異世界に転移したらユグドラシルだった件 作:フロストランタン
#9 異世界
「よくぞ来「うおぉぉぉ!?」
「ギャ────!」
「アババババ!」
「ヒィィィィィ!」
「…………」
悲鳴をあげてバタバタと三人が倒れる。失神してしまったようだ。
「あぁ、皆さん!……はっ、モモンガさん!」
たっち・みーは腰を抜かして尻餅をついたままガクガクと震えつつも、立ったまま動かずにいるモモンガに呼び掛ける。しかし、モモンガの反応がない。目の前のアレの雰囲気に、完全に呑まれているようだ。三人は既に気を失い、自身も動けない。ならば、まだ立っている、動ける可能性がある彼だけでも逃げてくれと、もう一度呼び掛けようとする。
「モモンガさ────」
ぐらり、と彼の体がゆっくり傾いでいく。そしてそのまま────
バタッ
「くっ」
たっち・みーは判断を誤ったと歯噛みする。
まずは会わせたい奴がいる、そう言って
そこで合図があるまで目を閉じるように言われて指示に従ったが、油断したつもりはなかった。目を閉じていても回りに意識を傾けて誰かが近付けば分かるよう、気を張っていた。
もういいぞ、と言われて目を開けてみると、そこはさっきまでの廃ビルの地下ではなく、どこかの洞窟内のような広い空間だった。状況が飲み込めず困惑していると、背後から突如けたたましい音が轟いた。
「クアーッハッハッハ」
恐る恐る振り返ったそこには、
こんな化け物が現実に存在したのか。目の前の化け物────巨大な漆黒の竜のような────の前では、自分の力など何の役にも立たない。
この
絶望的な状況で意識が薄れていく。竜を見上げていた
「!?」
たっち・みーが意識を失う直前に見たその顔は何故か、悪戯が見つかってしまった子供がするような、バツの悪そうな表情に見えた。
「…………」
ヴェルドラのやつ、なんで
可哀想に、よっぽど怖い目に遭ったんだろう。最初に倒れた三人のうち、二人の体の下には生暖かい水溜まりがホカホカと湯気を立てているが、
最後まで意識があったのはたっち・みー。ヴェルドラを目の前にしてもすぐ気絶しなかったのは大したものだが、結局俺と目が合ったと思った瞬間、意識を手放してしまった。
「ぐむぅ、我の話も聞かずに気絶するとは。せっかく『ラスボスとバッタリ』という贅沢なサプライズを用意してやったのに……。
おかしいではないか、本物のように精巧な『ゲーム』で、モンスターも見慣れているのであろう?」
「はあ、お前ね……」
何から説明したものかと、額に手を当てる。こいつのせいで頭痛がしてきた。
いくら映像技術が進んでいて、精巧なモンスターを見慣れていたとしても、竜どころか魔物さえいない世界で暮らしてきた人間が、いきなり本物の
俺だって初めて見たときは結構、いやかなりビビった。寧ろショック死しなかっただけ大したものだろう。
「あー、ディアブロ?」
「お呼びでしょうか、リムル様」
側にいるだろうと思って呼んでみたらやっぱり姿を現した。俺はモモンガを抱き上げ、ディアブロに指示を出す。
「ヴェルドラと手分けして彼らを空いてる客室に運び込むぞ。あとシュナに五人分の着替えを準備するように伝えてくれ」
畏まりました、と言ってディアブロは動き出す。ヴェルドラも人型をとり、渋々と二人を抱きあげる。サプライズの反応が思っていたのと違って納得いかない様子だった。
「ぬ、こやつら、衣服が濡れておるではないか。む?こんなところに水溜まりなど……はうあっ?」
ヴェルドラが水溜まりの正体に気付き、情けない声をあげる。
「よ、寄るなよ、ばっちぃな」
「ぐ、貴様、それが盟友に掛ける言葉か……?我、泣いちゃうぞ?」
