その翌日も、チノの歌の練習のためにリゼと悠は特訓に付き合っていた。
最初より声を張れるようになったり、体力がついてきたりしているが、まだ課題は山積みだ。
一番の問題は——。
チノが発声練習をしていると、その後ろを子供たちが笑いながら走っていく。
チノは子供たちの笑い声を聞くと、すぐに口を押さえて黙ってしまうのだ。
「恥ずかしがるなよ。戦場では何事にも動じないメンタルが必要だ」
「チノの場合、戦場じゃなくて会場だろ」
リゼは悠のツッコミを無視して続ける。
「技術的なことも大切だが——人前で歌う練習した方がいいな!」
リゼの発言にチノと悠がはてなマークを浮かべる。
「悠、突然で悪いが、後の特訓は2人でやってくれ。私は少し準備をしてくる」
「あ、ああ、了解した」
悠は戸惑いつつも、「人前で歌う練習」の準備にリゼを向かわせた。
「えーっと、次はランニングか」
「はい!」
「——気合を入れるのはいいが、無茶だけはしないでくれよ」
「わかってます。さ、早く河原の方に行きましょう」
チノはそういってさっさと河原に降りて行く。
悠が笛を吹きつつチノを誘導するが、チノはわずかな段差につまづいてバランスを崩す。
「おっと」
悠が転びかけたチノを支える。
「す、すみません——」
「気にするな。俺もちょうどもふもふしたいと思ってたからな」
「フォローの仕方がおかしい!?」
チノが顔を赤くして悠にツッコミを入れた。
「そ、その……悠さんは音楽会とかやったことってありますか?」
「音楽会か〜……そういえば中学でやったな〜……」
「練習、どんな感じでしたか?」
「んー、俺はサボって女子に『ちょっと男子〜!』って言われるポジションだったな」
「ダメじゃないですか!」
「でも、3年生の時の音楽会、終わった後は感動したよ」
「——そうですか」
俯くチノに悠が首を傾げる。
「どうかしたのか?」
「——実は、マヤさんやメグさんと学校で一緒に何かをするのって、これが最後なんじゃないかなってちょっと前から考えてて……」
「————」
「高校に進学したら、もう3人で音楽会で歌ったり、創作ダンスしたりすることって、もうないんでしょうか」
「創作ダンス!?」
「——あれ?言ってませんでしたっけ」
「わし、聞いてない!」
悠のティッピーの物真似にチノが「ふっ」と吹き出す。
「全然似てませんよ」
チノの辛辣な感想に悠は「ご、ごほん……」と咳払いして言う。
「別に学校の音楽会にこだわらなくても、3人で歌いたくなったら『チマメ・ライブ』でも開催したらどうだ?みんな喜ぶぞ。特にココアと俺」
「チマメライブ……」
「それに、そんなどんよりした気分でやってたら、リゼに怒られちゃうぞ。音楽会は楽しくやるのが一番だ」
「——悠さん」
「なんだ?」
「今日はちょっとだけしっかりしてます」
チノはそう言って少しだけ赤くなった顔を隠すように反対方向を向く。
「ココアと違って俺はいつもしっかりしてるだろ!」
「さ、さあ、早く残りの特訓終わらせちゃいましょう!」
「いえっさー——ってそれ俺のセリフー!」
「またみんなでカラオケ行くのー!?」
ラビットハウスでココアが驚きの声を上げる。
「ああ、だが今回の会場は——甘兎庵だ!」
「どうして……?」
「千夜の家にカラオケがあるんだよ。さっき千夜と千夜のおばあさんに許可もらったんだ。明日貸し切ってカラオケ大会だ!」
「わーい!!」
「あんまりはしゃぐなよー。あくまでチノが人前で歌えるようになるための練習だからなー」
「わかってるよ〜」
ニコニコと笑うココアを見て、リゼが「大丈夫か……?」と心配するのだった。
「音楽会」「合唱コンクール」「合唱祭」などなど、さまざまな呼び方がありますよね。
この類の行事になると必ずふざける男子がいて、「ちょっと男子〜!」って小言を言うしっかり者の女子がいますよね笑
皆さんは真面目に取り組んでいましたか?
——私はちょいちょいふざけるタイプでした。申し訳ありませんでした。(今更)
チノと悠の関係を
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進展させる
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現状維持
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ココアに浮気ルート
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リゼに浮気ルート