後半になってくるにつれて、シリアス要素増えてきます。やばいと思ったらすぐ前話で心ぴょんぴょんさせてください。
ガシャンと店内に鋭い音が響いた。
「大丈夫か?」
「ヴェアアアアまたカップ割っちゃったよおおお!!」
「いつものことだろ」
「いつものことだから困ってるの!次割ったらチノちゃんが容赦しないって!」
ココアが耳元で悲鳴をあげる。
チノとリゼはコーヒー豆の仕入れで出掛けている。
ラビットハウス内にはココアと悠だけ。上で里恵が勉強している。
「容赦ないチノってどんな感じなんだろう?」
「絶対嫌われる!お姉ちゃん失格だあああああ」
「出て行く前に片付けろ!」
ココアが泣きながら店を飛び出していった。
幸いお客はいないので、特に一人で片付けても支障はないが。
「あれ、ココアちゃんは?」
「わからん、どっか行った」
「お兄ちゃん……今度は何したの」
「何もしてねぇよ!むしろされた方だよ!」
と言い返すと、里恵は意味ありげに笑って、
「そっか、チノちゃん意外には興味ないもんね!」
と言った。
「――俺かココアに用があったんじゃないのか?」
「あ、話逸らした」
正直このネタには飽きた。別にチノは嫌いじゃない、どっちかっていうとタイプだ。
でもココアも言うとおりチノは「妹」みたいな感じで恋愛感情はあまりわかない。
と、必死で自分に言い聞かせていると、里恵が急に真剣な顔になった。
「ねえ、ニュースみた?」
「いいや、最近はまったく見てない」
「そう……」
「――それがどうかしたのか?」
「ここからちょっとだけ離れたところで、殺人事件だって」
「――!」
この場所は、不思議と嫌なことを忘れられる。
――里恵と俺が来た理由さえも。
まるで、始めから住んでいたかのような気分になっている。
だが、現実はそんな平和で生易しくない。
「――だから何だよ。違うやつかもしれないだろ」
「わかんない。でも、関係ないとも言えないじゃない?」
「もともと住んでた場所からかなり遠い。日本の中からここをピンポイントで当てられるとは思えないな」
「私もそう思う。ここからちょっと近かったから一応伝えておこうかなって思っただけだよ」
「――なぜ今それを?」
「あのね、里恵は――このことをココアちゃんたちに相談するべきかなと思う。ココアちゃんが嫌がるならここから出て行くべきだよ」
「ああ、確かに俺もそう思ったさ!でも逃げたところで、そこからどうするんだ?せっかくここまで積み上げてきたものを、また手放せって言うのかよ!!」
つい、声が大きくなってしまった。
里恵の気持ちもわかる。散々そのことで悩んできた。
チノに打ち明けたあの日、あの夜も、最初は言う絶好のタイミングかとも思った。
でも――あと一歩、勇気が足りなかった。
「俺は――せっかく入学した名門校も捨てた、家族や友人との関係も捨てた、それは里恵、お前だって同じだ!なのに――!」
「悠さん……里恵さん……どうかしたんですか……?」
「チノ……リゼ……」
「ほら、コーヒー豆だ。仕入れて来たぞ。――あれ、ココアはどうした?」
急に、気分が悪くなってきた。何の罪もないはずだ、なのになぜここまで苦しい想いをしなくてはいけないのだ。
それに、何も知らずただ純粋に心配してくれるチノとリゼの顔を見ると、今まで忘れかけていた罪悪感、憎悪、自己嫌悪などの暗くて醜い感情が溢れ出して、このままここに居たら自分が何をやり始めるかわからない。
「悪い、チノ、リゼ。急に気分が悪くなってきた……今日のバイト代……はいらないから、あとは頼んだ……」
悠は恐ろしくなって店から飛び出した。
しばらくシリーズ(?)として続いていきます。
バッドエンドとハッピーエンド、どっちにしようかな
どの組み合わせがお好きですか?
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