七武海 黄金のテゾーロ   作:たんばりん

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第15話 船出

「ウォーターセブンへの永久指針(エターナルポース)?」

 

現在テゾーロは集会所の中の一室に設けられた市長室と呼ばれる部屋で執務を行なっていた。

聖地襲撃から既に3年。さらに影で英雄と謳われた解放の英雄フィッシャータイガー処刑のニュースが世界を震撼させ2か月。彼ら、テゾーロ一行は人間に戻ってからも着々と島の発展を行っていた。

話が変わるが、彼らがおもちゃの時の3年は非常に忙しかったと言えるが彼らはおもちゃという特性を最大限に生かし、その発展を大きく行なった。

島の名が『黄金とおもちゃの国グラン・テゾーロ』という名に恥じないように、そのグラン・テゾーロという名を活用するかのようにテゾーロ達はゆくゆくは観光客あふれる島を目指し開発を行っていた。

結果的にいまだ観光客は来ないが島民が凡そ2000人が生活していく分にはそこまで不自由というほどのものではなかった。

 

しかし一つ、上手くいってない点にテゾーロは頭を悩めていた。

観光客と呼ばれるような客が全く来ないのである。

完璧に来ないといって差し支えがないレベルである。

ただ海賊がこの村の噂を聞きやってくるが皆、黄金に目を奪われ、乱暴狼藉を図ろうと来るため丁重に宝だけ徴収した後は小舟にて帰ってもらっている。

 

しかし、海賊だけだ。あくまでこの島に訪れるの海賊だけであり、身の回りの品はとりあえず海賊の船から物資を取り上げるか、テゾーロの力により、非常に贅沢な話であるが服が無いものは皆黄金の水着を着用している。

幸か不幸か、この島は夏島であり、一年中夏であるがゆえに出来ることであろう。

しかしほとんどの人間が性別問わず黄金の(女性はビキニ、男性は海パン)水着を着ているというのは少し現実離れしている感は否めないテゾーロである。

もっとも小さい子供、老人から優先して衣服は支給しているが現状では当分の間は全員に衣服が揃うことは難しいであろう。

やはり、どこかで貿易すべきであろう。何、黄金ならこの島に腐るほどある。

おおよそでしか見積もりできないが現在換金できるであろう、ここでは流動性金とでも言おうか、別にベリーに変えてもいい金がおおよそ3憶ベリー。

反対に設備やテゾーロの能力の特性上換金出来ない金はおおよそ10憶ベリー程だろうか。

ほとんどが聖地襲撃時に能力を用いて強奪してきた金である。

しかし、現状は2000人の島民が衣服も満足に着られず(実際能力で金を柔らかくしているので皆不満に思っていないが。加えて男性陣には好評である)食事面でもおもちゃであった期間にポチを筆頭に島を散策しあらかた食べれるものは確保、量産、保管しているため若干ではあるが余裕があるとは言え貿易をしなければ先はない。なにより、金はたらふくある。

しかし、この世界の海は記録指針(ログ・ポース)がなければ満足に航海もできない。加えておもちゃしかいない船員たち。そんな船を相手に商売してくれるような人などいるわけない。というわけでいまだここの島に移住して三年、遠海に出たことはほとんどなかった。それがいままでこの島内で自給自足を強いられていた理由である。

 

そして現在も今後のことについて考え頭を悩ませていた彼に思わぬ朗報があった。それがウォーターセブンの永久指針である。

 

