ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

159 / 249
第百五十八話 先生になるための特殊訓練

ココア先生の授業は、ラビットハウスの開店と同時に始まった。

 

「で、まずは何をするんだ?」

 

悠がそう聞くと、ココアは窓際に立って

 

「まずはのんびり光合成だよ〜」

 

「なるほど、理科の実験も兼ねてるな」

 

「——ん?」

 

ココアの発言につっこむかと思いきや、ココアの指示を真面目に受け取るリゼ。

 

その後も——。

 

 

「そして、生徒の胃袋を掴む訓練!」

 

「まかない料理です」

 

「よしきた!」

 

ココアとチノがフォークを持ってリゼ特製ナポリタンの完成を待つ。

 

「——おかしい、これって先生になるための訓練だよな」

 

 

ラビットハウスのバイトが終わり、ココアの部屋で遊ぶことに。

 

「いつの間にか部屋がこんな散らかってるぞ」

 

悠がそういうと、ココアは「あっ!」と何か閃いたようにリゼに言う。

 

「小さい男の子ってよく散らかすよね〜」

 

「そうだな!掃除の訓練もしないとな!」

 

リゼがそう言って散らかったココアの部屋を片付け始める。

 

 

「お片づけが終わったらお昼寝〜!」

 

ココアは布団を敷くと、チノと中に入る。

 

「お昼寝〜」

 

リゼもそれに続いて布団に潜ろうとするが、悠が止める。

 

「待て待て!小学校の先生になるための訓練だよな!?」

 

悠がそう確認すると、リゼがようやく異変に気がつく。

勢いよくココアとチノから布団を引き剥がし、

 

「お前らー!!ただ怠けたいだけだろー!!」

 

と叫ぶ。

 

「ココアはただの甘えん坊な妹みたいだったしな……」

 

悠がやれやれと呆れた。

 

 

 

「はぁ……ココア先生はダメダメでしたね。先生役は私がやります」

 

「おっ、やけにやる気だな」

 

ココアの代わりに出てきたのはチノだ。

 

「では、リゼさん、悠さん。私に宿題教えてください」

 

「それ生徒側のセリフー!!」

 

「お前も先生に向いてないな……」

 

先生役のはずが、逆に宿題を教えてくれと要求するチノに、リゼと悠がツッコミを入れた。

 

 

 

 

「リゼはどうやって大学はいるんだ?推薦か?」

 

「ああ、一応そのつもりだ」

 

悠の質問にリゼが反応する。

その時、ラビットハウスに1本の電話が入る。

 

 

「もしもし」

 

『リゼは無事か!』

 

この声はリゼの父親だ。

 

「ええ、むしろ楽しんでますよ」

 

『なんだと!?』

 

悠が電話している側では、ココアたちがリゼと楽しく会話していた。

 

「もうここから大学通っちゃいなよ〜!」

 

「そしたらリゼさん特製のナポリタン食べたい放題ですね」

 

「大学から帰ってきて、夜はバータイムでバイトしたりとか……」

 

「夢が広がるねぇ〜!」

 

 

ワイワイと会話が盛り上がるにつれ、リゼの父親の声が細くなっていく。

 

『そんな……リゼ……』

 

「リゼ、どうやらラビットハウスに住むらしいですよ」

 

悠がそういうと、リゼの父親が慌てて

 

『おい!どうにかリゼを説得してくれ!』

 

と悲鳴をあげる。

 

「——善処します」

 

 

 

「リゼ、お前の父親が心配してたぞ」

 

「ふん、知ったことか」

 

意地を張るリゼ。これは長期化しそうだ。

 

「わーい!明日のテスト対策終わったよー!!」

 

チノの宿題を見るという話だったが、いつの間にかココアのテスト勉強に付き合わされていた。

 

「褒めて褒めて〜!」

 

「小学生か!」

 

騒ぐココアに悠がツッコミを入れる。その様子を見てリゼは「ちょっと待ってろ」とかばんの中からスタンプを取り出す。

そしてココアの額にスタンプを押す。

 

——このスタンプ、見覚えがある。

 

鏡を取り出して自分の額を見て、ココアが「かわいい〜!」とスタンプを絶賛。

 

「冗談のつもりだったんだが——そんなに気に入ったのか?」

 

心なしか嬉しそうなリゼだが、チノからは冷たい視線。

 

 

「小学生より子供っぽいです」

 

そう言って頰を膨らましながら前髪を退けるチノ。

——心なしか羨ましがっているように見える。

 

 

 

その晩。

悠がお風呂から上がってココアの部屋に向かうと、ココアとチノがスタンプカードを見せてくる。

 

「じゃーん!見てみて!私とリゼちゃんの絆の証だよー!」

 

「重いな!——ん?これって——」

 

リゼのお手製スタンプカードだ。悠はこれを前に受け取ったことがある。

 

「リゼさんが来てくれた思い出です」

 

「さっきまで小学生より子供っぽいとか言ってたのに、気に入ってんじゃん」

 

悠がそういうと、チノはわずかに顔を赤くして

 

「べ、別にそんなこと——」

 

とごまかす。

 

 

「ふふーん、悠くんは持ってないでしょ?」

 

「それ、前にもらったぞ」

 

悠がマラソンの時にもらったスタンプカードをココアたちに見せると——

 

 

「えーっ!!?悠くんも持ってたの!?」

 

「しかも私たちよりスタンプの数が多いです!」

 

と驚愕した。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。