ラビットハウスが、ハロウィン期間に突入した。
「トリックオアトリート!」
「お菓子をよこせー!」
メグとマヤがやってくる。2人とも狼のコスプレだ。
「ヴァンパイアで対抗だよ!」
「店員もハロウィン仕様だぜ!」
ココアと悠が手を組んで相手をする。だが——。
「お菓子欲しかったらもふもふさせて〜」
「趣旨が変わってきた!?」
そう言ってマヤとメグをもふもふし始めるココアに悠がツッコミを入れる。
「それはそうと、どうしたんだ、2人とも——」
リゼがコスプレをしたマヤとメグに尋ねる。
「知り合いの喫茶店を回ってるんだ〜」
「イベントを満喫しなきゃ」
「チノちゃーん!」
リゼたちの隣では、何やらココアとチノが揉めている。
「チノちゃん、演技の迫力が足りないよ〜」
ココアがチノに抱きついて「血を吸うぞ〜」と脅すが、チノは
「店員はそんな必要ありません」
と全く乗り気ではない。
「でもチノ、昨日こっそり部屋で練習してただろ」
「なっ!」
悠の一言にチノが顔を赤くする。
それとは対照的に、リゼは顔を青くする。
「なぜ知っているんだ……」
「昨日、チノの部屋の前を通ったら、チノがヴァンパイアの仮装してて——いたっ!」
悠が説明をしようとするが、チノに噛みつかれる。
「俺を噛んでどうする!?」
同じヴァンパイアの仮装をしているのに——。
「共食いだ〜」
その様子を見てマヤが笑う。
ラビットハウスでのバイトが終了し、暇になった悠はフルールへ——行こうとしたが、今日は久しぶりに甘兎庵へ向かうことにした。
「ようこそ。魔女の館甘兎庵へ——」
千夜が魔女の仮装をしている。
「あれ、この店甘味処じゃなかったっけ——」
やたら気合の入った内装と千夜の言動に、悠も困惑してしまう。
「月光も届かぬ悪霊と兎どもの宴——メニュー名が余計わかりづらくなってる!?」
メニューもハロウィン仕様になっているようだ。いつもの倍わかりづらい。
「うっ!左手がうずくっ——!」
「演技もやたら迫真的だな……」
騒ぐ千夜の方を見ると、どうやら本当に怪我をしているようだ。
「おい、本当に怪我してるじゃないか」
「さっき、かぼちゃを彫ったときに切っちゃって——」
「いいのか、あんまり無理するなよ」
「大丈夫よ。この面白イベントを逃すわけにはいかないわ!」
そう言って店の奥へ入る千夜。そしてしばらくして大量のかぼちゃを持って出てくる。
「おいおい、怪我に響くぞ」
「さすがの私もこれぐらい平気よ」
「いいからいいから」
そう言って千夜からかぼちゃを受け取る。
「これ、どうするんだ?」
「お店に飾るの!」
「指示してくれ。俺が手伝う」
そして、ハロウィンの夜がやってきた。
橋の真ん中に立っているチノ を発見した。どうやらココアとはぐれたようだ。
怪盗ラパンの格好をしている。——夜なのに眩しい。
悠は後ろからチノに近づき、肩に手を置く。
「怪盗を見つけたぞ。逮捕する」
「悠さん!?警官になってる!?」
そして向こうから千夜が「お待たせ〜」と走ってくる。
シャロも一緒のようだ。2人とも怪盗ラパンの格好をしている。
「なんでみんな怪盗側なんだ!?」
「だって一回着てみたかったもの」
悠が驚きのあまり叫ぶと、千夜が答える。
だが、悠の不安は反対方向から走ってきたリゼを見て解消される。
「リゼ!お前は警官側だと信じてたよ!」
「怪盗ラパンだらけになってるー!?」
「さ、全員揃ったところでココアを探しに行くぞ!」
悠がそういって先導すると、後ろを怪盗ラパンたちがついてくる。最後尾にはリゼ。
「なんか私たちが連行してるみたいだ!!」
リゼのツッコミを聞いて後ろを向くと、うつむきながら静かに一列で歩く怪盗ラパンたちが見える。
「お前ら!うつむいて一列で歩くなー!」
悠の叫び声で怪盗ラパンたちがクスッと笑った。
この回、本当は10月31日にあわせたかった……。
チノと悠の関係を
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進展させる
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現状維持
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ココアに浮気ルート
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リゼに浮気ルート