ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百七十三話 音楽会

ココアと悠は、チノと里恵が寝静まったのを確認してから、こっそりと裏口からラビットハウスを抜け出す。

 

「ふふっ、なんかいけないことしてるみたいだね——」

 

「へ、変なこと言うな!ほら、早く行かないと怒られるぞ!」

 

向かう先は——シャロの家だ。

 

 

 

「悪い、遅くなった」

 

「も〜あまりにも遅いから先に始めちゃったわよ!」

 

軽く怒るシャロに、ココアが謝る。

 

「ごめんごめん、チノちゃん、緊張してるせいかなかなか寝てくれなかったんだよ〜」

 

「こんなんじゃ終わらないわよ!」

 

夜遅くにココアや悠、そして千夜がシャロの家に召集された理由——それは明日の音楽会に備えて応援グッズを作るためだ。

 

「じゃじゃーん!どうかな?」

 

ココアが完成したうちわを見せてくる。うちわには『チノちゃん!お姉ちゃんって呼んで♡』と書かれている。

 

「これでチノちゃんがお姉ちゃんって呼んでくれるかな?」

 

「なんのアピールだよ」

 

「こんなのはどうかしら〜?」

 

今度は千夜が悠に完成したうちわを見せてくる。うちわには『冷やし抹茶はじめました』と書かれている。

 

「それはお店で配ってくれ——」

 

「チノちゃんの応援グッズを作るんじゃなかったの!?」

 

悠とシャロがツッコミを入れると、ココアは満面の笑みでいう。

 

「千夜ちゃんにしてはメニュー名が普通すぎるんだよ〜!」

 

「そういう問題じゃなーい!!」

 

シャロのツッコミは止まらない。

 

 

 

「——やっぱり電飾つけた方が目立つかな?」

 

「そんなものつけたら迷惑でしょ!」

 

ごもっともだ。——これ、終わる気がしない。

 

 

半分眠る悠の肩をシャロが激しく揺さぶり、ふざけるココアと千夜に

 

「口動かしてないで手を動かしなさい!」

 

と怒鳴る。

 

「「はーい、お母さん!」」

 

「誰がお母さんよ!」

 

「——あれ、なんでシャロがうちにいるんだ?」

 

「あんたも寝ぼけてないで早くうちわ作りなさーい!!」

 

 

 

 

そして、音楽会当日——。

 

 

『次は、3年生による合唱「木もれび青春譜」です』

 

放送が聞こえる。——見ているこっちが緊張してきた。

 

「いよいよだな——」

 

「そうだね——」

 

ココアも緊張している様子だ。

 

3年生一同がステージに並ぶ。

チノは俯いたままだ。——やはり緊張しているのだろうか。

 

その時、ココアが小さな声で「チノちゃーん!」と名前を呼ぶ。

 

 

 

——やっぱり緊張します。どのタイミングで歌い始めればいいのかわかりません。

 

チノがそう思っていると、客席の方から「チノちゃーん!」とココアの声が聞こえる。

声のする方へ目を向けると、ココアたちが大量の応援グッズを身につけて応援に駆けつけている。

 

——来なくていいって言ったのに……。あんなうちわや衣装まで作って——全くもう……。

 

チノは大きく深呼吸すると、歌いはじめた。

 

 

「あれ、悠くん、もしかして泣いてる?」

 

「泣いてないっ!」

 

顔を覗き込んでくるココアを払い除ける。

ティッピーは先ほどから大泣きだ。

 

「チノー!チノー!」

 

「うるさいぞティッピー」

 

 

 

 

「た、ただいま——」

 

チノが恐る恐るラビットハウスの扉を開くと、すでに一同が集まっていた。

 

「「「「「おかえりー!!」」」」」

 

「まだやってるー!!?」

 

いまだに応援グッズの衣装を着てうちわを持っている一同にチノがツッコミを入れる。

 

「チノちゃん——すごい良かったよ——」

 

ココアが泣きながらいう。

 

「とっても誇らしかったぞ!勲章ものだ!」

 

リゼが涙を堪えながらいう。

 

「飾り付けはやめてって——あれ、これは——」

 

店内に流れている自分の歌に気が付く。

 

「録音したんだ」

 

悠が説明すると、「録音!?」と驚く。

 

「何回聞いても心にくるわ〜」

 

シャロがしみじみという。

 

「そうだ!レコード作ろう!お客さんにも配るよ!」

 

ココアがそう提案すると、チノが「レコード?」とまた驚く。

 

「それいいな!歌姫の喫茶店としてラビットハウスで売ろう!」

 

「甘兎庵でも流すわ〜。そうだ、グッズ展開してもいいかも!ね、シャロちゃん?」

 

「しょうがないわね、妥協しないわよ!」

 

「ティッピーもそれがいいよね?」

 

ココアが頭の上に乗っているティッピーにそういうと、ティッピーは泣きながら「うん!うん!」とうなずく。

 

 

「楽しみだな!チノ!」

 

悠がそういうと、チノは

 

「本当に——しょうがない皆さんです!!!」

 

と大声で叫んだ。




30分のOVAとは思えないほど『曲』に手が込んでいましたね。

まさかあれだけの劇中歌を制作して収録していただけるとは——頭が上がりません。

シャロちゃんのアイドル系のキャラソンから始まり、千夜ちゃんの演歌、ココアちゃんのラビットハウステーマソング、そしてメインである合唱曲——さらにそれに加えて、チノちゃんの母親のキャラソンまで!

特に『銀のスプーン』はチノちゃんがどれだけ家族に愛されて育ってきたかわかる名曲ですね。


まだ聞いていない方は、ぜひ聞いて見ると本編もこの小説も楽しめると思いますよ!

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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