ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百四十九話 ポッキーゲーム(前編)

ラビットハウスでの仕事は暇だ。

——客がいないのだ。客がいないとやることもない。

チノの課題を手伝ったり、ココアと日向ぼっこしたりと時間を潰すのが日課になっている。

 

——だが、この日はチノの課題もない。

 

 

「「「————」」」

 

チノ、リゼ、悠の3人はただ無言でカウンター席に座っている。

ココアはすでに夢の中だ。

 

 

「——暇だな」

 

「はい」

 

「そうだな……」

 

悠の発言にチノとリゼが反応する。2人とも眠そうだ。

 

 

「——あ、そうだ」

 

悠は何かを思い出したかのように、ダイニングの方へ向かう。

——しばらくして悠がホールに戻ってくると、手にはポッキーを持っていた。

 

 

「あっ、それは私が今日のおやつに買ったものです。食べないでください」

 

「いや、俺が食べるんじゃない。お前が食べるんだよ」

 

「——えっ?でもまだ仕事中ですよ」

 

悠はポッキーの袋を開けると、中から一本取り出す。

 

「はい、ちょっとこれ咥えてみて」

 

「——何を企んでるんですか?」

 

「悠——またチノによからぬことを……」

 

チノとリゼは警戒しているようだが、悠は「なに、ちょっとした暇つぶしだよ」とチノの目の前でポッキーを振る。

 

 

「——しょうがない悠さんですね」

 

チノは悠が持っていたポッキーを口に咥える。

 

「このまま食べたらダメなんですか?」

 

「そのまま、しばらく待ってて」

 

「————」

 

チノはポッキーの先端を咥えたままはてなマークを浮かべる。

悠がチノの咥えたポッキーのもう片方から咥えると、すぐに困惑した表情から驚きの表情に変わる。

 

 

「——な、何して……」

 

「ポッキーゲームしようぜ」

 

リゼは持っていたお盆で悠を頭を殴ると、息を荒くして

 

「お、お前というやつは——!」

 

「なんだよリゼ、知ってたのか?」

 

「ま、まあ名前くらいは——」

 

「な、何するんですか」

 

チノがポッキーを折った。

 

 

「あー、折っちゃダメだよ」

 

悠はポッキーゲームの説明をすると、チノは顔を赤くして

 

「そんな——最後はどうなるんですか」

 

「やってみればわかるんじゃね?」

 

悠がにやけた顔でそういうと、リゼは悠の肩を掴み、

 

「悠!チノをどうするつもりだ!」

 

「なんだ?リゼもやりたくなったのか?」

 

「そういう意味じゃない!!」

 

「ほら、リゼも1本咥えろよ」

 

「ぐっ……私が勝ったらチノに手を出さないと誓うか?」

 

「お前が俺に勝てると思ってんの?——俺が勝ったらチノはもらうぞ」

 

ポッキーを受け取ってやる気満々なリゼに悠が煽る。

——正直、負ける気がしない。

リゼは表向きは堂々としているが、内心は乙女だ。

ポッキーが残りわずかになった途端、決着はつくだろう。

 

 

リゼと悠がポッキーを咥える。

 

「——いざ、やるとなると緊張するな」

 

「ほら、始めるぞ」

 

緊張して防戦一方のリゼに、悠は攻撃を仕掛ける。

 

「悠さんは誰とでもそういうことができるんですね」

 

「誤解のある言い方だな、お前とポッキーゲームをやるために戦ってるんだぞ」

 

「わ、私、やるなんて一言も——」

 

 

終盤戦に突入した。リゼはあと少しでポッキーがなくなるというところで、重大なことに気がつく。

 

「こ、これ、最後は——うわあああ!!!」

 

リゼが顔を真っ赤にしてポッキーを折る。悠の見込み通り、残りわずかというところでリゼがポッキーを折った。

 

リゼの叫び声を聞いてココアが起き上がる。

 

「何事!?」

 

「ココア!助けてくれー!!」

 

「リゼちゃん!?よ、よくわからないけど、勝負だよ!」

 

「お前……なんの勝負かわかってないのに宣戦布告してもいいのか?」

 

悠がポッキーをココアに差し出すと、ココアは「くれるの?ありがとー!」と言ってそのまま食べてしまう。

 

「ダメだこりゃ——」

 

「ココア、実は——」

 

悠が呆れると、リゼがポッキーゲームの説明をする。

ココアはリゼの説明を聞き終わっても、

 

「おもしろそー!勝負だよ悠くん!」

 

と再び戦いを挑む。

 

 

 

ココアと悠の戦いが始まった。

——正直、負ける気しかしない。

 

なぜなら、リゼとは違ってココアは()()()()()()に無抵抗だからだ。

今でも満面の笑みを浮かべてポッキーを咥えている。

 

 

「——じゃ、じゃあ行くぞ……」

 

悠が反対側からポッキーを咥える。

 

ココアは終始「おいしいねー」と言いながらポッキーを食べる。

今度の悠は、先ほどのリゼと同じ立場だ。防戦一方で攻撃できない。

いや、攻撃する暇もなくココアがあと数センチというところに接近してくる。

 

 

「な、なあココア。恥ずかしくないのか?」

 

「ん〜?恥ずかしいけど、おいしいから——」

 

「うそだろお前——」

 

なんで恥ずかしさよりおいしさが勝つのか理解に苦しむ。

 

 

そのままゼロ距離射撃を食らった。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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