ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百五十六話 チノと深夜徘徊

「————」

 

「————」

 

夜遅く。人の気配を感じて目を薄っすら開けてみると、チノが悠の部屋にきていた。

——なんだ。まさか夜這い?

 

「——寝てますか?」

 

「————」

 

あえて黙って寝たふりをしてみる。

 

「寝てますよね?」

 

「————」

 

まさか、チノは悠の狸寝入りに気がついているのだろうか。

 

「どうしましょう……」

 

何やら困った様子だ。気になるが、ここはぐっと堪えて寝たふりを続ける。

 

「寝てるときの悠さん——ちょっと子供っぽくてかわいいです」

 

「チノ?」

 

「なっ!い、いつから起きてたんですか!?」

 

思わず反応してしまった。

 

「え、えっと……今起きたぞ?」

 

「今の、聞いていましたか?」

 

「な、なんのこと……?」

 

「さては聞いていましたね。忘れてください」

 

「それは無理かな……」

 

悠が苦笑いすると、チノはさらに顔を赤らめた。

 

 

 

「眠れないって?」

 

「はい……さっきココアさんとコーヒーの違いを当てるゲームをしたからでしょうか」

 

どうやら、眠れないチノは悠が起きていないかと部屋にやってきたようだ。

 

「俺もチノが恥ずかしいこと言うから眠気吹っ飛んだな……」

 

「だから、さっきのは忘れてください!冗談ですから!」

 

悠は大きくあくびして、チノに提案する。

 

「よし、それなら深夜徘徊だ!」

 

「——深夜徘徊?」

 

 

 

深夜に男女2人きりで人気のなくなった街を散歩——。

そういえば、前にリゼと遭遇したことがあったな。

 

「この前も、暑くて眠れない時に散歩してたんだ」

 

「そうでしたか。ですが、こんな夜中に——誰かに見つかったら怒られないでしょうか」

 

「大丈夫だ。誰もいないし——」

 

公園に到着した。前回、リゼと遭遇した場所だ。

 

「あっ、ちょっとお手洗いに行ってきます」

 

公園にあった公衆トイレを見てチノがそう言う。

悠は「わかった」とうなずくと、トイレの近くにあるベンチに腰をかける。

 

「——チノのやつ、大丈夫かな」

 

トイレに不審者がいたらどうしようと心配していると——

 

 

「うわあああっ!!」

 

トイレからチノの悲鳴が聞こえる。

しばらくして、トイレから人影が素早く木陰に移動した。

悠は、女子トイレの前で「チノー!」と叫ぶ。——返答はない。

 

「あの木陰か——」

 

悠は気配を消して木陰に足を進める——が、突然視界が奪われた。

 

 

「だ〜れだっ」

 

お淑やかさの中に可愛さがある声だ。女性だろうか。どことなく千夜っぽい。

 

「その声は——千夜か?こんな夜中に街を徘徊するようなキャラでもないか……」

 

声の主を考察するが、すぐに答えがわかった。

 

「私だ」

 

目に覆い被さっていた手のひらがなくなり、夜の公園が見える。

そしてこの声——リゼだ。

 

「リゼ、ふざけてる場合じゃないぞ、チノが——」

 

「ほほう。やはりか。真夜中に幼い子を連れて徘徊している男がいると言う通報は——」

 

「待ってください。子供じゃないです」

 

木陰からチノが顔を覗かせる。

 

 

 

数分前——。

 

チノが手を洗っていると、突然視界が奪われた。

 

「うわあああっ!!」

 

「静かにっ!私はだ〜れだっ」

 

「——千夜さん?」

 

「私だよ。チノ、こんな夜中に何してるんだ!」

 

「リゼさん——驚かせないでください。実は——」

 

チノが悠と深夜徘徊をしていることを告げると、リゼは

 

「あいつ……チノと深夜徘徊なんて——もし何かあったらどうするんだ」

 

「子供じゃないです」

 

「よし、ドッキリをかけよう!」

 

リゼがそう言うと、チノは首をかしげる。

 

「ドッキリですか?」

 

「ああ、さっき悲鳴あげただろ、それを利用して——」

 

 

 

 

「それで今にあたるわけか」

 

悠がやれやれと呆れていると、リゼが笑う。

 

「お前の動き、スパイみたいで格好良かったぞ。そんな訓練もしていたとは」

 

「——別に訓練はしてないけど、チノを木陰に攫った罪を償ってもらおう」

 

「えっ?ちょ、まて!早まるなああああ!!!」

 

「あっ、頭に毛虫〜!」

 

「うわああああああ!!!なんてことをー!!!」

 

近くの木にとまっていた毛虫をリゼの頭に乗せると、リゼは悲鳴をあげてジタバタと走り回る。

 

「ふっ、リゼにはこれぐらいやってやらなきゃダメだな」

 

「やれやれです」

 

走り回るリゼと、「やってやったぜ」と勝ち誇る悠にチノが呆れた。

 

 

 

「で、リゼはなんで徘徊してるんだ?」

 

「その——実は家出したんだ。今夜はどこかでサバイバルしようかと思ってさ」

 

リゼはそう言うと、チノと一緒に木陰に隠したバッグを見せる。

 

「「家出!!?」」

 

チノと悠がハモる。

 

「ああ——親父と喧嘩したんだ……」

 

 

リゼはそう前置きして、何があったのか語り始めた。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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