あの鐘を鳴らすのは… 作:デモンズかぼたんこそ至高
永久とも思える膨大な時の中を
ほの暗い牢の中で一人過ごした。
時には牢から出て世界を救った事も滅ぼした事もあった。
だが彼の時間は変わらない
いつも同じ場所、同じ時間に戻される
果てなく繰り返す戦いの日々に
彼は何時しか牢から出ていく事はなくなった
………?
……霧だ……
気づけば牢の出入口が彼のよく知る霧に覆われている
だが彼の薄れていく記憶の中には
この様な出来事は初めてだった。
幾度となく繰り返される日々に
突如として齎された…未知
諦めた筈の彼の胸に僅かな炎が灯る
そして彼は今一度…
…今度は自分の為に…
始まりの未知
霧の中に入り辺りを見渡すと
視界一面に闇が広がっていた
……ツッ!
突如として足元にも広がる闇に
足を捕られ引き摺り込まれる
抵抗するも振りほどけず遂には気を失ってしまった
気を失う直前に彼は確かに聞いたのだ
何度となく聞いたあの蛇の声を
…始まりと終わりの鐘を鳴らすのだと…
「……ここは一体何処なんだか…」
気がつくとそこは見渡す限り、平原の地
雨上がりなのだろう、瑞々しい草が生い茂り
数多くの命、溢れる大地そのものだった。
溜息混じりにぼやきつつ
目の前の景色を目に焼き付ける
……パカラ…パカラ…パカラ…
規則正しい蹄の音が後ろから聞こえてくる
振り向くと二頭の馬に引かれた馬車が近付いてきた。
綱を握っているのは老人だが、生者なのか亡者なのか?
「お前さん…こんな処で何をしてるんだね?」
…どうやら亡者ではない様だ。
…まともな人間と話しをするのはいつ以来だろうか…?
「道に迷ってしまってね、近くに町などはないだろうか?」
「うん?…事情ありといった感じかな?
この近くに大きな町があるんだが、私もそこに用があるんでね
そこで良いなら乗って行きなさい」
「感謝する」
ご老人の厚意で町まで乗せてもらっている彼は
久しく無かった真っ当な人間との会話を楽しみながら
この世界の常識を学んでいた。
「私はマリナス、行商人をやっとるんだ、お前さん冒険者かい? 名前は?」
「リカルドだご老人、冒険者とはなんだ?」
「なんだ、大層な鎧だから冒険者かと思ったんだが、冒険者も知らないのかい?」
「あぁ…俺は只の
「うむ…冒険者と言うのはな、これから行く町にある
神様から力を貰ってるらしいからとても強いと聞く」
「…………………神?」
「あぁ…おい大丈夫か?何だか物々しいぞお前さん」
「…すまないご老人よ、その話を詳しく教えてはいただけないだろうか?」
「ん?あぁ構わんよ、と言っても私も聞いた話なんだがな……」
うんと昔にな原因は知らんが
で、そんな時に神が天界と言う神の住まう土地から、興味本位で降りて来て穴を塞いだらしいんだが
漏れ出てくる怪物を退治する為に、神の持つ力の一部を分け与えてくれたそうだ
神の力を分けて貰った戦士達は、今まで勝てなかった怪物も殺せる様になってな
怪物の体の中に魔石って言う石があってそれが生活の役に立つってんで
神の戦士達が怪物狩りを始めたそうだ、その戦士達が冒険者って今は呼ばれてるって訳だ
…なぜ神は帰らないのか?う~む…チヤホヤされて居心地が良かったんじゃないのかな?
自分達の生活を守ってくれた訳だしな、感謝もしていただろうしな
でもな~あの町は私も行くのが初めてだから知らないが、よその土地の神はあまり良い評判は聞かんな
この大陸の西の方にラキアと言う国にも神と戦士達がいるんだが人間相手に戦争ばかりしてやがる
私も戦火から逃れる為にこっちの方まで逃げてきたんだよ
あの町とよそじゃ強さが桁違いと聞いて割と安全かと思ってな
そう言えば魔法都市なんて所もあるらしいぞ、確かアルテナって都市だよ
まぁそこは頭の良い奴しか用の無い様な場所みたいだけどな
こんな処だな、私が知っている事は…今向かっている町の名前?迷宮都市と言われる町、オラリオだよ。
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