ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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番外の章 不敗クロス①

 世界を移動した。その感覚はある。そして、ここが本来の目的地ではないのと、元の世界でもないのを感覚的に理解するベル。

 

「しかし、どこだここ? 人造迷宮(クノッソス)か?」

 

 だとすると、今回同じ場所にヘスティアも転移してないのは幸いだ。流石に神には危険すぎる。いや、ここに居ないからといって安全な場所にいると思うのは楽観が過ぎた。

 すぐに探そう。何せ、外が安全とも言い切れない。人造迷宮(クノッソス)()()()()()()()()()()()

 この迷宮をここまで破壊するなんて一体どんな化け物が暴れたのやら、と自分とオッタルの戦闘で壊したことを棚上げするベル。

 

「ん? 何だ、これ……」

 

 と、よく壁をみると何かが付着している。小さな六角形の金属片。よくよく見てみると壁や天井、床のあちらこちらに見える。

 電気を纏う。動いた。だが、磁力で動いた訳ではなさそうだ。流れる電流によって反応を変える、まるで機械だ。この世界に?

 

「………メカゴジラでも紛れ込んだか?」

 

 しかし今は活動を停止しているようだ。ある意味ではハッキングとも取れるベルの行為になんの反応も示さないし。

 

「………待てよ、ここが人造迷宮(クノッソス)なら………」

 

 ふと、ある事に気づいたベルは床に手を当てる。パチリと紫電が暗い通路を照らし、波紋のように広がる。その全ての紫電がベルの感覚とリンクしており、石や鉄とは異なる物質に電気が当たるのを感じ取る。生物の反応。そちらに意識を向ける。人間の放つ電磁波ではない。

 

「…………先にそちらにするか」

 

 ベルはそう言うと足元にパリ、と紫電が灯る。磁気で体が浮き上がり、滑るように迷宮を駆け抜けた。

 

 

 

「見っけ……」

「っ!? 何者だ!」

 

 しばらく進んで行くと大きな部屋にたどり着く。その中に存在する檻の中身を確認して呟くベルに、人の言葉が返ってくる。しかし、その言葉を発したのは人ではなかった。

 

「何者、か……」

 

 魔石灯に照らされた部屋の中に入ると、向こうからもこちらの姿が見えたのか警戒心が強くなる。誰とも知らない相手に向ける目。つまりこちらの自分は彼等に関わっていないのだろう。

 檻の中に閉じ込められたモンスター達を見てそう判断するベル。

 

「お前等異端児(ゼノス)を知る者だ。助けに来た。ダンジョンに帰るぞ」

「………それは、無理だ」

「何?」

「母、もう………」

 

 ダンジョンに意識を向ける。ダンジョンに流れる独特な電磁波が感じ取れない。死んだ?本当に?1000年以上の時を存在し続け無限とも言える命を生み出し続けたダンジョンが?

 休眠状態に入ったのか、あるいは、本当に?

 少なくとも今のダンジョンは隠れ家としては使えない。元々物理法則を無視した巨大地下空間。ダンジョン特有の再生機能が働いていない以上いつ崩落するかもしれない。

 

「………仕方ない、ガネーシャの元に向かうか。あそこなら元々モンスターを住まわせているし」

「………それを知っているという事は、信頼はこの際おいておいても信用はできそうだ」

「さっき使えそうな出口を見てきたが夜だった。しかも新月。なんか瓦礫だらけだったが【ガネーシャ・ファミリア】のモンスターが保護されてる場所は電磁波で解る。準備ができたら行くぞ」

 

 

 

 ベルは瓦礫の中を見て回る。魔石灯も壊れた街だった瓦礫の山。本来なら夜は危険で、立入禁止なのだがベルは要救助者や火事場泥棒が居ないか毎晩見回る。と………

 

「ん? これは……」

 

 複数の気を感じ取る。一つは、人間だ。だけど、何だろうか?何処かで感じたことがあるような気がする。しかし誰かは分からない。そして、残りは……

 

「モンスター?」

 

 ダンジョンが崩壊し、もう生まれぬ筈だが、生き残り? けど、動きが緩やか。周囲を警戒している? そんな人間くさ───

 

「───っ!!」

 

 長年の勘が驚異を感じ取る。振り向き腕を交差させるとその腕に鉄板仕込みの蹴りが繰り出された。同時にまるで雷のような爆音。

 

「チッ。この距離から気付くだけあって、大した反応だ」

「君も、気付いてたのか……」

 

 モンスターの集団から人の気配が消え、今まさに同じ気配が目の前からする。速すぎる。空気の揺らぎすら遅れてやってきた。

 というか、今の雷そのものになっていなかったか? 光と同時に現れたぞ。

 

