ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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今回も、前回に引き続き食事中の方は閲覧を控えた方がいい(かもしれない)内容です。

ご了承ください。


第百三十八話 シャロ宅防衛隊(後編)

「あー、こういう時こそ、魔法少女来てくれないかな〜」

 

悠がチノの方をチラッと見てそうつぶやくと、チノは慌てて

 

「あれを駆除する魔法なんてありません!」

 

と参戦を断る。恐怖のあまり動揺しているのか、もはや「魔法少女≠チノ」という設定を忘れている。

 

敵は残り2匹。悠は慎重に部屋の中を見渡す。——気配はあるが、姿は見えない。

 

 

しばらくして、1匹が姿を現した。

奴は武器を構えるこちらに気がつき、覚悟を決めたようだ。

ブーンと羽を伸ばし、空を飛ぶ。

 

「「うわあああ!!!」」

 

チノとシャロが悲鳴をあげる。飛んだことに驚いているのもあるが、一番恐怖を感じたポイントは、窓の方に向かってきたことだろう。

 

「チノちゃん!」

 

シャロがチノをかばうが、悠は容赦無く窓から身を乗り出してトドメを刺す。

 

「振り回され隊に宣戦布告したやつの運命だな」

 

——残り1匹というところで、心強い助っ人がやってきた。

 

 

「シャロ!すまない。部活中で電話に出ることができなかった。悠やチノも——何があったんだ?」

 

そう、我ら振り回され隊の隊長、リゼだ。

悠はリゼに事情を説明すると、リゼは顔から血の気が引いて震え上がる。

心なしか、チノやシャロより怯えているような——。

 

「な、な、な、な——」

 

「動揺しすぎだろ。さあ、隊長!シャロの家の平和を守るために戦うぞ」

 

「ミッションの難易度高すぎないか!!?」

 

リゼは地面に膝をつく。

 

「わ、私はG——というか虫全般無理だ……」

 

「い、意外です。先輩——」

 

震えるリゼにシャロが驚きの声を上げる——同意見だ。

 

 

「なあに、目撃情報によるとあと1匹だ。そんなにビビるなよ。ほら行くぞ」

 

「やめろおおお!!!」

 

リゼを家の中に引き込もうとする悠にリゼが悲鳴をあげる。

 

「まて!私は直接戦えないが、後方支援ぐらいはできる!」

 

「ほう?例えば?」

 

「た、例えば?えーっと——。そ、そうだ!奴が現れたらここから銃で狙撃する!」

 

「近接武器はないのか?あるなら貸してくれよ」

 

「Gが触れたものを携帯できるか!」

 

全く戦力にならないリゼに悠が思わずため息を吐く。——その瞬間、事件は起きた。

 

 

「「「うわああああ!!!」」」

 

「自分から出てくるとは、降伏するってことか?」

 

悠はそう言って本をぶん投げる。だがあと少しというところで躱されてしまった。

奴は、チノの方に足を進める。

 

「こ、来ないでください!わ、私、お金なんて持ってません!」

 

「強盗か!?あるいはカツアゲか!?」

 

なぜかお金を持っていないことをアピールするチノに悠がつっこむ。

チノはシャロにしがみつくが、Gの足は早まる。

 

悠はリゼからコンバットナイフを奪うと、Gに突き刺す。

 

「任務完了だ」

 

「なんてことをしてくれたんだ!!!?」

 

ナイフに突き刺さったGを、まるで「将軍の首を取った」と自慢する武士のように悠が見せびらかす悠に、リゼが叫ぶ。

 

「わ、私のナイフ——」

 

「文句言うな。仕方ないだろ。本を拾ってる暇はなかった。それとも、チノよりナイフのほうが大事だと言うのか?」

 

「も、もちろんチノの方が大切だ!——だ、だが、その——もういい、そのナイフは捨てておいてくれ——」

 

リゼが頭を抱える。

 

 

 

 

「あ、あの、助けてくれてありがとうございました……」

 

そういえば、何度か肝試しで水鉄砲を構えるリゼや、落ちてくる皿などからチノを助けている。

 

「気にすんなよ、俺はチノのSPだからな」

 

「悠!早く死体を処理してくれえええ!!」

 

リゼは自分の目の前に放置されているGの死体を早く片付けてくれと悲鳴をあげる。

 

 

「悠……ありがと。あんたがいなかったら私——今頃命はなかったわ」

 

「——Gって毒持ってないよな?」

 

大げさなシャロの反応に、悠が苦笑いする。

 

「シャロは、うさぎとGがダメなのか」

 

「小さいとき、千夜に——」

 

「あの和菓子バカ……」

 

うさぎのトラウマも、確か甘兎庵で飼っているあんこが原因だったような——。

 

 

「あの、これ。よかったらお礼に——」

 

シャロがコレクションのカップを取り出して悠に渡す。

 

「いいよ、お礼なんか。本を犠牲にしちゃったしな」

 

「私の気が収まらないわ」

 

「それなら、今度フルールで何か奢ってくれよ」

 

「——わ、わかったわよ……」

 

シャロの顔がわずかに赤くなった。




気味の悪い話を書いてしまいましたので、次回はもっとほんわかした話を書こうと思います。(笑)

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート

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