「テゾーロ!見てこれ!」
今日も村民たちといつもの同じように建築作業をしているとテゾーロの名を呼んで走ってくるシュガーが目に入る。
「あ、シュガーちゃんだ!」
「シュガーちゃーん!」
「シュガーちゃんは今日も可愛いねえ。」
「シュガー様だって言ってんだろ。何度言わせるのよ。ぶっ飛ばすわよ?」
シュガーが走る姿を見つけた村民たちは皆思い思いに彼女に声を掛けるがそれを一蹴するシュガー。
ある意味、この島に来てから2年既に見慣れた光景である。
シュガーに冷たくあしらわれるも気にせず笑い合う村民たち。
シュガーはシュガーでムスッとした表情を浮かべているが心底不愉快ではないのであろう。そのまま再びテゾーロの元へと駆け寄る。
「どうした?シュガー。」
「これ!!これ見て!これ!」
彼女の普段のテンションとは比べようがない程上がり彼に一枚の紙を渡す。
「ん?これは・・・ッ!?」
それは一枚の手配書であった。
しかしここでシュガーが騒ぎ立てテゾーロに見せる必要がある人物は1人しか居ないであろう。
『海賊女帝 ボア・ハンコック 80,000,000ベリー』
シュガーが渡してきた手配書には彼らが知る人物が載っていた。
「すごい!本当にテゾーロの言った通りになった!ハンコックがアマゾンリリーの皇帝で初頭手当に80,000,000ベリーですって!
テゾーロ!あなた未来でも見えるの?」
「そんなん見えねぇよ。たまたまだ。」
テゾーロはシュガーにそう答え彼女手配を戻しシュガーの頭をに手を起きポンポンと撫でる。
ブリキのおもちゃとシュガーの身長差は対して変わらずそして、頭を撫でられ頬を赤くし俯く少女の姿に周りで作業していたおもちゃ達はすかさずシュガーを茶化す。
「やっぱりシュガーちゃんはテゾーロさんが大好きだね。」
「頬赤くしてるシュガーちゃん可愛い〜。」
「うっせぇ!バカッ!黙ってろ!」
シュガーは村人たちの声に顔をハッとあげ、その場から多少名残惜しいが瞬時に退き茶化す村人達に中指を立て吠える。
「照れ隠しのシュガーちゃんは今日も可愛いねえ。」
「だーーかーーらーー!シュガー様だって言ってるでしょ!!もういい!お腹すいた!帰る!」
シュガーは先程までニヤけていた表示を瞬時に引き締め今度はプンプンと怒るようなその場を後にする。
いくら、短気の彼女とは言え喧嘩を買う相手は選ぶし考えるのだ。
現在この島での開拓のほとんどは終わり現在順次改築及び増築作業に勤しんでいる。
それは防衛機能のためであったり、自分たちがおもちゃから人間に戻ってきたときの為のことを考えての作業である。
いつ戻るのか。明確にはテゾーロは伝えてはいないが、その時期は恐らく近いであることはなんとなくであるがシュガーもさらにほかの村人達も感じている。
急ピッチに進む実験的な農作業や、学校、その他住宅の改築。
元々住んでいた動物達のために島の最北端半径一キロ程は今後もその環境を残す為に置いているが、
それにこの一年で前年と大きく変わったことは未だに観光客のようなものは来ないが、時折海賊が消息を断つという噂を聞きつけたのか、商船が時折来るようになりそこで鉄や衣服。日用品などを買えるだけ海賊から没収させてもらった黄金で払う。
そして金回りがいいと噂を聞いたのかその後海賊がこの島を訪れまた黄金を徴収してもらう。
幸か不幸か海軍らしき船は未だ近くに寄ることもないが。
しかしそれ以外は順調に彼らは人間への生活を取り戻すべく力を蓄えていた。
現在島での生活は三つに分かれる。
一つ 村の増改築をする者たち
二つ 学校にて勉強を学ぶ者たち
三つ テゾーロに時折訓練してもらい後は己らで力を溜める自警団的なことをする者たち
以上の三つである。もちろんテゾーロは全ての件に関わっておりこうして今日は増改築するグループと一緒に作業を行なっていたのだ。
ちなみにであるがモネは主に学校にて教鞭を執り、シュガーとピットは戦闘訓練一辺倒であった。