「いきなり攻撃しといて信用できないと思うが、敵対の意志はない。通してくれると助かる」

「…………信じるよ。あれだけ、コソコソしてたんだ。不要に争いは本意じゃないんだろうね。でも、それはここでの戦闘。避難所に向かっていた以上、通すわけには行かない」

 

 先程の雷光のせいで闇がより深く感じる。それは、おそらく向こうも同じだと思う。だが、ベルも、そして恐らく相手も視覚に頼らずとも周囲を把握している。

 すぐに臨戦態勢に入るベル。速さは、悔しいが襲撃者のほうが上。恐らく雷を放ちその着弾地に移動する魔法。移動してから攻撃までの一瞬は、確かに隙が出来るはず!

 

「【迸れ(ブロンテ)】」

「───っ!!」

 

 来る!

 見逃さぬと神経を集中させるベル。が。が───

 

「ぐ、が!?」

 

 目が光で焼かれる。同時に、腹にめり込む蹴り。

 吹き飛ばされながらも直ぐに体勢を整える。

 違った。最初に感じた疑問であっていたのだ。この男、間違いなく雷となって動いていた。速いのではなく、疾い。文字通り一瞬で距離を詰められる。

 

「……………」

 

 対して襲撃者も驚愕していた。そもそも人間大の物質が雷速で動けば当然衝撃波が発生する。衝撃波がベルの後ろに移動したのは、本来なら横を通り過ぎた衝撃波で気絶させるためだ。小動もしなかったから直接蹴りつけたのだ。

 推定レベルは5以上。耐久は下手すればオッタル達に匹敵するそれと、電動率が低い。人体なんて空気よりよっぽど電気を通すのに、効いた様子がない。電熱で焼けているのを見るに魔力を散らしている訳ではなさそう。熱は通じる、が………

 

(妙な膜で包まれているみてぇだ。いや、中にも満たされんな、蹴った感覚だと)

 

 目に見えない、魔力とは異なるなにかで全身を満たし、溢れさせ防御にも使っている。恩恵、とも違う。何だ、こいつ? 本当に人間か? 実はモンスター? あるいは、怪人。

 

「……………」

 

 余計な思考は捨てる。雷鳴を聞いて集まってくる人間もいるだろう。早く、ガネーシャと合流もしたい。あそこの団員の人海戦術にも頼れるだろうし。

 ゴォン、ゴォン、と鐘の音が響き襲撃者の体は白い光に包まれる。

 ベルもまた、彼の気が研ぎ澄まされていくのを感じる。

 動きは、読めない。なら、気の流れを、意識の動きを読み取れ!

 

「────!!」

「───っ!?」

 

 雷鳴。

 雷光が辺りを照らし、視界を焼く。しかし何とか反応したベルはすぐに襲撃者の足を掴んだ。そのまま地面に叩きつけようとした瞬間、襲撃者は身体をひねる。

 

「な!?」

 

 ブチブチメキメキと嫌な感触が伝わり襲撃者の足が捩れる。驚愕し固まるベルの頬に踵がめり込み、白い光が一際強く輝きベルの身体を吹き飛ばす。

 瓦礫の山にぶち当たり、細かくなった瓦礫に押しつぶされた。

 

「ぬぅ………りゃあ!」

 

 その瓦礫を吹き飛ばし立ち上がる。危なかった。あと少し反応が遅れていたら、脳を揺らされていた。

 ダメージはある。戦えぬ程ではない。相手は、片足を失った。機動力は落ちるはず。

 

「って、え!?」

 

 前後逆を向いていた足がギュルリと戻る。裂けた皮膚も元通り。とんでもない回復力。こいつ、本当に人間なのだろうか? 人形のモンスター?

 その異様な回復力に、DG細胞の化物たちを思い出すベル。

 どちらの気配もさらに張り詰めていく。襲撃者の気配が闇に溶けるように周囲と同化していく。

 ベルの気配は逆に荒々しく、世界に己の存在を示そうとする、炎のよう。

 二人が同時に、足に力を込め、飛び出す。と───

 

「そこまでだ! 双方拳を収めよ!」

 

 拳とナイフが交差する直前、突然現れた老人が二人の頭を殴り地面に叩きつけた。

 

「………む?」

「おぅい! 東方不敗くーん! こっちのベル君と僕等のベル君は見つかったかーい?」

「この程度で気絶するとは、修行が足らん! 起きんかぁ!」

「「ぐはぁ!?」」

「「べ、ベルくーん!?」」

 

 叩き起こされるベルと襲撃者を見て()()()()()()()()は悲鳴を上げた。




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アルテミス様とフィルビスをどうしよう

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