ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百六十一話 魔法の勉強会?

「悠さん、遅いですね」

 

「やっぱり襲われたんじゃないか!?」

 

「すぐその発想になるんですね」

 

ラビットハウスのホールでチノとリゼが話をしている。

ココアは夢の中だ。

 

「私はもうバイト上がるけど——大丈夫か?」

 

「大丈夫です。帰るときに悠さんを見たら早く帰るように言ってください」

 

「わかった!取っ捕まえてここまで連行してくればいいんだな!」

 

「言うだけでいいです!」

 

リゼがラビットハウスを後にした。

 

 

「さあ、ココアさん。バイトも終わりですよ。起きてください」

 

「チノちゃん……なんか、チノちゃんのお母さんが出てくる夢を見たよ……」

 

「どんな夢ですか!」

 

なぜか自分の母ではなく、チノの母の夢を見たというココアにチノがつっこむ。

 

 

 

 

「よし!習得したぞ!」

 

「完璧ね!」

 

冷静に考えてみると、暗くなって人気がない道路の真ん中で魔法使いの格好をした女性とスーパーの袋を持った少年がはしゃぎ回るこの光景——不審者でしかない。

 

魔法の成功を喜ぶ悠に、魔法使いは「悠くん」と名前を呼ぶ。

 

 

「なんだ?」

 

「私はそろそろ行かなきゃいけないの」

 

「そうか。また今度会ったら魔法教えてくれよ」

 

「——魔法もいいけど、それより大切なことをアドバイスしてあげよう!」

 

先ほどとは少し違う雰囲気になった。

魔法使いは人差し指を立て、悠に言う。

 

「悠くんって好きな人、いるでしょ?」

 

「おい、なんでいきなり恋バナに話が飛んだんだ!?——そりゃあ、まあ……」

 

「ふふっ、やっぱり〜。私が帰る前に、一つだけ。好きな人に想いを伝える方法を教えましょう!」

 

「想いを伝える——?」

 

 

 

 

「悠さん、遅いですね」

 

「そうだね〜——ってチノちゃん、それもう10回目だよ!?」

 

一方ラビットハウスではチノとココアが先ほどから10回も同じ会話をしている。

 

「悠さんは電話持ってないですし——困ったものです」

 

「私、探してこようか?」

 

「ココアさんが迷いそうです」

 

「もう少しお姉ちゃんを頼ってよー!」

 

全くココアを信用しないチノにココアが叫ぶ。

 

 

 

 

「なるほど——」

 

「魔法と恋のこと。帰ったらしっかり復習しておくこと!」

 

「了解した!」

 

敬礼する悠に、魔法使いは「ふふっ」と笑って

 

「チノちゃんは奥手な上に強がりなところがあるから、悠くんがサポートしてあげてね」

 

「え?なんでわかったんだ!?」

 

「魔法使いですもの」

 

まんまと相手を見抜かれ、また驚きを隠せない悠。

 

「悠くん——私はこれでいなくなるけど、チノちゃんのこと、よろしくね」

 

「おい、まさか、あんたは……」

 

「じゃ!バイバイ!また機会があったら会おうね!」

 

魔法使いはそれだけ言って物陰に隠れると、そのまま跡形もなく消えた。

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「もう、何してたんですか」

 

「すまん……」

 

「罰として今日のデザート抜きです」

 

「そう怒るなよ〜!実は魔法を習ってきたんだ!みて驚くな?」

 

そう言って悠は右手から飴玉を出す。先ほどの魔法使いに習った魔法だ。

 

 

「————」

 

チノが口をポカーンと開けたまま黙り込む。

 

「そ、そんなに固まるほど驚いたか?練習した甲斐があるなー!」

 

チノが驚きで固まったのを見て、悠が喜ぶ。

 

 

 

しばらくして、チノが言った。

 

 

「——いえ、母がその手品、得意だったので……」

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート

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