オッサンが「泣いちゃうぞ」とか言っても、ちっともかわいくない。二人を丸太のように両脇に抱き込んでいるため、濡れた体と密着してしまっているが、自業自得である。
ディアブロはというと、然り気無く下半身が濡れていない二人を抱えているあたり、抜け目ないというかなんというか。
さて、この分だと目覚めても
よし、着替えさせたらあそこに連れていこう。
「ん……あれ?」
目を醒ますとソファで横になっていた。いつの間にか部屋でうたた寝をしてしまっていたのか。何か酷い悪夢を見ていたような気がするが、よく思い出せない。
「気がついたわね」
突然の女性の声にモモンガは一気に思考が吹き飛び、ガバッと起き上がった。
起き上がった彼の目に映ったのは黒髪を肩で切り揃えた、若く美しい女性。年の頃は二十歳前後だろうか。黒いスーツパンツに、純白のブラウス、腰にはレイピアのような細身の剣を下げている。胸元は少し広めに開いており、形の良い双丘が作り出す谷間がわずかに覗いていた。
年齢=彼女いない歴の彼は女性経験どころか、母親以外の異性と手繋いで歩いたことさえない。会社では仕事モードのスイッチが入っているため、面と向かっても仕事の会話くらいはできるが、寝起きの無防備な状態では思春期の中学生と何ら変わらなかった。
「あ、あのっ、えっと……?」
(うわー、この
「あなた気を失っていたのよ。覚えているかしら」
ハッと我に返り、モモンガは自分の身に何があったか思い出そうとする。
(ええっと確か、リムルに会うために待ち合わせをしてて、それから……)
徐々に記憶が鮮明になっていき、巨大な生物────恐らくドラゴン────に遭遇したことを思い出した。
(あれは、ドラゴンは夢じゃなかった?まさか空想上の生き物が実在したなんて)
「いや、まさかこれも夢……?確か、夢には自分の強い願望が現れる、とか聞いたような……。ということは目の前のこの
「夢じゃないわよ?」
モモンガはブツブツと呟きながら深く思考に埋もれかけていたところで、現実に引き戻される。どうやら口に出してしまっていたようだ。
「それで?『俺の理想のお』……なんて言いかけたのかしら?」
気づけば胡乱げな目で此方を見ていた。
「へっ?あ!いや、その、り、理想のお嫁さんのイメージにぴったり……なんて。は、はは……」
モモンガは、顔を真っ赤にしてしどろもどろになりながら答える。何とか誤魔化せただろうか。出会って数秒でセクハラ発言という極めて不名誉な事故だけは避けたい。
「ふうん……?何か違うことを言おうとしていたように思ったけど……フフ、まあいいわ」
赤面しながら「理想のお嫁さん」なんて、ほとんど愛の告白のような事を言われて彼女は満更でもない様子だが、何が彼女の琴線に触れたのか、残念ながら恋愛経験のないモモンガは分からなかった。
(危っぶねー、『理想のおっぱい』なんて口走ってたら有無を言わせず警察につき出されてたかも)
「それにしても、災難だったわね」
「え?」
「突然異世界へ飛ばされたと思ったら、ヴェルドラ……竜の目の前だったんでしょ?気を失うのも無理ないわよ」
「えっ」
目の前の美女から、とんでもない中二病発言が飛び出した気がしたが、気のせいだろうか。
「あら、違った?」
「えっと、い、異世界……?」
「あぁ……あなた、日本人よね?」
「え、ええ」
「それなら、ここは異世界ということになるわ。時々、何らかのきっかけで偶然次元を越えてこの世界へ来てしまうことがあるの。召喚によって呼び出される事もあるけれど。突然の事で混乱しているとは思うけれど、事実として受け止めなさい」
「は、はい……え?えぇー!?」
(えぇ、異世界?マジで?聞き間違いじゃなかったよ!えぇー?)
