「じゃあ、後は頼んだぞ。バルディッシュ」
「任せておけ。テゾーロも頼んだ」
現在彼らは港にいる。
船の着水式というか、お目見え式というものがあったのが昨日。
今日から、バルディッシュとテゾーロらは行動を別にする。
「三ヶ月で帰れるように努力するが、少なくとも半年以内には帰るようにするからなんとかジェル市長にもよろしく伝えてくれ。
もっとも恐らく島につけば黄金がちゃんともらえるかどうかなどあまり気にならなくなるだろうがな。」
「だろうな。俺らの島は黄金が多いからな。」
「じゃあ行ってくる。」
テゾーロがバルディッシュに手を振り船へ乗り込もうと後ろを向くと後方から声がかかった。
「ダッハッハ!成金坊ちゃんかと思ったら海賊旗なんて掲げよって!死ぬなよ!テゾーロさん!!」
その独特の笑い声で枯葉後ろを振り向かなくてもだれか判断できた。
「あぁ。また金を払いにくる。それまでな!トム!船はありがたくいただくぞ!」
テゾーロはまた振り返りトムに向かって声をかける。
「ドンッと行ってこい!!」
テゾーロはそれに手を挙げ答えると今度こそ船に乗り込んだ。
「さあ、行くか。」
「えぇ。」
テゾーロの声にモネが返事をし、ピットとシュガーが頷く。ポチはいつもと変わらずテゾーロの手に自分の頭を擦り付ける。
「出航だ!!!」
「「「応ッ!!」」」
テゾーロとモネは急ぎ足で管制室に向かい早速テゾーロは黄金を船内部へと流す。
ピットはすかさず船首の黄金の狼へと目指すが、シュガーに足を引っ掛けられその場に倒れ、その隙にシュガーが船首へと駆け寄り彫像の上に飛び乗った。
ビリリリ!テゾーロの手が火花を挙げ船は帆を自動的に下ろし、イカリをあげ、スクリューが動き出す。
やがて、スクリューが高速に動き出すと徐々に港から離れ、帆が風を掴みグングンとスピードを上げる。
「シュガー!ピット!喧嘩もほどほどになー!!!」
港にで見送りをしていたバルディッシュが大きな声で手を振りながらみるみる内に港から離れる船に向かって声をかける。
シュガーはそれに無言で頷き前方へと目を向けた。
前方は船の門出を祝う天気とは言えずどんよりとし、重い雲が広がっていた。
ゴールデン・ウルフ号。ジャヤに向けて出航した日、彼らは運悪く高波『アクア・ラグナ』に遭遇することになる。
「ヴォエェェェェェーー!!!!!」
ウォーターセブンを出航し、はや一日、現在彼らは広い海の真ん中でユラユラと揺れていた。
彼らはあの後、テゾーロが思うにアクア・ラグナと思わしき嵐に遭遇し、なんとかこのゴールデン・ウルフ号のスペックの高さで乗り切りきりやっと嵐が収まった海域に出たところだった。
「ヴォエ!!!!、オエェェェェェー!!!!」
もっとも嵐を乗り切った後でもピットはずっとダウンしているが。
「航海士はいるな。やっぱり。」
テゾーロは切実に思う。
流石にナミ程の航海士じゃなくてもいいが嵐をある程度予測出来る仲間は必要だとテゾーロも、他の人員も思う。
「それにしても、この子は頑丈ね。」
モネがゴールデン・ウルフ号のメインマストをパシパシと叩き先日の嵐を思い出す。
高波に晒されながらもある種悠々と航海出来たのはこの船のおかげだろう。
「あぁ。なにせ、宝樹アダム製だからな。それにシュガーも気に入ってくれてるようだしな。」
テゾーロがそう言って今も、船首の上に乗り空を見上げているシュガーを指差す。
「シュガー!どうだ?新しい仲間は。気に入ったか?」
テゾーロがシュガーに話しかけるとシュガーはボソリと「金狼・・・。」と呟いた。
「ん?どうかしたの?シュガー?」
モネがテゾーロを連れ今や定位置となったシュガー専用席の船首まで近づく。
「わたし、考えてた。金の狼。だから金狼。金狼海賊団ってのはどう?」