しかしこの一年でも2人はテゾーロに土をつけることは出来なかったが、去年までと違う点が2つ。
まだまだ未成熟であるが見聞色の覇気が多少使えるようになったこと。
そしてもう一つは2人ともポチに一方的にやられないようになったことである。
ポチ自身は覇気については覇王色しか使えないので勝ってもらわないと困るというところではあったが。
なにはともあれ
「やっぱり多少の事象が起きてもある程度原作の流れを取るのか。」
彼はその場で1人ごちるが、誰もその呟きを聞き取る事は出来ず、しかしテゾーロ自身は1人若干晴れやかな表情をして再び作業へと戻った。
現在五老星と呼ばれる世界の中心的人物達が話し合いを行っていた。
その場には昨年から海軍元帥と昇格したセンゴクが参加し6人で話し合っていた。
議題は一つ。
空白となった七武海の地位の一席についてである。
「では、その海賊女帝なる者に打診するという事で構わんな。」
『はっ。ボア・ハンコックは強力な能力者であり対峙した海賊、海軍共に男達は皆、石化の呪いを掛けられるほどの強さであると部下から聞いております。ここは早急に手を打つべきでしょう。」
「それでは、七武海の一席をとその海賊女帝なる者に打診するように。
それとだ。センゴク元帥。元帥となったお前をここに呼んだのは何も七武海についてではない。
あの事件から早2年。そろそろフィッシャータイガーなる魚人を捕まえるべきではないか?」
五老星の1人がセンゴクに問う。予想してたとは言え未だその魚人を捕まえることは叶わず、センゴクから冷たい汗が噴き出す。
「申し訳ありません。現在目下捜索中ではありますがなにぶん魚人故いつ何処から現れるか予想出来ないものでして。
加えてタイヨウの海賊団なる魚人連合で組織され海中からも襲ってくるため「言い訳はいらん。私たちが望むのは成果だ。経過などに興味はない。良いかセンゴク元帥よ。なるべく早くその魚人を捕まえよ。地上では英雄と囃し立てる者まで出て来ていると聞く。何を差し置いてでもその魚人を捕らえるのだ。」
センゴクの言葉を遮り一際身体の大きい五老星が彼に威圧を送る。
その回答に努力しますなどの曖昧な言葉は許される雰囲気ではないことをセンゴクは察し、ただただ頭を下げるだけであった。
『もう良い。下がれ。だか何においてもその襲撃犯の首謀者を捕まえる事が貴様らの第一目標であることを再度認識せよ。」
『はっ!失礼します!」
こうして今日もセンゴクが胃痛に悩まされるイベントの一つが終わったことに安堵しながらその部屋から出た。
センゴクと五老星から早半年が立ちあの事件から三年が経ったある日。
「タイの兄貴。」
「あ?どうしたジンベエ。」
ジンベエと呼ばれた魚人は口に二本の牙が空へと向かい生えており、黒髪に所々金髪が混じった長髪をオールバックにしており、その巨体は何処にいても目につく。
゛海峡゛のジンベエ。
魚人島屈指の荒くれ者ものであり、その腕もそれなりに立つ。
海峡という二つ名までつけられるほどの人物がカシラと呼ぶ人こそ彼ら魚人の英雄。ひいてはこの世界の英雄と呼ばれた男。
フィッシャータイガーその人である。
ジンベエの巨体を更に超える偉丈夫であり、襲撃後グランドラインの壁を素手で降りるという信じられない力技を持って聖地を離脱。
その後単身で魚人島にて帰還すると当時からフィッシャータイガーを慕っていた。
故に血眼に今回の事件の首謀者であるフィッシャータイガーを探す海軍とともに戦うためネプチューン軍であった地位を捨て、同じく魚人島で海賊をしていたアーロンとともにタイヨウの海賊団を結成し、フィッシャータイガーの不殺の誓いをかろうじて守りながらも現在も各地に囚われている奴隷を解放すべく今日も海軍と戦っていた。
そして何度もその海軍の襲撃を退け彼らはフィッシャータイガーだけでなくジンベエにも懸賞金をかけた。初頭手配では2000万ベリーとそこまで、ここ
