今後は気をつけたいとおまいます!
第9話 ブリキのおもちゃ達
時は少しだけ遡る。
「テゾーロ。本当に良かったの?」
「なにが?」
「みんなをおもちゃにしたこともハンコック達を行かせたのも。」
「あぁ、ハンコックには女人島の皇帝になってもらわないとな。
じゃないと俺の計画が「それなんだけど。テゾーロをおもちゃに変えるとハンコック達もあなたに対する記憶がなくなるからその、レイリーって言ってたっけ?その人に会えという約束も忘れちゃうと思うんだけど。」
「あっ・・・。しまったー!!!!!!
シュガーの力を使う作戦なのにそのことを忘れてたわ。
うーん。まあなんとかなるだろ!」
「「「なるのかよ!!!」」」
現在彼等テゾーロ一行は拠点になるような島を探すべく
カモフラージュとして軍艦の表面に薄く金を伸ばし加工し、海軍の物だとは見えないように隠蔽作業を施した船の乗組員はシュガー以外総勢2000人弱はブリキのおもちゃで構成されたある種不思議な集団が出来上がっていた。
(まあ、実際ほとんど原作を改変してない筈だし大丈夫だと思うが)
テゾーロはある種楽観的に考えていた。
実際物語は殆ど原作との差異は無いのだが。
「にしてもおもちゃになるっていうのはかなり便利な能力ではあるな。」
テゾーロは己のおもちゃとなった手を見ながら呟いた。
彼だけでなくシュガー以外の全員が今やおもちゃとなり、睡眠や食事は必要としない体になっていた。
聖地マリージョアから逃げ出してきた彼らにとって食事の心配をしなくていいというのは僥倖であった。
「テゾーロさん!前方に島が!島が見えてきました。」
頭にバンダナ巻いたピエロのようなメイクを施したおもちゃが話しかける。
「あぁ、それなら一度上陸しよう。その前に俺が少し偵察に行ってくる。お前ら全員は船にいてくれ。
ひさしぶりの地上の大地だ。無人島ならいいのだがな。」
バンダナピエロに言葉を返した全身黒のブリキのおもちゃは指にはまっていた黄金のリングのひとつを金色の鎧に精製し、その身に纏わせ、空中を『月歩』にて飛翔し、一人、島へと進んでいった。
「本当になんでもありね。彼は。」
そんな様子を見ていたモネは独り言なのか、横に居たシュガーに話しかけたのか判別しにくい声量にて話すがシュガーもまた
「そうね。でも彼だから私たちをあそこから救い出せることが出来たのだと思う。」
呟いた。
「無人島ならいいわね。」
モネが再び呟きいまだ空中を掛ける彼の背を見送った。
「おっ。丁度良さそうな島じゃねぇか。」
現在彼は一人で島に入り江に上陸し辺りを見渡していた。
入り江の前方から木と草が生い茂りジャングルのようになった島。
現在彼はおもちゃ故に温度を体感で察することは出来ないが、爛々と輝く太陽の陽に砂浜は照らされ蜃気楼も確認できた。
恐らく夏島であろう。
その島は彼が上陸する前に月歩で周囲を見渡した時は人の営みらしき影は見えず、島の大きさはおおよそであるが、全長10km程の大きさであった。
「人間は居なさそうだが、他の生き物は居るらしいな。」
彼が島に上陸した時から感じる獲物を狙うような視線を感じ、更に見聞色で気配を探ると彼がいる入り江を遠くから囲むように包囲する100匹程の四足歩行の生き物の気配を察知する。
「1匹だけやけに強い気配を感じるな。
悪りぃけどおもちゃの俺食っても美味かねぇぞ。」
彼がそう、前方に目を向け独り言を言うとタイミングを計っていたのか森から灰色に染まった狼の群れが一斉にテゾーロに駆け寄る。
「覇王色ッ」
別に「覇王色」とわざわざ言う必要もないが、彼自身、技名を叫ぶのは比較的カッコいいと考え、この世界に覚醒してからもその認識は変わっていなかった。
テゾーロが覇王色を放ったことにより彼に駆け寄っていた約80匹程の白い狼がその場で卒倒した。
「ガルルルルルルル。」
その様子を見ていたのだろう。
さらにジャングルの中から残りの約20匹の狼が姿を彼の前に現すが、警戒し距離を置き威嚇するにとどめる。
「大丈夫だ。殺してはいない。」
テゾーロは言葉が分かるかは分からない狼にそう声を掛けたあと。ジャングルの中に潜んでいた恐らく彼等の親玉らしき白い毛並みの巨大な狼が姿を現した。
「グラァァァアアア゛ア゛ア゛ア゛!!」
先程までの狼とは一線を画すかのような咆哮。
空気が震え、テゾーロは
彼自身は覇王色の覇気を習得しているが己に対してそれを行使されたことはない。
しかし、恐らく今自身が感じるそれはまさに覇王の器足りある咆哮であった。
「まじかよ!!狼のくせに覇王色っ!?