彼女の言葉にテゾーロとモネは向かい合って笑った。
ピットは今も甲板から海へ向かって嘔吐をしている。
「金狼か。いいんじゃねぇーか。あぁ。それなら今日から俺たちは金狼海賊団だ!!」
「えぇ!凄いわ!シュガー!ぴったりよ!」
2人してシュガーの意見に賛同し、彼女の頭を撫でる。
「わ、わかったから!そんなベタベタしないでよ!!」
シュガーが頭を振りその手から逃れようとするも、今度はモネがシュガーに抱きついた。
「もぅ!!可愛いんだから!!!このこのー!!」
モネが姉スキル全開でシュガーにじゃれつくが、シュガーは不機嫌そうな顔で「この胸が!!胸が邪魔!!!!じゃまーーーー!!!!!!」とモネの胸の中で叫ぶもそれはモネの胸の中でかき消され、テゾーロからは『モガーーー!モガーーー!」としか聞こえなかった。
「まぁ、それならそろそろ朝飯にするぞ。
おい!ピット!お前も飯にするぞ!」
金狼の海賊団は今日も自由に海原を航海する。
目指すはジャヤ。そして黄金都市シャンドラを求めて。
「それで、ジャヤにはあとどれくらいで着くと思う?」
テゾーロの声に食卓に座ったモネとシュガーは首を横に振る。
当然であろう。テゾーロさえもはっきりとしないのだ。彼女達も分かるわけがない。
そして現在ピットは今も変わらず甲板でダウンしている。
今日のメニューはクリームシチューとパンだ。
テゾーロ達は食事を当番制に分け、今日の当番はモネである。
見た目通りと言えばそのままだが、彼女は料理が上手い。
しかし逆にシュガーは料理があまり得意でなく、グランテゾーロのときも、加えてウォーターセブンにいる時もだいたいは彼女が当番の時にはモネが一緒に付いている。
テゾーロは普通に現代人の記憶を元に軽い料理なら出来るが、ピットは常に生き物の丸焼きである。
彼曰く、『丸焼きが一番美味しい。』らしい。
「まあ、でもまさか記録指針の反対側に進めばジャヤにつけるっていうのはな。」
テゾーロが出港前にトムにどうやったらジャヤに着くのか聞いたところ、トムが言うには記録指針の反対側に航路を取れば着くとのことだったので現在はその航路を通っている。
読者諸君もこの意見には意を唱えるかも知れないが、ここはそうゆう物だと思ってもらえたら良い。
「でもいくつかの島を経由するのよね?」
モネがスープをすすりながらテゾーロに尋ねる。
「あぁ。そうらしいな。まあ大丈夫だろ。なんとかなる。それにポチもいるしな!」
「ワンッ!」
ポチは今日もいつもと変わらずテゾーロの横で彼からご飯をもらえるのを待っている。
「そうね。ポチのお陰でなんとなくではあるけど嵐が来そうな感じが分かるけど・・」
「あぁ。分かるがどこに航路を取ればいいか分からないからな。」
「そうなのよね。やっぱり航海士は早急に欲しいわね。」
「「「はあ〜」」」と3人のため息が重なる。
「まあ、とりあえずはジャヤまでなんとかこのメンツで頑張るしかねぇな。」
テゾーロはそういうと手に持っていたパンを千切りポチの口に運ぶ。
「わかった。それならわたしはお風呂に行ってくる。」
シュガーは食べ終えたのかイスから立ち上がりお風呂へと向かう。
モネもすかざす後を追おうと追いかけるが、「来ないでよ!!!バカ!!」っとシュガーの声が聞こえるがモネは変わらず突進していく。
「ポチ。最近モネのシュガーラブ具合凄いと思わねぇか?」
「ワンッ!」
「思うか!そうかそうか!!!」
金狼海賊団は今日も平和である。
目指すはジャヤ。今日も航路はグランドラインを逆走し、ひた走る黄金の船。
乗組員は未だ4人と1匹。彼らの目下の目標はまずは航海士を仲間にすることである。
短いですが、一旦ここで切らせて下さい。短いので明日18時に後半を掲載します。