ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

180 / 249
第百七十九話 ココアの夢は路上ミュージシャン?

今日も今日とて、午後は暇な悠はフルールへ向かう。

 

「あら、悠じゃない」

 

「シャロ……」

 

今日はバイトではないのか、私服姿で座っているシャロを見かけた。

 

 

「どうしたの?」

 

「午後、シフト入れてないから暇なんだ」

 

「そう」

 

晴れた日の午後。オープンカフェで紅茶を楽しむにはベストなシチュエーションだ。

シャロとたわいもない話をしていると、路上からアコーディオンの音色が聞こえてくる。

 

 

「——なんか、変な音が聞こえないか?」

 

「近づいてきてるわね」

 

路上から聞こえていたと思っていアコーディオンの音色の正体はココアだった。

 

「パンが焼けたよ〜た〜べないなら食べちゃうよ〜」

 

変な歌を歌いながらココアがこちらにやってくる。

そして、座って紅茶を飲むシャロと悠の元へたどり着くと

 

「私の歌どぉ〜?」

 

と不協和音を奏でながら聞いてくる。

 

「耳から魂が出そう!」

 

シャロが辛辣な感想を吐き捨てるが、ココアの隣にいた千夜は

 

「ブラボーだわココアちゃん!」

 

と涙を浮かべながら褒める。

 

「そんなに持ち上げたらココアが調子に乗るだろ」

 

「そのアコーディオンどうしたの?」

 

シャロがココアに尋ねると、ココアはドヤ顔で「これはね〜」と説明を始める。

 

「さっきプロカントで手に入れたんだ〜!路上ミュージシャンになろうと思って!」

 

「道のりは長いな……」

 

ココアは目を輝かせてそういうが、それとは対照的にシャロと悠は目から光を失う。

 

「ちょっと貸してみて、お手本見せるから!」

 

そう言ってシャロはココアからアコーディオンを借りる。

 

「シャロ、アコーディオンなんてできるのか?」

 

悠が心配そうにしていると、

 

「シャロちゃん、昔は鍵盤ハーモニカ上手かったのよ」

 

と千夜が説明する。が——。

 

 

「あ……あれ?うまく手が動かない……」

 

失敗するシャロにココアと千夜がクスクスと笑う。

 

「無理しちゃって可愛い〜」

 

と茶化す千夜にシャロはアコーディオンを渡す。

 

「笑うなら千夜も弾いてみせてよ!」

 

「いいわよ。演歌で培った音感を見せて——」

 

シャロからアコーディオンを受け取った瞬間、千夜は地面に崩れ落ちる。

 

「お、重いっ……」

 

「自滅した!」

 

 

 

 

その翌日、悠が散歩を終えてラビットハウスへ帰ろうとすると、帰宅途中のチノに出会った。

 

「あっ、悠さん、実は昨日、学校でいいこと思いついたんです」

 

「なんだ?」

 

「天気の良い日だけ、ラビットハウスでもオープンカフェやってみようと思って準備してみたんですが」

 

「そうだったのか!?気がつかなかった……」

 

「入口の隣に1席置いただけなので……」

 

散歩に出発した時にも気がつかなかった——。

 

「そういえば、ココアがアコーディオン買ったんだ。聞いたか?」

 

「はい。またお店で変なこと始めそうですね」

 

「——おっ、噂をすれば」

 

「——?」

 

ラビットハウスへ近くたびに大きくなっていくアコーディオンの音色。

この不協和音は——ココアの演奏だ。

 

「うちの前で何してるんですか!」

 

ラビットハウスの前で妙な演奏を繰り広げるココアにチノが怒鳴る。

ココアと一緒に鍵盤ハーモニカを演奏する千夜とシャロもいる。

 

「あっ、おかえりなさーい!誰が一番うまいか演奏合戦してたの!」

 

ココアが満面の笑みで言う。

 

「なるほどな——通りで人もうさぎも逃げていくわけだ」

 

悠の辛辣な一言にココアが「そんな〜!」と落ち込む。

 

 

「お前らうるさーい!!」

 

ついにやかましい演奏に堪忍袋の緒が切れたのか、店の中からリゼが出てくる。

 

「リゼさん。ガツンときつく注意してください」

 

チノがそう言うも、リゼは

 

「私が指揮をする!」

 

と演奏合戦に参加してしまう。

 

「私たちがバントを組んだらいけるよ〜!バンド名はずばり『ラビットレンジャー!』」

 

「——なぜ戦隊ものになった?」

 

「弱そうな名前だな」

 

リゼと悠は険しい顔をするが、チノは

 

「ラビットレンジャー……!」

 

と満更でもない様子だった。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。