そして、一行が乗っていた小舟は終着点へと近づく。
——悠は、とても肝心なことを忘れていた。
「しまった!」
「どうしたの?」
「リゼたちに船に乗ってることがバレてる!」
「そうだね〜」
能天気にココアは笑うが——笑っている場合ではない。
「つまり、終着点で待ち伏せされている可能性が高い、ということですね」
「そうだ!」
青山の発言で、ようやくココアが事態の重さに気がつく。
「そんなー!どうしよー!」
「リゼたちがいないことを願うしかないな……」
すでに詰みかけている。だが助かる方法もある。
——この3人のうち、誰かを囮にして逃げるという方法だ。
そうこうしているうちに、終着点へ到着する。
「あっ!チノちゃん!」
「おかえりです。ココアさん」
「ここが終着点か〜!」
ココアがいつもとは違う景色に目を輝かせる。
「お手をどうぞ」
「すまないねぇ〜!よいしょ!」
ココアがチノの差し出す手を握って船から降りる。
「捕まえました」
「——へっ?」
「よくやったチノ!」
奥からリゼが出てくる。——しまった、ココアを囮にするしかない。
「逃げるぞ!青山さん!」
「はい!」
悠が青山の手を握って船から飛び降り、リゼたちがいる方向と逆の方向へ全力疾走。
「悠さん——絶対に捕まえて見せます!」
「チノが急にムキになった!?」
「そんな〜!!捕まるときは3人でって言ったのに〜!!」
あっさりと囮に仕立てられ上げたココアが叫ぶ。
「二手に分かれてるな」
「では私はこちらに。健闘を祈ります」
「ああ、生き残れよ」
もはや鬼ごっこというより——「生死をかけた何か」だ。当初の緩い空気ではなくなり、本気で逃げている。
「あっ!二手に分かれた!」
「よし!悠は任せろ!青山さんのほうに行ってくれ!」
リゼが凛を青山の方に向かわせ、自身は悠を追う。
「は、速いっ……くそ、逃げ足だけは速いようだな。だがここまでだ!あきらめて振り回され隊に戻ってくるんだ!」
リゼが悠を行き止まりまで追い詰める。
「甘いな。リゼ」
「なに!?」
塀を乗り越えた先には大通りがある。つまり、この塀だけ乗り越えることができたら追跡を撒くことができる。
「塀を登るのは反則だろ!」
「知ったことか。あばよ!」
「くそー!!」
塀の向こうに姿を消す悠にリゼが叫ぶ。
その後、チノや凛と合流したリゼは、青山の捜索を続ける。
「悠さんは逃げてしまいましたか」
「ああ——すまない。後少しというところで——」
「悠くんすごーい!」
「あっ!あれは!」
凛の視線の先には、怪盗ラパンの格好をしたシャロだ。
どうやら、フルールが怪盗ラパンコラボを実施しているみたいだ。
「青山先生原作の怪盗ラパン〜!?」
凛が目を輝かせて「もっと近くに行っていいかな……」とシャロの方へ向かう。
「ただのファンです」
「担当さんが作家さんの一番のファンってやつだね!」
チノとココアがいう。
「あっ……」
シャロを覗き込んでいた青山と目が合う。
「つい癖でシャロさんを覗き込んでしまいました〜」
そう言って逃げる青山を、凛は
「待てー!!青山セクハラマウンテン!!」
と全力で追う。
悠は近くにあった遊園地に向かっていた。
「メリーゴーランドか——懐かしいな〜」
そんなことをつぶやきながら、入り口の方を見るとチノがいた。
「あ、チノ。どうしたんだ」
「メリーゴーランドに乗ってみようと思って——」
「そうだよ!早く乗らないと回り始めちゃう〜!!」
後ろにココアもいた。——なにしてるんだこいつら……。
「あっ、せっかくだから悠、チノちゃんと乗ったら?」
なぜか怪盗ラパンの格好をしているシャロにそう言われ、
「えっ?あ、ああ、チノがいいなら」
「では、一緒に乗りましょう!」
とチノとメリーゴーランドにのる。
「ん〜もふもふ〜」
「ココアさんみたいなことしないでください」
「デートしてるみたいだね〜」
悠がそういうと、チノは「た、たまたまです」と誤魔化すが、しばらくして「あっ」と気がつく。
「どうした?」
「悠さん。捕まえました」
「——あっ」
——忘れてた。今、鬼ごっこをしているということを。
「まんまと引っかかりましたね。先輩」
「ああ。初めからこうしたほうがよかったんだ」
シャロとリゼの会話は悠に届かない。
次回で鬼ごっこ編終わります!
チノと悠の関係を
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進展させる
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現状維持
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ココアに浮気ルート
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リゼに浮気ルート