ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

154 / 249
第百五十三話 姉妹ごっこ(1日目)

〜ラビットハウス〜

 

 

「なあチノ、俺のこと『お兄ちゃん』って呼んでくれてもいいんだぞ」

 

「呼びません。ココアさんみたいなこと言わないでください」

 

「えー?前に酔ったときは呼んでくれたのに?」

 

「あ、あれは演技ですから!」

 

「そうか——残念だな〜」

 

「——ほ、ほら、早くこのお皿持って行ってください!」

 

「へいへい」

 

 

 

 

〜リゼ宅〜

 

 

「リゼちゃーん、お腹すいたから朝ごはんつくろー?」

 

「そういえばまだ食べてなかった。私としたことが——」

 

リゼが「よし、妹たちのために腕に縒をかけよう!」とキッチンの方へ向かう。

 

「ねえココアちゃん?」

 

「なあに?」

 

「リゼ『ちゃん』じゃなくて、リゼ『お姉ちゃん』って呼ぶべきかな?」

 

「そっか——そうだよね」

 

「ココアちゃんも、ココア『お姉ちゃん』って呼ばないとね」

 

里恵がそういうと、ココアは目を輝かせて「もう一回言って〜!」とねだる。

 

 

「さあ、できたぞ〜!」

 

「気合い入れすぎだよ〜!!」

 

リゼが大きなテーブルに豪華な和食を並べる。

 

「お嬢——これでは『姉妹』ではなく『お客様』では——」

 

思わず使用人もツッコミを入れる。確かに、これはおもてなし感がする。

 

「だ、だって——。こういうの初めてで——なに作ればいいのかわからないし——」

 

「大丈夫だよ〜一緒に食べよ?リゼ()()()()()

 

「そうそう、冷める前に食べよ!リゼ()()()()()

 

「わ、私ちょっと忘れ物取りに行ってくるー!!!!」

 

リゼが顔を真っ赤にして部屋を飛び出して行った。

 

 

 

 

〜ラビットハウス〜

 

「暇です」

 

「——だな」

 

朝食を食べ終わり、ラビットハウスを切り盛りするチノと悠。

 

「どうしたらもっとお客さん来てくれるんでしょう」

 

「そうだな——もう少し親しみやすい雰囲気を出してみるとかどうだ?」

 

「親しみやすい——ですか。では、ぬいぐるみを置いてみましょう」

 

 

チノがもふもふしたぬいぐるみを大量に持ってくる。

 

「もふもふです」

 

「もう店名を『ラビットハウス』から『もふもふ喫茶』に変えようぜ」

 

「もふもふ喫茶——!」

 

チノが目を輝かせるが、ティッピーは「ダメじゃ」と却下。

 

「だが、少しホコリが舞うな——」

 

「やっぱりぬいぐるみはやめましょう」

 

チノがぬいぐるみを抱きかかえる。

 

「はぁ……俺がココアだったらもふもふ〜ってできるんだけどな——」

 

ツッコミ役のリゼがいないためか、誰もこの問題発言に反応しない。

 

「悠さんも、もふもふしていいんですよ」

 

「えっ?」

 

「な、なんですか——私、何か変なこと言いました?」

 

「あ、ぬいぐるみ方か。ビックリした——」

 

悠がそういうと、チノは気がついたのか少し頰を赤くして——。

 

「な、何を期待してたんですか!」

 

「いや、ひょっとしたらチノごともふもふできるんじゃないかと思って——」

 

「お触り禁止です」

 

「なんか、メイド喫茶みたいなルール追加されたな」

 

悠がそう呟くと、チノが少し笑った。

 

 

 

 

〜リゼ宅〜

 

「リゼお姉ちゃんはやめてくれ——」

 

「なんで〜?姉妹ごっこなのに?」

 

「は、恥ずかしいんだよ!」

 

「え〜照れないでよリゼお姉ちゃ〜ん」

 

「やめろぉ!!!」

 

 

「——雨、降ってきたね」

 

「ああ、台風が近づいてきてるみたいだからな〜」

 

窓の外を見ると、分厚い雲から雨が降ってきている。

風が吹いているが、まだ雨は強くない。

 

「リゼちゃん、何してるの?」

 

「課題だよ。この連休が明けたら提出なんだ」

 

「手伝ってあげる〜!」

 

「い、いいって!ココアたちはまだ習ってない範囲だぞ」

 

「数学なら大丈夫だよ〜」

 

 

 

 

 

〜ラビットハウス〜

 

気がつけば夜になっていた。

 

「今日もお店のお手伝いありがとうございました」

 

()()()()()なんだから、そんな気を使わなくていいんだぞ〜」

 

「ですが——」

 

順調に距離を縮めているリゼたちとは違い、チノはまだ心を開いていない様子だ。

 

「——雨、強くなってきましたね」

 

「だな。さて、今日放送される予定のホラー映画でも見るか〜」

 

「待ってください、まさか私の部屋で見るつもりじゃないですよね?」

 

「——俺の部屋にテレビないぞ?」

 

「むぅ……じゃあ今日は私が悠さんの部屋で寝ます!」

 

「怪談話が上手になりたいのにホラー映画見れないって——」

 

悠がそうやってチノを煽ると、チノは「た、確かに——それは致命的です」と納得する。

 

「じゃあ、見るぞ」

 

「————」

 

 

 

「——チノ?」

 

「別に怖くなんてないです。ちょっと眠くてうとうとしてただけです」

 

わずかに震えるチノ。時間を見るといつもなら寝る時間になっていた。

 

「——じゃあ後は録画して寝るか。おやすみ」

 

「あっ……」

 

チノが引き留めようとするが、悠は部屋から出て行った。

 

 

 

「雨風が強くなってきました——ティッピーもバーにいるし——」

 

チノは一人布団に潜りながらそう呟く。

 

 

 

「悠さん、起きてますか?」

 

チノが部屋の扉から顔を覗かせる。

 

「ああ、どうした。一人だと怖くて眠れないのか?」

 

「違います。悠さんが怖がっていたらどうしようかなと見にきてあげただけです」

 

「——心配しなくても俺は大丈夫だ」

 

「——怖いんだったら一緒に寝てあげてもいいですよ」

 

「チノは素直じゃないな〜。仕方ないから俺が怖くて眠れないってことにしてやるよ……」

 

「うるさいです。早く枕を端に寄せてください」

 

 

 

 

こうして、姉妹ごっこ1日目は幕を閉じる。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。