「これしか無いな。」

彼はモネから渡された砂時計のような記録指針を手に取り執務室出るべく支度を始める。

「まさか、今から行くの?」

モネが彼の姿を目で追いながら問いかける。

「あぁ。丁度いい案が浮かんだ。すぐにバルディッシュに小さい帆船を港に浮かべるように伝えてくれ。

あと、俺と来るメンバーはピットとポチとシュガーにモネ、君もだ。

他のメンバーには俺から伝えておくから、モネはバルディッシュに帆船の伝言と、ポチを元の大きさに戻すように伝えてくれ。

後、プルートは島に残り引き続き学校で教鞭をとり、もし緊急の時には電伝虫を使って連絡してくれとでも伝えておいてくれ。それと、これをプルートに。」

そう言ってテゾーロは足元に無造作に置いてあった木箱と、テゾーロが書いた手紙をモネに渡す。

手紙は2通。一つはプルートと、もう一つはヒナと書かれた物を彼はモネに手渡した。

「もぅ。いつも急なんだから。この間だって・・・「す、すまん。先を急ぐのでな。三時間後に港に集合だ。頼んだぞモネ。」

彼はモネの説教が始まることを察知するとすかさず他のメンバーを探すべく部屋から出た。

モネの気持ちも分かる。

この3年、彼の思い立ったらすぐ行動に真っ先に振り回されて調整させられているのはモネであった。しかし彼女はなんだかんだ言いながらもその役目を見事にこなし、現在テゾーロの秘書のようなポジションに立っている。

ポチはあくまでペットであり、シュガーは変わらずに女王(笑)だが。まあ、ピットはペットその2と言ったあたりか。

テゾーロはそのまま恐らくピットとシュガーがいるであろう隣の建物。今や完全に校舎だと一目に分かる学校と呼ばれた建物へと向かう。

 

 

「シュガー様。お茶が出来ました。」

「うむ。くるしゅうない。」

「シュガー姉さまっ!僕を踏んで下さい!!!」

「死になさい。駄ウサギ。いえ、むしろこの世の存在そのものごと消えなさい。」

 

・・・。

テゾーロは現在目の前の光景に言葉を失っていた。

学校の校庭にて幼い子達であろう。正直全員がおもちゃであるが、もちろんテゾーロも彼女達のことを知っている。

算数を教えるためであったり護身術として覇気を教えるためであったりと頻繁にこの学校に教鞭を振るうため訪れるのだ。その場にいる全員とも面識はあるし生徒達である。無論彼女達のグループが何歳かも凡そであるが把握している。

 

もちろん今から市長室に戸籍を取りに行けば正確な年齢が把握できるが。

彼テゾーロはこの村の開拓と同時に現在島の村民が総勢何人なのか。

そして年齢、前職などを記載する住民票なるものの提出を義務化し現在それは市長室で管理されている。

届出の結果、この島に住むのは総勢2150人。

それの9割が現在20歳を超える。

そしてここ、グラン・テゾーロの学校に通う事が出来る年齢のラインは決めてはいないがだいたいが現在5才〜18歳の者達が通っている。

まあ、主になので、例外もあるし、ここの学校で学ぶ最年長は21歳であるが・・・。

聖地襲撃時点では2歳であろう子供達は親と一緒にテゾーロについて行くことを選ぶ者が多かったのも子供が元奴隷の割に多いという理由であるとも言えよう。

 

そして現在シュガーとピットは校庭にてピクニックシートを引き、あれは恐らく5歳〜7歳のこの島での最年少女グループであろう。

彼女達とおままごとを興じていた。

 

シュガーは意外にも年下の子供に対しては癇癪を起こすこともなく。彼女達の遊びにも率先して付き合うことにより、現在学校では絶大な支持を子供達から得ている。

まあ、これは何も学校だけではなく、村民の大人達もシュガーのことを恩人と考え、彼女のワガママについても微笑ましい感情を抱くほどこの島の人たちに好かれているのであるが。

 

「シュガー姉さま。そのようなお茶はなんではいけません!!飲むならまず私めに毒味を!毒味をさせて下さい!」

シュガーを囲みワイワイしている集団から外れ一歩離れた馬車からその低い背丈で見えないのか、ピョンピョンと跳ねながら自分存在をアピールする。

 

「話しかけないで。駄ウサギ。」

「そーよ!ピットはあっちいって!」

「邪魔よ!!私たちの邪魔しないで!」

シュガーがいつものように彼を冷たくあしらうとそれに便乗するようにシュガーの周りでおままごとに興じていた子達もピットに悪態をつく。

 

