今後も余裕があれば公開致しますのでよろしくお願い致します。
幕間 色気より食い気
「「水水肉うっまー!!!!!!」」
シュガーとピットが口を揃えて今食べた物の感想を叫ぶことこれで何度目か。
既に彼ら二人が食べた水水肉の数は一人10個を超えても未だに飽きず、その感想も変わらない。
『水水肉』このウォーターセブンで代表的な料理。
読んで字の如く見た目は肉だが水風船のように柔らかく水を豊富に含んでいるためにその名は『水水肉』
テゾーロ自身は騒いでいないが、その味は前世のどの料理にも属さないレベルで美味いモノであった。
「おばちゃん!!おかわり!おかわりちょうだい!!」
ピットが水水肉を売っている屋台の店主である年を召した妙齢な女性におかわりをせがむが店主は首を横に振る。
「もうアンタらに出した分で終わりだよ。すまないねぇ。」
店主の言葉にシュガーとピットが肩を落とす。
「もうないの?」
シュガーが目に見えて悲しい顔をして店主に問うた。
「しょうがないねぇ!こんな可愛い子に言われたら!!ならほんとに最後の一個だよ!」
そう言って店主はシュガーに水水肉を手渡す。
「いや、あるのかよ!!!!」
ピットがそれにすかさず突っ込むが、店主は苦笑いを浮かべた。
「これは本当はアタシ用だよ。賄いに残しておいたんだが、こんな可愛い子におねだりされちゃあ断れないじゃないか!」
店主は何処か胸を張るがピットはピットで恨めしそうにシュガーを見る。
「駄ウサギ。一口食べる?」
シュガーがピットの口に向けて手に持った水水肉を近づける。
「え?!意地汚いあのシュガーお姉様が!?!?え!?常に色気より食い気のあのシュガーお姉様が!?え!?本当に?!ありがとうございますッ!!」
ピットがすかさず口を開けその水水肉に食らいつこうとしたが、言いすぎたのか彼が肉を食べる前に顔にシュガーの鉄拳が飛ぶ。
「プギャッ!!」
拳が頬に当たり一瞬よろめくピット。
「やっぱりあげない。死ね。駄ウサギ。」
そう言うとシュガーは手に持った水水肉を口に運ぶ。
「おいひ〜!!」
シュガーがピットに見せびらかすように口をリスのように膨らませ、頬を両手で抑えとろけるように身体をクネクネしその美味しさを表現する。
「やっぱりくれないかよ!!ほらみろ!!!」
それについてピットがシュガーに噛み付くが、シュガーはそれを無視する。
「おばちゃん、本当にもうないの?」
ピットはシュガーに噛み付くのをやめ店主にウサギ特有の上目遣いでおねだりするが店主の言葉は変わらない。
「おばちゃん。お願い。」
シュガーも頬張った肉を嚥下し店主に更にないかとおねだりすると、店主が微笑み
「もう!しょうがないねぇ!はい!お嬢ちゃん!」
そして再び隠していた水水肉をシュガーに渡す。
「いや、あんのかよ!!!」
またピットが突っ込むが、彼女の意見は変わらない。
店主曰く、「本当は賄いように〜。お嬢ちゃんが可愛いから〜。」
という話であった。
その後もシュガーが、ピットに一口あげるそぶりをして、あげない。そしてピットが店主におねだりするが断られシュガーがおねだりすると店主の賄い用といって一つ渡す。
そしてそれをシュガーはピットに〜
といった流れを繰り返すこと5回。
最後には「本当にもうないの。ごめんね、お嬢ちゃん。」という店主の言葉でシュガーは諦めた。
その間テゾーロが思ったことは
「いや、おばちゃん、そんな隠してたのか?」
という感想だった。
「またくるね!おばちゃん!美味しいお肉ありがとう!!!」
シュガーが天真爛漫な笑顔で店主に手を振り彼らはその店を後にする。
普段はあまりテンションが高い時は少ないシュガーだが、こと食に関しては異常に機嫌が良くなるのだ。
一行は店を後に他の店を物色する。
「それにしても水の島って言われるだけはあるわね、何処も水路だらけね。」
モネが辺りを見渡し感想を述べる。
テゾーロもそこについても激しく同意見である。
もちろん海列車が全開通する前なので原作のイメージ程栄えているわけではないがそれでも水の水路はちゃんと整理されそこをブルと呼ばれる馬のような舟のような摩訶不思議な生き物が人を、物を乗せ縦横無尽に動き回っている。
「テゾーロ!あれ乗りたい!!」
シュガーは水水肉の興奮が未だ冷めぬのか妙にハイテンションで彼の服の裾を掴む。
「あぁ。折角だ乗ってみよう。」
テゾーロがそれに頷き近くに『ブルレンタル』と書かれた看板の店に入った。
「いらっしゃい!おっ!4名様と犬????狼??犬?」
店の店主らしき男性がテゾーロ達に声をかける。まあポチについては確かに今はバルディッシュの能力により小型され、あの巨体の大きさではない。それにテゾーロに対するあまりの懐きように確かに狼とは言いにくいかもしらんなとテゾーロは思った。
