あの鐘を鳴らすのは… 作:デモンズかぼたんこそ至高
「え~と、つまりリカルドさんはダンジョンに
「あぁファミリアを決める迄は絶対にダンジョンには入れてくれないらしい」
リカルドが先程の受付嬢との一幕を話し出すとベルの顔が徐々に青ざめていく
「しかしあんなに怒られるとは」
「入る前で本当に良かったですよ!死んじゃったらどうするんですか!
ダンジョンは本当に危険なんですよ!僕だって神様に神の恩恵を貰ってやっと最弱のゴブリンを倒せたんですから…」
ベルは声を荒げてリカルドを叱責する
「あのお嬢ちゃんにも同じ様な事を言われたよ、いずれにせよどうするかな?」
「…あの!良ければ僕の神様に会ってみませんか?優しいしきっと…」
「神は好かん…今朝も気分の悪い事があったばかりなんだ…聞かないでくれ少年、声を掛けてくれた事感謝する」
リカルドは立ち上がり一人大階段を降りていくと残されたベルは立ち上がり、意を決してリカルドにある提案をした。
「あの!西の大通りに豊穣の女主人って酒場がありまして、約束がありましてですね…良ければご一緒しませんか!」
「………」
自身の信じる神が蔑ろにされるのが気に食わんか。それに酒場か、食事はあるか…食事…金もある
「…少年、先に行っている」
「はい!すぐに行きますから~」
ベルははち切れんばかりの笑顔で手を振って応えた。
戦士には見えんな。
西の大通り沿いにその店はあった。
扉は開放されており店内の明かりが大通りを照らす
店の正面には巨大な看板が付けられており、遠くから見てもすぐにわかる
ここは数多くの冒険者が集まる酒場
~豊穣の女主人~
店内に足を踏み入れると一人の給仕が近付いてきた
「いらっしゃいませニャ~!一名様かニャ?」
「失礼、待ち合わせなんだが多分後から二人来る」
「今日は団体様が入っているニャ、カウンター席でも構わないかニャ?」
「ああ」
「ニャ~!カウンター席三名様ご案ニャいニャ~!お連れ様は後から来るニャ~!」
カウンター席は長い凹上になっており角の席に座りカウンターを見ると調理の終えた皿を給仕に渡す女性と目が合う。
「あんた、店に来るのは初めてだね?」
「あぁリカルドだ。今朝方にこの街に来たばかりだよ」
「私はこの店の店主だ、ミア・グランドだよ」
自己紹介が済むと店主は料理の下準備に戻り、リカルドは目の前に置いてあるメニューを開く
メニューには本日のおすすめや旬のもの、酒類など一目で分かるように創意工夫がなされている
「何にするんだい?」
「知り合いが来るだろうからな、食事はその際に取ろうか。
ミアが頷き店の奥へと消えていくと一人のウェイトレスがこちらに近寄って来た。
「ご来店ありがとうございます!私はシル・フローヴァです。今後とも御贔屓に」
「リカルドだ、よろしく…今後の事は美味ければな」
「フフフ…その点はご心配なくです。ミアお母さんはオラリオで一番ですから。お連れ様が後ほどいらっしゃる様ですがどういった方で?」
「予定では二人だ…一人はベルと言うがもう一人は会った事がないからわからないな」
「ベルさんのお知り合いの方でしたか!」
「うん?…約束がどうのと言っていたが君の事か?」
「はい!今朝にちょっとありましてお夕飯はこの店で召し上がって頂く事になったんです。」
ペロッと舌を出しながらシルの顔は悪戯に成功した子供の様だった。
「シル!働きな!あんたシルの言ってた客の知り合いだったのかい?」
そうこうしている内にミアが戻ってきておりテーブルの上に醸造酒が置かれるとシルに一喝し、シルは慌てて業務へと戻っていった。
「らしいな…しかし強かな娘だなミア・グランド」
「ミアで良いよ、気色の悪い。手を出したら承知しないよ」
「子供に手を出す趣味は無い」
アァ…コレは良い
二度と口にする事はない、否、口にした記憶すらもう無かったリカルドだが一口、また一口と口にする度に全身がナニカで満たされていく
…お…おい…あんた…
誰かが俺を呼んでいる
「あんた!」
「うん?なんだ?」
意識が戻る。どうやら呆けていたらしい
「なんだ?じゃないよ!全く…あんたのジョッキ空じゃないかい、なのに何度も飲もうとしてるし、気でも触れたのかい?」