「ここの島民がどうやらタイの兄貴に話したいことがあるそうじゃ。」
ジンベエに声を掛けられ現在とある島の港にて停泊していた船から彼はでてデッキへと出る。
そこには恐らくこの島の村長であろうか。ある程度年齢がいった老人が少女を抱いて立っていた。
「もし!!どうか頼まれてくれませんか・・・・。この子は3年前のあなたの奴隷解放の際にマリージョアより逃れてきた子です。
しかし、この子のいる故郷はここよりも遠く・・・。我々の航海術では連れてゆくことが出来ないのです。」
そうして老人に押されるように彼ら魚人の前に立つ少女をフィッシャータイガーは見る。
にこにこと正に作り笑顔ですと言わんばかりの笑顔を張り付けた少女の顔を。
「コアラです。11歳!3年前はありがとうございました!」
少女は自分の背丈の何倍もする魚人たちの前に出ても緊張している様子はおくびも出さずしかし、その張り付けた気色の悪い作り笑顔が彼、フィッシャータイガーを不安にさせる。
3年前から奴隷ではなくなり自由となってもなぜ、天竜人に向けるように作り笑顔をつくるのか。己は天竜人と一緒ではない。貴様のような人間と一緒ではない。
彼フィッシャータイガーが一瞬黒い感情に支配された瞬間彼はふと思い出す。いつぞやオトヒメ王妃が言った子供たちにという言葉を。
今、目の前にいる少女をオトヒメ王妃なら救うだろうか?彼はふとそのように考え瞬時にその考えを忘却する。
(無駄だな。そんなこと考えてもあの人なら未来のことなど打算的に考えずこのコアラと名乗る少女を救うだろうな)
彼はもう一度、今度は観察するようにコアラに目を向ける。
別になんてことはない人間のことである。これからの航海成り行きで時にはオトヒメ王妃のように偽善かもしれないがそれをしてみてもいいのではないか?
答えは一瞬であった。
「あぁ。成り行きだ。構わねえよ。野郎ども出航準備だ。」
彼は冷たくそういうとその場から翻り船長部屋へと戻っていった。
「ニヤニヤしてんじゃねぇよ!癇に障るガキだ!!」
出航して間もなく事件が起こる。アーロンが終始ニヤニヤするコアラに対して殴りつけたのである。
大の人間嫌いであるアーロンからすれば、そもそも人間と同じ空間にいるというだけで虫唾が走る。
アーロンに殴り飛ばされデッキをすべるように飛んでいくコアラにアーロンは尚も追い打ちをかけるべく彼女に近づく。
「アーロンさん!まだガキだぜ!!」
6本の腕を持ち2本の足で立つタコの魚人 ハチがアーロンを後ろから羽交い絞めするように彼を抑える。
アーロンに殴られ、額が割れ、鼻が折れ、とどめなくコアラから甲板へと血が流れる。
ビリッ。
彼女は己の顔に手を付け痛みを抑える仕草もせず、すぐに体を起こし、己の衣服を一部破りすぐさま血が付着した場所を拭う。
「汚してしまいすいません。働きますから。手を止めず働きます。すいません。すいません。」
彼女の手は止まることはなくその汚れを落とすべく甲板を拭きあげる。
しかし彼女自身から流れる血によって拭った場所も再び血が落ちる。
「なにしとる・・・。おい・・血が・・・」
ジンベエが彼女のそばに座り込み彼女に問いかける。
「なにがあっても泣きませんから殺さないでください。
彼女の手は尚も止まらず動き続ける。
「おい。やめんか。わしらが恐ぇのか?」
「はい。でもおかあちゃんに会いたいから。それに手をとめたらあなたたち殺すかもしんないでしょ。役に立ちますから。働きますから。殺さないでください。」
彼女はいまだ手を動かしつづけながら正面に座りこんだジンベエをみるため顔をあげた。
「!?ッ」
ジンベエは思わず言葉を失ってしまう。額がアーロンの鮫肌に触れたのか横に割れ鼻は折れ曲がり今なお血を流し続ける。しかし彼女はそれでも目に涙を貯めることなく終始笑顔なのだ。
奴隷とはここまで根が深いんかっ!!!
