右腕を切り飛ばす事に成功した。そのままヴェルドラは地に着いた左手を支点にして体を捻り、馬の後ろ蹴りのように逆立ちのような姿勢でたっち・みーを蹴り上げる。間一髪たっち・みーが膝でブロックするが、体は上方へ2m程も浮き上がった。
ここでミリムがウルベルトに迫る。大きくジャンプしたまま、丁度ウルベルトの頭を目掛けて跳んでいく。このタイミングならば、ヴェルドラに向けて攻撃を繰り出した瞬間、撃ち取ることが出来る。そう確信しかけたその時、ウルベルトがミリムに視線を向ける。そう、始めからウルベルトの狙いはミリムだった。
「しま 」
バシュ!
空中では大きく軌道変更が出来ず、
空中に蹴り上げられたたっち・みーは、そのまま落下と共にラミリスを叩き斬るべく、剣を振りかぶった。
ヴェルドラは片腕を失い、ミリムはウルベルトが倒した。ここでラミリスを倒せば、ヴェルドラに一気に攻勢を仕掛けられる。だが、その剣が振り下ろされる事はなかった。
ズンッ
「が、はっ……」
たっち・みーが剣を振り下ろすよりも前に、彼の腹に刃が突き立てられていた。それは
双方に一人ずつ戦力を減らした事になるが、たっち・みーが戦線離脱した穴は余りにも大きい。
ウルベルトは先程の強烈な攻撃の反動か、右手で左腕を押さえている。息は荒く、剣を握る左手がぶるぶると痙攣を起こしていた。
前衛の最大戦力と言えるたっち・みーが抜けた今、更にウルベルトまでやられてしまえば、一気に全滅に追い込まれかねない。ヴェルドラは片腕を失ったとはいえ、二人とも前衛が居なくなってしまえば、残る三人では黄金の骸骨と重鎧を押さえられないだろう。
万事休す。モニターの前で戦いを見守っていた誰もがそう思った事だろう。
「大勢は決した、か」
「惜しかったけどな……」
ユリウスとマグナスは目を伏せ、残念そうに言う。カルマも沈黙している。だが、ロザリーだけは違った。
「まだ勝負は終わっていませんわ!あれを!」
ロザリーがモニターを指差したその先には、かぜっちとモモンガがいた。
たっち・みーとウルベルトの前衛二人のうちどちらかを、如何に連携を取らせず、且つこちらの戦力を残したままで倒せるか。それが勝負の分かれ目だとリムルは考えていた。ミリムがやられてしまったのは想定外だが、最大の戦力であるたっちを倒せた時点で勝利は一気に近付いた筈だ。ウルベルトも満身創痍。もう一押しだろう。ウルベルトを倒したあとは、リムルがモモンガの魔法を相殺しながら、ぶくぶく茶釜とペロロンチーノをヴェルドラとラミリスで倒す。それでチェックメイトだ。
「フフン、さぁ覚悟なさい」
「中々よい勝負であったが、我らの勝ちは決まったな」
ラミリスとヴェルドラが勝ち誇ったように言う。それを聞いて息を弾ませながらもウルベルトはニヤリと笑う。
「ふ、もう勝った気でいるのか?見ろよ」
「何なのアレ……?」
ラミリスは驚愕した。ウルベルトに言われて目を向けた先には、見た事のない何かがあった。これが切り札と言うわけか。
「面白い……。さあ、来るがよい!どんな攻撃も耐えきって見せよう!」
ヴェルドラは不敵な笑いと共に、仁王立ちで待ち構える。
ぶくぶく茶釜は、ペロロンチーノが仕掛け始めると即座に、風と水の精霊を召喚した。水の精霊が無数の氷の粒を生み出し、彼女は両腕を開いて掌の上に小規模の直径15cm程の小さな竜巻を作り出す。その竜巻は氷の粒を吸い込んでいく。更にモモンガが集めた魔素を、竜巻に練り込む。膨大な魔素を練り込まれた竜巻は、大きさこそ変わらないが、密度がとんでもなく濃厚になっていた。氷の粒が高密度の竜巻の中でぶつかり合い、バチバチと稲妻が走っている。
準備に時間が掛かり、膨大な魔素が必要になるが、威力は絶大。取って置きの切り札である。
一番動きが素早く、邪魔に入る可能性が高かったミリムを倒してくれたのは僥倖だった。