「鈴木悟といいます。会社では営業職をやっていました」
「
モモンガが落ち着きを取り戻したところで、互いに自己紹介をした。『聖騎士団』とか気になる言葉が聞こえた気がしたが、気のせいだと思うことにした。彼女のこんな細腕で、むさ苦しい騎士団なんて想像できない。何かの間違いだろう。『委員長』という肩書きから、規模はわからないが組織の長らしい、と当たりをつけた。
「そう言えば、他にもあなたと一緒に転移してきたらしい人達がいたわ。知り合いかしら?少し前に目覚めたばかりで、詳しい話は聞いていないけれど」
「あ……多分、そうだと思います」
(混乱しきりですっかり忘れていた。たっちさん、茶釜さん、ウルベルトさん、ペロロンチーノさん、リムルも……一緒に異世界に飛ばされて来ていたのか)
異世界に来たのはリムルの仕業なのだが、モモンガは知る由もない。ここ、ブルムンド王国の自由調停委員会支部長室に、突然
「
とのことだった。支部長を務めるフューズは彼らが来た瞬間嫌な予感しかしなかったが、見事に面倒事を押し付けられ頭を抱えていたときに、委員長のヒナタが立ち寄ったのだった。
「そう。じゃあ彼らに合流するわよ。支部長室にいるはずよ」
そう言ってヒナタがモモンガを促し、歩き出す。
「それで、これからの事なんだけど……元の世界に帰る事ができるなら、帰りたいわよね?帰る方法が無いわけでは無いわ」
ただ……とヒナタが続ける。
「その方法はまだ完全には確立されていないの。元の世界へは行けるんだけれど、時間軸が不安定で大きくずれてしまうことがあるらしいのよ」
「ええっと、つまり此方に来た頃よりも前に戻ったりしちゃうってことですか?」
「知り合いの研究者の話によれば、初めて転移した先は目指していた平成じゃなくて江戸時代だったそうよ」
「平成?ってええっと確か、100年くらい前だったかな。とすると……」
何の気なしに呟いたモモンガの言葉にヒナタが瞠目する。
「は?あ、あなたまさか……西暦何年からきたの?」
「え?えっと、2137年です……けど」
「にせん……ひゃく……?」
彼が正直に答えると何故か衝撃を受けたようだった。何かまずかっただろうか。
「あ、あの……?」
「……私がいた時代よりも100年以上先だわ。割と歳が近そうだと思っていたのに、すごいお婆ちゃんじゃない……」
え、そこ?何故か悔しそうにしているヒナタに、モモンガは目が点になってしまった。
二十歳そこそこにしか見えない彼女は、昔の人────時代の先輩だったのか。そう思うと、まぁ、不思議な感覚だ。
「そうなると、困ったわね」
「え?」
「研究者じゃないからあまり詳しくはないけれど、未来に転移できたという話は、聞いたことがないわ。まして100年も先なんて……」
「じゃあ……すぐには帰れないかも知れないですね」
(俺には家族も恋人もいないから、帰れなくても大して未練はないけど、たっちさんやペロロンチーノさんは……)
彼らの事を思うと、胸が痛む。元々自分のせいで巻き込んでしまった様なものなのだから。
「もしかしたら、いやしかし……」
ヒナタが何か言いかけて、言い淀む。
「他にも何か手段があるんですか?もしかして、くらいでも可能性があるなら教えてください」
「そう、ね。でも、一旦この話はあとにしましょう。部屋に着いたわ」
ノックしてドアを開けた先には、たっち・みー達四人が座っていた。
「あ、モモンガさん!やっと来た」
「心配しましたよ」
「モンちゃん、寝坊だぞっ」
「モモンガさん、そっちの美女とよろしくやってたんじゃないでしょうね。こっちはシブいオッサンと喋ってたってのに」
「ちょ、違いますって」
モモンガは焦りながらも、皆が無事だった事に安堵した。だが、ここにリムルの姿はない。はぐれてしまったのだろうかと不安な気持ちになるが、すぐにそれを振り払う。はぐれたなら探しに行けばいいのだ。ただ、今は状況を確認することが先だろう。無闇に行動して全滅などということは避けなければならない。
