ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百八十話 演奏会inラビットハウス

「あっ、そういえば——」

 

ラビットハウスでのバイトが始まるが、相変わらず客はいない。

そんな中、チノが何かを思い出したかのようにつぶやく。

 

「明日、リコーダーのテストがあるんです」

 

「そういえば、中学の時やらされたわ……」

 

チノの発言に悠が目を瞑る。——リコーダーのテストであまり良い思い出はない。

 

「ちょっと練習しても良いでしょうか」

 

「ああ、良いんじゃないか?客いないし」

 

悠がそう言うと、チノはリコーダーを吹き始める。

素朴だが、綺麗な音色だ。

外から不協和音が聞こえてくる中、このリコーダーの音だけが耳の癒しになる。

 

悠は外へ出てリゼたちの様子を見てみるが——。

 

「チノの方がうまい……」

 

とリゼが落ち込んでいた。

 

「リゼちゃんも演奏に加わるべきだよ!」

 

ココアが提案すると、リゼはそれを真に受けて

 

「そ、そうか!」

 

と乗ってしまう。

 

「ここは打楽器か、弦楽器か——」

 

とリゼが迷うが、悠は倉庫から見つけたマラカスを渡す。

 

「楽器、それしかなかったぞ」

 

「なに!?——マラカスって……」

 

「えへへ、リゼちゃん、似合ってるよ〜」

 

ココアに笑顔でそう言われ、リゼは

 

「それなら私についてこい!!」

 

と調子に乗って大音量でマラカスを演奏する。——さらにうるさくなってしまった。

 

 

「マラカスがうるさくて集中できません」

 

店内からはチノの苦情の声。

 

 

しばらくして、店に青山ブルーマウンテンがやってきた。

 

「この素敵なセッションに呼び寄せられました〜」

 

「あ、青山さん。いらっしゃい」

 

悠が出迎える。

 

「ズレ方がなんとも心地よく——これが『ヘタ上手い』というものですか」

 

「私も!?」

 

青山の言葉にチノが落ち込む。どうやら外のやかましいグループの仲間だと思われたらしい。

 

「もう——うるさくて仕事にならないので、止めてきてください」

 

チノにそう言われ、悠は店の外へ出る。

 

「くっ!次までにマラカス上手くなってやる!」

 

と、リゼがものすごい勢いで迫ってくる。

 

「次があるのか……」

 

「仕事は!?」

 

落胆する悠と、ツッコミを入れるチノをスルーしてズンズンと厨房へ向かうリゼ。

 

 

「ほら、ココアも店に戻れ」

 

悠が呼びかけると、ココアは「は〜い」とアコーディオンを片付ける。

 

「——思ったより弾けるんだな」

 

「そうでしょー!昔お姉ちゃんとよくやってたの——と、言ってもおもちゃだけどね」

 

そう言ってココアが写真を見せる。

写真には、おもちゃのギターを演奏するモカと、おもちゃのピアノを演奏するココア。

 

「そして私がこの街に来る直前に、本物になってたんだけど」

 

そう言ってもう一枚の写真を見せる。

写真には、本物のギターを演奏するモカと、おもちゃのピアノを演奏するココア。

 

「この差は一体どこで——」

 

ココアと話していると、チノが店から出てくる。

 

 

「いつまで話してるんですか」

 

「ごめんごめん」

 

「最後にもう一曲いくよー!ラビットハウスのテーマソング!」

 

ココアはそう言って演奏を始める。

 

「が……んばるあなたに……メロメロメロン……パン!」

 

途切れ途切れの歌声にチノがツッコミを入れる。

 

「ストップです。ココアさんは歌うか弾くか、どちらかに集中しないとズレるタイプですね」

 

「じゃあチノちゃん歌ってよー」

 

「歌う必要はないんじゃ——」

 

ココアの提案を渋るチノ。

 

「まぁまぁ、一曲、ね?」

 

「——お風呂掃除3日分交代ですよ」

 

 

こうして、ココアとチノのセッションが始まる。

 

「——悪くないな」

 

「原稿が捗りそうです」

 

店番をしているリゼと青山がいう。

 

「ご苦労様クロワッサン♪可憐に華麗にカレ〜パン♪」

 

外から聞こえてくるチノの歌声。

 

 

「——なんで、パンの歌なんだ?」

 

リゼが不思議そうにつぶやく。

 

「すっかりココアに浸食されてるー!?」

 

 

最後の演奏が終わり、ココアがようやく店に戻ってくる。

 

「私ね、チノちゃんのお母さんたちみたいになりたかったの」

 

「真似してたつもりだったんですか……」

 

どうやら、以前チノに見せてもらった写真に影響されたらしい。

 

「あと、演奏に合わせてマジックショーしちゃうの!」

 

「壮大な夢ですね」

 

「——客より店員の多い未来しか見えない」

 

悠がそのカオスな光景を想像してつぶやくと、

 

「「鋭い指摘!!」」

 

とココアとチノがツッコミを入れる。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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