数百万人に一人だとか一握りだとかの能力じゃねぇのかよ!!」
彼が思わず原作に対して一言物申すがその答えは返ってこない。
美しい白い毛並みをした大狼が地を駆り巨大な爪で彼の命を刈り取るべく彼に振り下ろす。
「
巨大な刃のように尖った爪は彼に達する前に瞬時にテゾーロは己の身を黄金で包むとすぐさま鎧を成型した。
ガキンッ!!
爪と鎧がぶつかりあう音が響く。
「そんなんじゃ爪じゃあ俺に傷つけるなんてできねぇよ。武装色。
テゾーロの金色の腕が黒く染まり彼はその腕で大狼を殴りつける。
その拳は大狼の顔面に突き刺さり爆音をあげて狼は吹き飛ぶ。
狼はそのまま後方100mと飛んだのかジャングルの木を巻き込みながらもそれでも止まらずに飛ばされる。
やがてそれが止まった時には大狼は意識を失っていた。
「さて、まだやるか?」
彼はあたりを見渡し残った20匹の狼に覇王色の覇気を放つ。
「ほぅ。これくらいでは気絶せんのか?なら・・・」
テゾーロが先ほど80匹ほどの狼を卒倒させたレベルで覇気を放ったが残った20匹ほどにはどうやら耐えられるようであった。
それならばと彼がもうひと段階上で覇気を放とうとした時残っていた狼たちは地面に寝転がり腹を彼に見せる。
いわゆる絶対的強者に対して行う服従のポーズをとる。
「ん?もう終わりか?それならこれから仲間をここに呼ぶがもしてめえら俺の仲間に傷をつけたらタダじゃおかねえからな。」
テゾーロが狼たちに念を入れ凄むと狼たちは言葉がわかったのかその場で首がもげるほど縦に振り回し、テゾーロに対して恭順の意が伝わるように激しくボディランケージを行っていた。同時に全員が理解した。
もうこの島の王者は自分たち狼ではないと。
「へえ。なんだか鬱蒼としてるわね。」
モネは島の入り江に上陸したあと黄金の鎧をはずした黒いブリキのおもちゃに声をかける。
「まあな。ただ恐らくこの島には人間はいないはずだ。それに一番気配が強かった奴はさっき俺が仕留めた。ペットにでもしようかと思うんだが。」
「それはテゾーロの好きにしたらいいと思うわ。それよりもあそこに全員整列している狼はなにかしら?」
モネはそういうと前方に横一列にきれいに並ぶ狼を指さす。
そしてその列の一番手前側には殴られたことにより、若干顔がゆがんだ白い毛の大きな狼がテゾーロを見つめていた。
「あの畜生はメスよ。モネ。
わたしには分かるの。いますぐ殺すべきだと思うの。」
「そうねシュガー。テゾーロごめんなさい。やっぱりあの畜生は殺すべきだと思うわ。何故なら女王様のシュガーがそれをお望みですから。」
「お前らまだやってたのか。いくらシュガーにおもちゃにされたからと言って契約自体は結んでないんだ。
シュガーが女王やる必要もねえよ」
テゾーロは遊びに未だ付き合うモネにそれとなく諭す。
そうなのだ。彼等が皆シュガーにおもちゃにされて少しした時、誰かがシュガーをブリキの女王様と呼んだのが始まりだった。
それ以降シュガーを女王に祭り上げみんなでシュガーのご機嫌伺い(笑)をとる女王様ごっこが始まっていたのである。
テゾーロ自身も初めは少しそのノリに乗って遊んでいたが、ハンコックのこともあり、加えて大狼との戦闘ですっかり忘れていた。
しかし、そこで彼の頭に閃きの稲妻が脳内に走る。
(そうか!ただでさえ塞ぎガチなシュガーを皆でヨイショすればその性格も陽気に近づくのではないか!?)と。
故に、ここでは彼も少しその遊びに付き合う事にした。
「シュガー。いや女王様。あの大きい狼はどうやらこの島での主のようです。
あいつはなるべく生かしたままの方が得策だと思うんですが。」
「うぅ〜。テゾーロがそう言うならわたしは従うけど・・・でも、うーん。分かったわ!特別に生かしてあげましょう!」
シュガーは一瞬だけ眉間にシワを寄せ悩むそぶりをするが、そこはテゾーロの言うこと。
間違いは無いと考えすぐさまその大狼を生かすことを選択する。
「ありがとう、いやありがとうございます。
それではコイツらの処理は後々するとして今後の事を皆に伝えても?」
シュガーはうんと頷き、テゾーロに先を促す。
そう遠くない未来このごっこ遊びが後にテゾーロを後悔の嵐が襲うがそれはまだ先のお話。
「では、みんな聞いてくれ。俺たちはここに住もうと思う。ここに俺たちだけの国を作ろう。誰からも邪魔されず誰からも奪われない。そんな楽園を作ろうと思う。」
そして、テゾーロはその為にどうするべきか皆に意見を伝えるのであった。
非常にすいません。とてもとてーーも難産でして、今回はこのような短さで限らせて頂こうと思います。
次回の更新は6月30日の15時ごろを予定しております。