「皆さんは状況は把握してますか?」
「ええ、先ほどまでフューズさんという方から、話を聞かせていただいていました」
「まさか異世界に来ちゃうなんてねー」
「これはエロゲチックな展開が俺を待っt「弟、黙れ」アッハイ」
毎度の漫才のようなやり取りに苦笑する。
「えっと、こちらは
「よろしく」
「若く見えて実はバb……」
失礼な事を言いかけたペロロンチーノの眼球の前に、いつの間に抜いたのか、ヒナタが細い剣先を突きつけていた。1cmも動けば目に刺さりそうだ。
「今……なんて言おうとしたのかしら?」
そう言った彼女の目はゾッとするほど冷たい色を帯びていた。
「ヒィィ!ごめんなさい!ごめんなさい!許してくださいぃぃぃ!」
「……次はないわよ」
涙目で謝るペロロンチーノに、そう言った彼女はいつの間にか剣を納めていた。その動きは武道を軽く嗜む(と言いつつ達人級の)たっち・みーでさえ全く見えなかった。
(むぅ、相当できるな。隙のない佇まいといい只者ではない。この世界にはこんな強者が沢山いるんだろうか)
たっち・みーは背中に冷たいものが走るのを感じた。モモンガとウルベルトも顔色が悪い。
(こ、コワー……もし『理想のおっぱい』発言なんかしてたら今頃串刺しだったかも)
(やっべー、ペロロンチーノが先に言ってなかったら俺がああなってたのか)
直接剣を向けられたペロロンチーノは涙目でガタガタ震えながら「テメェはデリカシーがねーのか」と姉に追い討ちをかけられている。
「ところで、モモンガって呼ばれてるみたいだけど何なの?」
「え?あぁ、ハンドルネームですよ。俺達ゲーム仲間なんです。あ、ハンドルネームって分かります?」
「それは分かるけれど、ず……随分可愛らしい名前ね……」
言いながら小刻みに震えるヒナタ。笑いを堪えているのだ。ギルドメンバー達の普段の態度から、なんとなくセンスは良くないとは自覚していたが、ヒナタにまで笑われて憮然としてしまう。
「そんなに変ですかね」
「モンちゃん、ネーミングセンスはちょっとね」
「いや、姉ちゃん、ちょっとじゃないでしょ」
「はっきり言って壊滅的ですよ」
「ああ、でもモモンガさんが考えたギルド名は思ったより酷くなかったですよ」
「皆さんハッキリ言いすぎですよ。たっちさん、遠回しにそれ以外は酷いって言ってますよね?傷ついちゃうなぁ」
「あ、いやその」
「もういいです。どうせセンスないですよ。ギルド名だって、渾身の出来だと思って異形種動物園ってつけようとしましたよっ」
「こ、渾身の……動物園?プッ、フフッ」
堪えきれなくなったヒナタが遂に吹き出した。ツボに入ってしまったらしい。
「あっはっはっはっはっ」
彼女が腹を抱えて大笑いする姿は普段の彼女を知る者が見れば仰天するほど珍しい事であり、非常に魅力的な笑顔なのだが、笑われている本人からすればそれどころではない。気が済むまで散々笑い倒したヒナタが冷静になった頃には、モモンガは死んだ魚の様な目をしていた。
「はあ……気を取り直して、今後の話をしましょう。元の世界へ戻る方法はあるけれど、時間軸のズレが大きく、違う時代に着いてしまうかも知れない、でしたね」
「ええ、現在の技術では狙った年代に辿り着く事は難しいそうよ。日付まで正確に、となれば困難を窮めるわね。でも、もしかしたら、それが出来るかもしれない者に心当たりがあるわ」
途中まで俯いて苦い顔だった一同が、目線を上げる。僅かな希望を見いだして。
「ただ、人間じゃないのよ」
「え……」
少しの沈黙。
「魔王よ」
「魔王だと!?」
ウルベルトは思わず立ち上がる。この世界にはドラゴンだけでなく、魔王なんてものまで居るのか。
「この世界にはオクタグラムを名乗る、八
ウルベルトは目を輝かせて興奮した様子でヒナタの説明を聞いている。モモンガはそんな彼をウルベルトを横目で見る。
(やっぱりウルベルトさんは生粋の中二病だなぁ。本物の魔王なんて聞いたら、俺だってなんだかワクワクしちゃうけど。ん?そう言えばオクタグラムってどこかで聞いた事があったような……?タブラさんが話してたんだったかなぁ……うーん)