「ぐっ!!僕はこんなことで引けない!むしろもっと!!!もっとくれ!いや下さい!」

ピットは年下の幼女達に何を言われようとも、シュガーにあしらわれようともシュガーの身を案じ、彼女を守る騎士のように勇敢に困難と立ち向かう。

(と、以前の俺なら思ってたな。)

テゾーロはそこで「はあっ」とため息をつくと、彼らの元へと近づく。

「おい。仕事だ変態ウサギ。それとシュガー。」

 

「テゾーロっ!!」

「「「わーー!先生だ!!先生ぃー!!!」

「ゲッ!!!テゾーロさんっ!?」

上からシュガー、幼女達。ピットの順である。

シュガーはおままごとに興じる自分を見られた恥ずかしさ。

幼女達は島の英雄、そして自分たちに学を教えてくれる先生に会えたことに対しての嬉しさ。

ピットはただひたすら鬼を見るように恐ろしさを。

三者三様の感情を抱き彼の名を呼んだ。

 

「先生!先生もわたしたちと一緒に遊ぼー!」

「遊ぼー!」

彼女達はテゾーロに駆け寄ると彼の手を掴みピクニックシートの中に誘導する。

「悪りぃな。お前達。俺とシュガーとピットはこれから仕事で少し出てくる。心配ない。プルートがいる。少しの間この島で留守番を頼むぞ。」

彼はそういう時彼女達の頭を順に撫でていく。

 

「そうゆうわけだ。シュガー、ピット今すぐ出航の準備をして3時間後に港に集合だ。」

「テゾーロさん。出航する分には構わない。ただ何処にいくんですか?」

この一年でそれなりに礼儀を学びぎこちなくとも敬語を少し使えるようになったピットがテゾーロに問う(もっとも、戦闘中は言葉が荒くなり一人称も俺になるような若干多重人格っぽいが)

「水の都。ウォーターセブンだ。」

「うーん。僕は聞き覚えないかな。まあ仕事というならすぐに行きますが。」

「シュガーも、悪いな。楽しんでる最中に。」

「べ、別に楽しんでるわけじゃないわ!!女王として!そう。女王としての仕事よ!」

シュガーが赤面しながら声を上げるとその言葉を聞いた幼女達は目に見えて落ち込む。

それを見たシュガーはすかさず「ていうのは建前よ。楽しかったわよ。貴方達。また私と遊んでね。」

というと彼女もまたテゾーロ同様に彼女達の頭を順に撫で彼女達の元から離れテゾーロ邸に戻るべく帰路に着く。

 

「何よ。テゾーロ。」

ギラリと効果音が付きそうな程こちらを見て先程からずっと微笑むテゾーロを睨みつける。

「いや、お前も大人になったんだなって思ってな。」

彼はそう言ってシュガーの頭も優しく撫でる。

「・・・。あっそ。」

言葉とは裏腹にシュガーの顔はほのかに赤くなりその顔はどこか優しい笑みを浮かべていた。

 

その様子を後ろからついて行くように見ていたピットは思った。

(あれ?僕も居るんだけど。あ、これが放置プレイという奴か!!)

ピットは本日も平常運転であった。

 

 

「さて、お前らに集まってもらったのはこれから遠海、まあ目指す場所はウォーターセブンだがそこに行こうとおもう」

現在彼らは島の港に停泊する金色の帆船の甲板にいた。

帆船自体の大きさはそこまで大きくなく10人ほどが長期航海したとしてもそこまでストレスを感じないような大きさである。

もとは海賊船で、この島に押し寄せてきた奴から頂いたものと、聖地襲撃の際強奪して逃げた海軍の軍艦を一度分解し、海楼石を積み、船内は男子部屋、女子部屋、キッチンにダイニング、航海士部屋、船医室、宝物室、あと船長室が造られ船首には金色の狼をモチーフになれた見事な彫刻が前方を睨みつけ雄たけびをあげるが如く口を大きく開き威嚇している。