たっち・みーはやられ、ウルベルトもリムルたちに囲まれて絶対絶命の窮地に陥っているが、まだ逆転の目はある。
「
ぶくぶく茶釜が両手を前にかざし、二つの小さな竜巻がぶつかる。ぶつかり合った竜巻は、激しい稲光を発しながら、直径2m程の一つの竜巻を横に寝かせた形になって迸り、リムルたちの方へ伸びていく。
「
リムルは魔法障壁を展開した。しかし、強力な竜巻は容易くその壁を突き破り、リムルたちに、そして近くにいたウルベルトも容赦なく巻き込んで襲い掛かった。凍てつく嵐が通り抜けた後、部屋は真っ白な世界と化していた。壁には大きな穴が空いている。
竜巻に蓄えられていた電気が放出され、そこかしこでピリピリと小さな稲妻が走っている音が、やけに響く。
四つの白いオブジェが並んでいた。叩きつけられた無数の氷の粒が固まって出来たのであろう。リムルたちとウルベルトが居たところに聳えるように立っている。そのうちの二つが光を帯び、中身が光の粒子になって消えていく。一つはウルベルト、もう一つはリムルだった。残る二つは光らないところを見ると、まだ生きているということか。幽霊は倒せても、金属系の魔物は凍らせただけでは倒せないらしい。凍り付いた層を力で内側から破壊し、ヴェルドラとラミリスが姿を現した。
「ク、クァハハハ!残念だったな、我は無傷である!」
「焦った~、でも何ともないみたい……」
二人はダメージらしいダメージもなく、体の動きを確かめている。対するぶくぶく茶釜は魔法の余波を受けたのか、左腕は肘まで白く凍りつき、右腕も傷だらけになっている。血が流れ出していないのは、極度に気温が低いためだろう。感電もしたのか、彼女の体からは数本の稲妻が走り出ている。モモンガも立っているのがやっとの様子だ。肩を大きく上下させて真っ白な息を吐き出している。極寒の冷凍庫と化した室内は、しっかり防寒しなければ人間など10分も持たず凍死してしまいそうだ。
ほぼ無傷のペロロンチーノはまだ動き回る元気はあるだろうが、相性の問題で、ヴェルドラたちには敵わないだろう。今度こそ万策つきた。誰もがそう思った。
「あー、やられちまったか」
ぶくぶく茶釜の魔法にやられた俺は、迷宮最奥にあるヴェルドラの私室へと戻された。そこで
部屋のモニターに目をやると、ヴェルドラたちは生き残ったらしい。氷の塊から抜け出している。二対三の状況だが、モモンガたちはさっきの魔法で疲れ果てた様子だし、ヴェルドラとラミリスなら問題なく勝てるだろう。そう思って安心した俺は、何かお菓子でも置いてないかと部屋を見回す。するとシエルが話しかけてきた。
《告。まだ決着はついていません。気を抜かないでください》
いや、気を抜くなって言われても……。俺はもう戦線を離れたんだし、気は抜けるだろう。
《目を離すと決着を見逃してしまいますよ》
ん?まあ、そうか。折角だから決着の瞬間まで見届けたいしな。
「……銀貨か?」
モニターに目を移した俺が見たのは、宙を舞う数百枚の銀貨だった。
ペロロンチーノが革の袋を投げ上げ、それを弓で撃ち抜いたのだ。中からは大量の銀貨がこぼれ出し、かぜっちの周りの床に落ち ない。何故か宙に浮いていた。ヴェルドラもラミリスも、何が始まったのかと、呆気に取られて見ている。かぜっちの体は帯電しているのか、細い稲妻が無数に走っている。
一体硬貨をばらまいて何をしようと ん?コイン?電気?
俺の脳裏に、前世で見た、あるシーンが浮かび上がった。
「まさかアレって?」
《解。ご想像の通りです》
「それってヤバイんじゃ……?」
俺はヴェルドラたちの敗北を予感した。
ちょっと長くなってしまいました。もうすぐ魔物の国編は終わります。
ラミリス「当たりさえ、当たりさえすれば~」
ウルベルト「あれを見な」
リムル「まさかアレは!?」
??「ジャッジメントですわ」