ジョッキが空なのに何度も傾ける俺を心配して声を掛けてくれていた様だ。
「すまないな、酒を飲んだのは久しぶりだったもので少し呆けていた様だ、もう一杯頼めるかな?」
「良いけどさ、ウチの酒飲んで潰れるのはごめんだよ」
苦言を口にするとミアは忙しいのか給仕にジョッキを渡し、自身は目の前の料理を仕上げていく
酒の余韻に浸っているとエルフの給仕が追加の醸造酒をテーブルに置き一礼し業務に戻る。
再び酒を口にしたリカルドは一時の幸せと共に酒を呷る
五杯目を過ぎた頃、ベルが来たがどうやら一人らしい
ベルはリカルドに気付くと直ぐ様こちらに向かってきてリカルドに頭を下げる
「すみません!遅くなってしまって!」
「さっきぶりだな少年、気にする事はないぞ、楽しませてもらっている…で二人で来るかと思ったんだが…」
「すみません、実は…」
ベルは神の恩恵を更新してもらった後、リカルドの話をするつもりだったが何やら神を怒らせてしまったらしく
すぐに神は仕事の飲み会に出かけてしまったらしい
「神なんて気まぐれなモノだ、少年が気に病む事ではない」
「まぁまぁベルさん。リカルドさんの言う通りですよ、せっかく来て下さったんですから楽しんでいって下さい。」
シルがベルの肩に手を添えながらカウンター端の席に着席を促すとベルは顔を真っ赤にしながら席に座った。
ベルが座るのを見届けたリカルドは残った酒を飲み干し、ベルに提案をした。
「では食事にしようか」
…!
食事に夢中になっていたリカルドは我に返った。
酒と同じく食す事など記憶の彼方に消し去っていたリカルドは目の前の暖かい料理に心奪われ目に映る物全てを平らげてしまう。
ミアもそんなリカルドを見て本人の承諾も無しに料理を並べリカルドは置かれた料理に舌鼓を打つ
ベルの事などお構いなしである。
「…ふぅ」
漸く一息付いたリカルドにベルやミアが声をかける
「あはは…凄い食べっぷりでしたね」
「まさかこっちの客が大食漢だったか」
リカルドに用意された皿は既に10皿を越えており、その全ての食材が彼の腹の中に納まっている
自身の食い散らかした惨状を見るやリカルドは思わしげに
「…金の許す限りはこの店に通う事になるだろうな」
「はははっ!そこまで言われちゃ料理人冥利に尽きるよ!次の一杯はサービスしてやるよ」
「では蒸留酒を」「はいよ」
「時に少年よ、知らぬ間に良き雰囲気だな。今日来たのはお邪魔だったかな?」
ベルの隣にはシルが座っており何やら話し込んでいた様だ。
「えぇ!そんな違いますから!」
「違います!ヘンな事言わないで下さい!」
二人が顔を真っ赤にして否定の言葉をリカルドに投げ掛けるが…
「構わんよ俺は好きに飲んでる…しかし少年よ彼女は強かだぞ、尻に敷かれる事を覚悟しておけ。」
「ゑ?」「…怒りますよ」
ベルとシルで遊んでいるとミアがジョッキをリカルドの前に置き、質問を投げ掛けてくる
「あんたらはどんな関係なんだい?」
「困っていた俺に話しかけてきた物好きだよ、ファミリアとやらを紹介してくれるらしい」
「なるほどね~でもあんたならどこ行ったって声が掛かりそうな見た目だけど?」
「神の良い話は聞かんがこの少年は面白そうだったからな、食事の際に話を神本人に話を聞くつもりだったが来なくて良かったかもしれん。
来たら食事どころではなかっただろう。」
リカルドはそれだけ言うと酒の世界に入っていった。
「団体様のご到着ニャ~!」
入店時に言っていた団体客が来た様だがリカルドには関係がなくメニューのおすすめ順に酒を飲み続けていた。
「次は蜂蜜酒か」
「あのリカルドさんお代の方は大丈夫ですか?」
リカルドの懐事情を心配したシルが声を掛けミアがそれに乗っかる
「言っとくけどねウチはツケやってないよ」
「うん?…シルよ教えてもらった基準なら2万程はある筈だが…」
財布を出し中身をシルに確認してもらうと
「あ!そうですね~2万2千ありますから問題ないですね」
「もし超えそうなら教えてくれ」「わかりました」
「ところで…少年は一体何をしているんだ?」
リカルドの懐に問題がないと確認し終えたのだがベルからは全く反応が無くベルは頻りにカウンターに蹲ったり団体客の方を覗き込んだりしている。
リカルドがベルの視線を追って見ると金髪の少女を見ている様だ。