もちろんこれはテゾーロが用意したものであるが。

もちろん彫像自体はいつでも金に戻すことが出来、彼自身、今乗っている船に思い入れも全くと言っていいほどない。

ただ、人数的にこの船が丁度良いと判断し、加えて海賊が襲いたがるように船を金で覆っただけである。

船はウォーターセブンで作ってもらおうと考えている故に、この船はあくまでそれまでの繋ぎの船というわけである。

「テゾーロ、それはいいけれど航海士とかは?このメンツでそのような・・・」

モネは今甲板にいるメンバーを見渡す。

シュガー、横にピット、テゾーロとポチ、そして小型化した巨人族バルディッシュである。

だれも航海術をもっている者などいなさそうである。

「テゾーロ?」

モネの心配を察したのか姉妹のシュガーもメンツを見渡し、最後にテゾーロに目を止め問う。

「・・・・。」

答えは無い。ここにいるメンバー、そしてポチさえ思ったであろう。

゛あ、この人何も考えてない゛と

「・・・。」

尚もテゾーロからの答えは無い。

カシュッ。ボッ!

テゾーロはおもむろにポケットの中から海賊から奪ったライターと煙草を取り出し口に咥え、火をつけた。

「ふーーっ」

テゾーロが煙を吐くと臭いがだめなのかいつも横から離れないポチは若干距離をとるべく離れた。

「わりぃ。忘れてたわ。まあどうにかなるだろ」

テゾーロは片手をあげ謝りの意味を込め軽く悪い悪いと手を挙げた。

 

「まあ、仕方ないの。俺も今回の船旅は生活物資等もそろえるためと思っているし、元々奴隷の俺たちに航海術を持つ者などおるまいよ。テゾーロ、俺にも煙草くれるか?」

バルディッシュはテゾーロのそばに歩み寄り煙草を一本もらい受けテゾーロに倣い火をつける。

「まあそれもそうね。まあ航海が無理そうならまた戻ってくればいいわよ。ここはもう私たちの故郷なんだから」

モネはバルディッシュの言葉に賛成し、そして彼女は右の手の甲を皆に見せる。そこには依然、天竜人の奴隷の印が刻まれていたが今は金で着色された星のマークが刻まれている。

モネの手の甲をみてテゾーロも己の衣服の中のマークを思い浮かべる。背中にはいまや巨大な星のマークが刻まれている。

それはシュガーの腰にもピットの足にも、バルディッシュの右肩にも同様に、以前は天竜人の奴隷を記す烙印は無い。あるのは人体には不可思議なほど金色に輝く星のタトゥー。もちろんテゾーロの能力であるが、島民は全員が体のどこかに金色の星が刻まれている。

「あぁ。でも島民のためには食料と服だけでも買ってやらねえとな。俺たちだけじゃ悪ぃしな」

テゾーロの声に皆が頷く。

「なにはともあれ、出航だ!帆を張れ!!俺たちの初めての船出だ!」

「「「応ッ!!!」」」

テゾーロの号令でみなが船を動かすべく駆け出す。

しばらくもせずに、船はゆっくりと風を掴み港からその金色の船体は離れていく。

「おまえら!!!!行ってくる!!!」

テゾーロは港でわざわざ見送りにきていた数十名の島民に手を振りながら、これから向かう場所へ思いを馳せた。

 

「じゃあ、狼の上は僕がもーーらいっ!」

やがて船が完全にスピードを上げ沖へと向かう頃ピットが船首の狼の彫刻の上へと昇った。

「へっ!?うぼっ!!」

しかしピットが船首に上った瞬間シュガーが飛び蹴りをくらわしピッドは甲板に吹っ飛んだ。

「ここは!女王様の特等席に決まってるでしょ!!この駄ウサギ!!百回死んできなさい!」

そしてシュガーは黄金の狼の頭の上に仁王立ちし、海を眺めた。

そこにはとてつもない夢が、未来がこの先待っていると予感させるほどの美しい眺めだった。

 




次回の更新は明日の0時過ぎに更新します!
ですので、明日は0時と18時に更新しますのでよろしくおねがいします。30年9月8日作者より
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