彼になんとも言えない怒りが沸々と巻き起こる。それは今はまだ何に対してなのか彼自身分からない。しかしそれは確かにジンベエの心の中に棲みつく。
「お頭っ!!」
船員のだれかが彼らの船長に気が付き声をあげる。
ジンベエはハッと意識を戻し後ろに振り替えるとそこにはフィッシャータイガーがコアラを見下ろしていた。
「このガキを俺の部屋に連れてこい。」
彼は淡々とそれだけ言うと再び船長室へと戻っていく。
しばしその様子に呆けていた一団も船長が部屋にもどりドアが閉まった音で我に返る。
「おい。きやがれ。人間。」
乗組員の一人が彼女の小さな腕を掴み引っ張るように船長室へと入っていく。
だれもが室内でなにが行われるのか耳をすませる。静寂があたりを支配したのはわずか一瞬。
「ああああああああああああああああ!!!!!!!」
突如として人が絶叫する声が響き皆が顔を見合わせ驚く。
彼らの知るフィッシャータイガーは不殺を貫き弱きものを守るものである。しかし、なぜ今彼の部屋から少女の絶叫する声が響くのか。その疑問は次の瞬間には解決された。
バタンッ!ドンッ!突如船長室の扉が開きそこから投げられるように飛んできた少女コアラ。
彼女の背中からジュウ~と肉が焼ける音が聞こえあたりにもその匂いが充満する。
そして続いて出てきたフィッシャータイガーの右手には熱く熱せられ真っ赤に染まる焼き印の器具。
「止血を。烙印が残ってしまっていたら忘れるもの忘れられねえ。」
コアラはしばらくの間気を失っており目が覚めると手当されたのか体中にまかれた包帯にひどく動揺する。
そしてなぜか彼女のそばに立ちコアラをみつめるフィッシャータイガーに彼女は伝えた。
「すいません。気絶してしまっていました。だけど私泣かなかったから。殺さないでください!何をされたって泣きま「泣きゃあいいじゃねえかよ!!!!俺たちをあの
「おい。これをよく見ろ。」
フィッシャータイガーはコアラの目の前に拳銃を取り出し、彼女の視線が拳銃を追ったと確信したとき、それを海に投げた。
「いいか。俺は、俺たちは誰も殺さねぇ。誰にもころさせねぇ。泣きたかったら泣けばいい。怒りたかったら怒れ。笑いたかったら笑え。俺たちは奴隷じゃない。お前ももう奴隷じゃねぇんだ。母親のとこに戻りてぇんだろ?
安心しろ。俺たちが必ずお前を送ってやる。
いくぞ。お前ら。こいつは必ず故郷へ送り届ける。」
「「「「おぉー!!!」」」
フィッシャータイガーの言葉に船員はみなそろって声を上げる。
「あ˝りがどうございまず!!!」
そして彼女。コアラも今までずっと堪えて流していなかった大粒の涙を流した。
世界は激動の世界へと一歩また一歩と近づいていく。
ハンコック手配されましたね!それに若干でありますがコアラとジンベエ、コアラとタイガーのシーンも改竄しております。よろしくお願いしますー!
次回の更新は恐らく遅くても今週土曜には公開出来ると思います。よろしくお願いします。