ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百八十五話 メリーゴーランド≒対悠用の罠

そして、一行が乗っていた小舟は終着点へと近づく。

——悠は、とても肝心なことを忘れていた。

 

「しまった!」

 

「どうしたの?」

 

「リゼたちに船に乗ってることがバレてる!」

 

「そうだね〜」

 

能天気にココアは笑うが——笑っている場合ではない。

 

「つまり、終着点で待ち伏せされている可能性が高い、ということですね」

 

「そうだ!」

 

青山の発言で、ようやくココアが事態の重さに気がつく。

 

「そんなー!どうしよー!」

 

「リゼたちがいないことを願うしかないな……」

 

すでに詰みかけている。だが助かる方法もある。

——この3人のうち、誰かを囮にして逃げるという方法だ。

 

そうこうしているうちに、終着点へ到着する。

 

 

「あっ!チノちゃん!」

 

「おかえりです。ココアさん」

 

「ここが終着点か〜!」

 

ココアがいつもとは違う景色に目を輝かせる。

 

「お手をどうぞ」

 

「すまないねぇ〜!よいしょ!」

 

ココアがチノの差し出す手を握って船から降りる。

 

「捕まえました」

 

「——へっ?」

 

「よくやったチノ!」

 

奥からリゼが出てくる。——しまった、ココアを囮にするしかない。

 

 

「逃げるぞ!青山さん!」

 

「はい!」

 

悠が青山の手を握って船から飛び降り、リゼたちがいる方向と逆の方向へ全力疾走。

 

「悠さん——絶対に捕まえて見せます!」

 

「チノが急にムキになった!?」

 

「そんな〜!!捕まるときは3人でって言ったのに〜!!」

 

あっさりと囮に仕立てられ上げたココアが叫ぶ。

 

 

 

「二手に分かれてるな」

 

「では私はこちらに。健闘を祈ります」

 

「ああ、生き残れよ」

 

もはや鬼ごっこというより——「生死をかけた何か」だ。当初の緩い空気ではなくなり、本気で逃げている。

 

 

「あっ!二手に分かれた!」

 

「よし!悠は任せろ!青山さんのほうに行ってくれ!」

 

リゼが凛を青山の方に向かわせ、自身は悠を追う。

 

「は、速いっ……くそ、逃げ足だけは速いようだな。だがここまでだ!あきらめて振り回され隊に戻ってくるんだ!」

 

リゼが悠を行き止まりまで追い詰める。

 

「甘いな。リゼ」

 

「なに!?」

 

塀を乗り越えた先には大通りがある。つまり、この塀だけ乗り越えることができたら追跡を撒くことができる。

 

「塀を登るのは反則だろ!」

 

「知ったことか。あばよ!」

 

「くそー!!」

 

塀の向こうに姿を消す悠にリゼが叫ぶ。

 

 

 

その後、チノや凛と合流したリゼは、青山の捜索を続ける。

 

「悠さんは逃げてしまいましたか」

 

「ああ——すまない。後少しというところで——」

 

「悠くんすごーい!」

 

「あっ!あれは!」

 

凛の視線の先には、怪盗ラパンの格好をしたシャロだ。

どうやら、フルールが怪盗ラパンコラボを実施しているみたいだ。

 

「青山先生原作の怪盗ラパン〜!?」

 

凛が目を輝かせて「もっと近くに行っていいかな……」とシャロの方へ向かう。

 

「ただのファンです」

 

「担当さんが作家さんの一番のファンってやつだね!」

 

チノとココアがいう。

 

「あっ……」

 

シャロを覗き込んでいた青山と目が合う。

 

「つい癖でシャロさんを覗き込んでしまいました〜」

 

そう言って逃げる青山を、凛は

 

「待てー!!青山セクハラマウンテン!!」

 

と全力で追う。

 

 

 

悠は近くにあった遊園地に向かっていた。

 

「メリーゴーランドか——懐かしいな〜」

 

そんなことをつぶやきながら、入り口の方を見るとチノがいた。

 

「あ、チノ。どうしたんだ」

 

「メリーゴーランドに乗ってみようと思って——」

 

「そうだよ!早く乗らないと回り始めちゃう〜!!」

 

後ろにココアもいた。——なにしてるんだこいつら……。

 

「あっ、せっかくだから悠、チノちゃんと乗ったら?」

 

なぜか怪盗ラパンの格好をしているシャロにそう言われ、

 

「えっ?あ、ああ、チノがいいなら」

 

「では、一緒に乗りましょう!」

 

とチノとメリーゴーランドにのる。

 

「ん〜もふもふ〜」

 

「ココアさんみたいなことしないでください」

 

「デートしてるみたいだね〜」

 

悠がそういうと、チノは「た、たまたまです」と誤魔化すが、しばらくして「あっ」と気がつく。

 

「どうした?」

 

「悠さん。捕まえました」

 

「——あっ」

 

——忘れてた。今、鬼ごっこをしているということを。

 

 

 

「まんまと引っかかりましたね。先輩」

 

「ああ。初めからこうしたほうがよかったんだ」

 

シャロとリゼの会話は悠に届かない。




次回で鬼ごっこ編終わります!

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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