「少年は金髪好きか?シルはフラれたな?髪染めなどは売っていないのか?」
「……本当に怒りますよ?」
「ち!違います!え~とそのですね命の恩人なんですよ…」
シルで再び遊んでいるとベルが否定の言葉を口にするが顔が真っ赤な時点で否定しきれていない。
「命の恩人?」
「はい!ダンジョンでミノタウロスって怪物に襲われまして…危ない所を助けてくれたんです!」
「なるほど…それで惚れたか」
「うっ!違うって言ってるのに…」
「真っ赤にしたままでは説得力がないぞ少年、ミアよつまみも頼む」
「雑魚じゃあアイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねぇ」
団体客の酔っ払いが大声で他者を馬鹿にした話を語り出し周りの者が嗤う
話の内容・ベルの態度から察するに彼の話なのだろうが聞くに堪えないので割愛する。
「ベルさん!」
依然としてつまみを食し、酒を飲み続けるリカルドだった…が嘲笑に耐え切れなくなったベルはシルの声も無視し店を飛び出して何処かに去ってしまった。
シルは外まで追って行ったがリカルドは我関せずと変わらぬ調子で飲み続ける。
「…あなたは追うべきだ。」
見れば先程、酒を持って来たエルフの給仕がリカルドを睨み付けていた。
「何故だ?」
「あなたは彼の仲間だ。追うべきです。支払いも済んではいません。」
「…支払いは俺が持とう 知り合いはしたが仲間ではないし仲間であれば尚の事追う必要はない」
「…何故ですか?あの様子では行先は恐らく…死んでも構わないと?」
給仕からの重圧が徐々に増していく 相当怒っている様だ。
「はっきり言おうか?解らぬ女・子供なら引っ込んでいろ。少年は…ベルは少年から漢になろうとしているんだ…待っててあげるのが良い女らしいぞ?」
「……」
エルフの給仕はキレかかっていたがミアが制止する。
「リュー引っ込んでな。あんたあの子にファミリアを紹介してもらうんじゃなかったのかい?」
「まぁバベルには行くぞ?生きてれば会えるだろう?」
「……」「……」「……」
「ふぅ…そんなものかね?」
「あぁ…そんなものかな? では会計を頼もうか」
ミアとの会話を終え会計を済ませようとしたリカルドだが招かれざる神が酒を片手に近寄って来た。
団体客が入って来た時から気付いてはいたが、顔も見たくはない故に無関心を貫いていたのに…
「聞こえたで~!あんたファミリア探しとんの?」
「……あぁ」
コレは
「ふ~ん?…良し!今日は皆で打ち上げやねんよ!気分ええからここで入団試験受けさしたるわ~嬉しい?嬉しいやろ~!
ウチはロキ・ファミリアの主神でロキや。よろしゅうな~!」
酔っ払い神はリカルドを値踏みし勝手に話を進めようとするがリカルドは…
「結構だ」
「へ?」
「いらんと言っている」
「…え?え~とウチのファミリアはアレやで?ダンジョン探索でな!現役の中では一番でな!もうすぐにも歴代一位に…」
「主神は貴様なのだろう?」
「え?そやけど?」
「ならありえん、絶対に」
「………ア?」
引きこもりニートを何とか外に出す事に成功したリカルドは
ついでに大王の屁に包まれ行けなかったデーモン遺跡に行き
なんやかんやでデカい木を倒した
師匠に会う前に倒した為暫くは師匠に会えない…そんな友の声を聴いた気がした
そんな時レア様が図書館に攫われてしまった
救出の為に図書館に向かったリカルドは禿竜シースーに負け投獄されてしまう
獄中で目を覚ましたリカルドはガバガバ警備を抜けレア様と再会するが
レア様は既に正気を失った亡者にされていた
仕方なくレア様を葬ったリカルドは怒り狂っていた
見下げた竜だ!お前なんて…握ってやる!
竜を握り潰したリカルドは友から過去にいく方法を聞き
ウーラシールの過去に飛んだ
そこにはリカルド念願の騎士アルトリウスが彼を待っていた。
今までで一番死にまくりながらも不屈の精神と木目を取って来たリカルドは
遂にアルトリウス装備を手に入れた…が
あれ?…剣は?
友にサインを送り返ってきた返答は巨人の鍛冶屋に会いに行けとの事だった
盾にはシフのソウルが・剣は強化が必要だと知ったリカルドは
原盤とやらの為に小ロンド遺跡に足を踏み入れた