話が少し脱線するがバルディッシュは原作食料品と衣服の調達に行っているので現在は別行動である。
「あぁ、狼だ。それでブルを借りたいんだが、丁度いいのはあるか?」
テゾーロが店主に尋ねると若干困ったような顔を浮かべる。
「悪りぃが、ウチのブルはペット乗せられねぇんだ。だから預かることは出来るがすまない。他のお客さんの手前特定の客を特別扱いは出来ないんだ。もちろんペットを預かることは出来るが。」
店主の言葉にテゾーロは当然だなと思う。
「分かった。それなら預かってくれ。」
そう言って彼は店主にペットを預け用意された4人用のブルへ乗り込んでいく。
「ピットお利口さんにね〜。」
モネが店主に連れられているピットに向かい手を振る。ピットもそれに応えるべく軽く手を振った。
「って!僕なの!?!」
しばらくピットは手を振っていたが急に我にかえりその場で大声で叫ぶ。
同時に一緒にいた店主もピットと同じように驚いた顔をしていた。
「ちょちょ!ちょっと!旦那!!困るよ!!特別扱いはできねぇんだ!」
店主がブルで颯爽と水路を動くブルに向かって叫ぶ。
「あぁ、すまない。ではこれで何とか頼む。」テゾーロは店主にチップが入っている小袋を店主に放り投げた。
「そんな、いくらチップを弾まれても・・・!?」
店主がその袋の中身を確認すると中には眩い光を放つ金貨の束。鉄貨でも銅貨でも銀貨でもない。金貨だ。
文字通りギョッと小さく驚きの声をあげ店主の額から汗が流れる。
「いってらっしゃいませ。旦那様。」
店主の態度が180度変わり、彼は仰々しくお辞儀をし、テゾーロを見送る。
「わりぃな。無理言っちまって。」テゾーロが悪びれもない程度でそう伝えると店主も「いえいえ。旦那様きっての頼みです。お気になさらず!」
店主の言葉にテゾーロは頷きブルは走らせる。
「いや、ちょっと!テゾーロさん!!僕は?!」後方からテゾーロに叫ぶピットの声は次第に遠くなっていった。
「テゾーロ!水飴!水飴食べたい!」
ブルで水路を進む中、水路の両脇を店が囲いブルにのったまま買い物ができる通りに入った時シュガーがテゾーロの服を掴む。
「また食うのか?まあ俺も貰うかな。モネ、ポチいるか?」
テゾーロがモネとポチに問うがモネはそれに首を振る。
「もう食べられないわ。さっき水水肉をあんなに食べたもの。」
モネは自らのお腹をさする。
「じゃあ、わたしもいらない。」
モネの様子をみたシュガーが不服そうに答える。
「ワンッ!?」しかし、どうやらポチは食べたかったらしくシュガーの声に耳ざとく反応し、テゾーロも内心どうしたものかと考えるが、水飴自体は恐らく賞味期限等は長く持つだろうと考えブルを店の前に止め水飴を気持ち多めに買い込む。
「うっめ~!!」「ワンワォ~ン!!」
買った水飴を口に運ぶとテゾーロとポチはそのおいしさに声を上げる。
水水肉よりは驚きは少ないものの、この世界では甘味は彼の前世程当たり前じゃない。故にテゾーロも水飴購入に同意したのだ。
「シュガー。食ってみろ。それに飴でそんな太るわけねぇだろ。」
テゾーロは彼女の頭に手をポンと乗せもう片方の手にもった水飴を彼女の口へと運ぶ。
するとシュガーも初めは少し渋る顔をするも尚も口に近づく水飴に観念したのかパクッとそれを頬張った。
「甘ぁ〜い!美味しい!」
シュガーが水水肉と同様両頬に手のひらを当てクネクネと身体を動かす。
「テゾーロ!もう一個!」
シュガーが指を一本立てテゾーロに催促すると彼も笑みを浮かべ再び彼女の口に水飴を運んだ。
しばらくブルの乗りウォーターセブン観光別名食い倒れツアーに興じていたテゾーロ一行だがそれもそろそろお開きの時間となった。
何故ならテゾーロはこれからトムの元へ行き船の計画を進める必要があるからだ。
「それじゃあお前ら自分たちで帰れるな?」
テゾーロがモネとシュガー、ポチそしてその後合流したピットを目を向ける。
「えぇ。任せて。テゾーロも行ってらっしゃい。」
代表してモネがテゾーロに手を振るとシュガーもピットもそれに習い手を振る。
ポチは尻尾を振っていたが。
「でもわたし達は本当にいいの?」
シュガーがテゾーロに着いていこうか?と言外に彼に伝えるがテゾーロは首を横にふる。
「いや、俺だけで大丈夫だ。また夜には戻る。」
そう言うとテゾーロだけグループから離れトムズワーカーズの工房へと向かっていった。
「さて、シュガー。次は何食べたい?」
「水水肉!!」
テゾーロを見送ったモネはシュガーにまだ食べたいものがあるかという意味を込めて聴くと彼女は元気よく答えた。
「また?なら一緒に探しましょうか。ほら。ピットもポチも行くわよ。」
彼女らもまたテゾーロとは別にウォーターセブンを散策する。
シュガーの