設定厨のギルドメンバーに聞いた話だっただろうかと思うが、詳しい内容は思い出せない。
(割と最近だった気がするんだけどなぁ)
ヒナタは
(……まず、有益な情報を持っていそうなのは……五
「成る程……最古の魔王と呼ばれる悪魔なら確かに人知を越えた力を持ってそうだな」
ウルベルトは期待して呟くが、ヒナタは会うことは出来ないだろうと告げる。
「こちらから会いに行くのは不可能ね。人間どころか殆どの生物が生きられないような場所に住んでいるもの」
此方から会いに行けないのであれば、偶然向こうが近くに来るのを待つしかない。かなり気の長い話だ。
「全員ではないけれど、魔王の中には人間に対して友好的な者も居るわ。最初にあなた達が転移してきたのは、テンペストといって魔王の
「そうだったんですか。魔王とは、もっと怖ろしい存在かと……」
たっちは魔王と言えば世界征服を企む悪逆非道な存在で、そんな存在が八人も居るなんて悪夢のようだと思っていたが、優しい魔王もいるのかと少し安心した。
「よし、最初に会うのは吸血鬼の魔王にしましょう!」
何か考え込んでいる様子だったペロロンチーノが勢いよく発言した。それはヒナタも候補に入れていた魔王だった。
「その心は……?」
「うまくいけばロリ吸血鬼の魔王とイケナイ関係に……」
「はい却下」
「はぁ、スケベもそこまでいけば大したものね」
ペロロンチーノの能天気な発言にヒナタは呆れる。
「そりゃもう、エロは偉大ですから。
技術の発展は最初に軍事、次にエロと医療に使われるんです。これはまさにエロの偉大さを物語っていると思いませんか!」
「私には人間の愚かさと業の深さを物語っているとしか思えないわ……」
「う……」
見も蓋も無さすぎるヒナタの言葉に、流石のペロロンチーノも返す言葉が見つからなかった。微妙な沈黙。と、ここでモモンガがずっと気にかかっていたことを尋ねる。
「あの、ところで……此処へ来たのは五人だけですよね?その、もう一人女の子も居たはずなんですが、見かけませんでしたか?」
リムルの事が気がかりだった彼は、まだ目を覚ましていないだけで、すでに此処へ連れられて来ている可能性に思い至り、尋ねたが、ヒナタから返ってきた言葉は良いものではなかった。
「此処へ連れてこられたのはあなた達五人だけ。異世界人の女の子が来たという情報は今のところないわ。その子の特徴は?」
モモンガがリムルの特徴を思い出しながら伝えていく。ヒナタは最初メモを取っていたが、何か思い当たったのか説明の途中から手を止めて何か思案している様子だった。少しそのまま考え込んでいたが、ふうっと小さくため息をついた。
「その子、名前は聞いているかしら?」
「あ。はい、本名かどうかは分かりませんが……」
「そう、やっぱり」
まさか、あのスライムと知り合っているとは。しかし、いつどこで?
彼らは同郷だが生きた時代が違うため、
では此方へ来てから知り合った?それもないだろう。彼らの話を聞く限り、転移直後にヴェルドラに出会い、その場で気絶し、此処へ来ている。
ならばリムルが彼らのいる世界に転移していた?
ヒナタは短い時間で状況の予測を立て、正解を導きだしていた。
(何が目的かまではわからないけれど、
ヒナタは彼らを連れて
「大魔王リムルに会いに行くわよ!」
え、
「今、何と……?」
その時、部屋のドアがバンッと勢いよく開け放たれた。
「いよーっす、元気かね諸君」
キャラクター紹介3
フューズ
元冒険者組合ブルムンド支部の
背は低いが、眼光鋭く抜け目のない男。情報戦に長け、世界情勢の重要な機微を目敏く嗅ぎ付ける。その度にリムル達の破天荒ぶりに振り回されている苦労人。ヒナタに密かに好意を寄せているが……。
五人「わ"ーっ」バタッ
ヴェルドラ「解せぬ・・・」
リムル「やっちまったなー」
モモンガ「ギルド『異形種動物園!』」
ヒナタ「あーっはっはっはっは」
フューズ「あぁ、頭痛が・・・」