ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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チノちゃんの誕生日が近いということで、番外編です。

前編と後編でわかれています!

今回は、準備回で、後編は誕生日当日に公開する予定です!お楽しみに。


ちなみにですが、本編は明日、通常通りの周期で公開します!


番外編 おめでとうの準備

あとわずかで一年が終わる時期。

外を歩くには分厚い服装が必要な時期。

クリスマスと忘年会の時期。

 

——12月というのは、一年の中でもなかなかカオスな時期であり、それは悠たちも例外ではない。

 

 

「ふーっ……」

 

長い深呼吸を終えると、横に座っているシャロが呆れる。

 

「大げさね。何も今から緊張しなくても」

 

「大げさだと?来週なんのイベントがあるかわかってるのか!シャロ!」

 

「悠がいつもとは比べ物にならないくらい熱い!!」

 

シャロの肩を揺さぶる悠に、リゼがツッコミを入れる。

 

 

この店——フルールドラパンは、我ら『振り回され隊』の拠点の一つであり、毎回この場所に集結しては、ココアたち『振り回し隊』への対処法を会議する。

 

だが、今日に限って話は別だ。来週に迫ったこの一大イベントのために、振り回され隊も振り回し隊も、同じテーブルを囲む。

 

 

「——毎度のことだがチノがいないとイマイチ気分が盛り上がらない……」

 

悠がいうと、リゼが頭を抱える。

 

「お前というやつは——チノの誕生日会の計画を立ててるのに本人がいたら意味ないだろう!」

 

「そうだった」

 

今日に議題を忘れるほど、この会議は進行していない。——というのも。

 

 

「ココア、いい加減に起きろ」

 

「チノちゃーん、お姉ちゃんのプレゼントも開けてみて……」

 

「夢の中で誕生日会開いてやがる」

 

ココアがハーブティーの効能なのか知らないが、ダウンしてしまったのだ。

 

 

 

「それで、ケーキはどうする?」

 

「リゼちゃんの指示のもと、みんなで作りましょ」

 

悠の質問に千夜が答える。リゼが心なしか嬉しそうだ。

 

「わ、私が上官ということだな。よし!厳しく行くぞ!」

 

「合点承知よ!」

 

リゼと千夜が謎の意気投合を見せる。

 

 

「それと、みんなプレゼントは何にするんだ?」

 

また悠が質問すると、リゼは驚いた顔をする。

 

「まだ決めてなかったのか。お前のことだからもう決めていたのかと」

 

「候補が多すぎて決められないんだよ」

 

「そうね——私はカップにしようかなって。この前の古物市で良質なコーヒーカップを買っちゃったんだけど、私家だとあまり飲まないし」

 

「私はいつも甘兎庵のお得意様に渡してる和菓子の詰め合わせセットを渡そうかしら」

 

シャロと千夜がいう。

 

「リゼは?」

 

「私はこのハンドガンだ!昔からチノに合うと思っていてな。これなら比較的初心者にも扱いやすい!」

 

「させぬぞ!」

 

悠の頭に乗っていたティッピーが怒る。

 

「ティッピー!?」

 

「——俺も最近腹話術習ってるんだ」

 

適当な嘘でごまかす。

 

「もっと安全なものにしてくれ」

 

「残念だ——」

 

「ココアの意見も聞きたいが——いつになったら起きるかな」

 

悠がココアの方を向くと、ココアが起き上がる。

 

「チノちゃんへのプレゼントは私でした〜!」

 

「——聞かなかったことにしようか」

 

「そうね」

 

盛大な寝言に悠とシャロが目をそらす。

 

 

 

 

フルールからの帰り道。

 

「うーん……なにがいいかなぁ」

 

「なんでもいいんだよ〜悠くんの気持ちがこもっていれば!」

 

「俺もココアみたいに『俺がプレゼントでした〜!』ってやろうかな」

 

「私そんなこと言ったっけ!?」

 

ココアの驚いた声に「ふっ」と吹き出す。

 

「めちゃくちゃ大きな声で言ってたぞ」

 

 

 

「よーし!じゃあラッピングリボン買いに行こう!」

 

唐突にココアが言い出す。

 

「もう買いに行くのか?」

 

「だって練習しなきゃでしょ?」

 

「——どゆこと?」

 

ココアの発言に困惑するが、次の言葉で解消される。

 

「悠くんを上手にラッピングしなきゃ!」

 

「あれは冗談だぞ!?実際に俺がプレゼントになってたら引くだろ!」

 

「きっと喜んでくれるよ〜!」

 

「逆にチノが喜んだら俺が引くわ!」

 

 

 

「はぁ〜……」

 

「どうかしたんですか?」

 

ラビットハウスで大きなため息をつく悠に、チノが尋ねる。

 

「いいのが決まらなくて——」

 

「何の話です?」

 

「い、いや!なんでもない!」

 

「——?」

 

思わず喋りそうになった。慌ててごまかす。

 

 

 

「リゼ……何か……何か……」

 

「私に意見を求めるな!?」

 

倉庫でリゼと2人きりになったタイミングでプレゼントの話をふる。

 

「そんなに迷っているのか」

 

「ああ。もういっそのこと、現金渡して『これで好きなもの買ってくれ』っていうか」

 

「おいおい……」

 

思考を停止させる悠にリゼがツッコミを入れる。

 

「さりげなく聞いてバレるのも恥ずいな……」

 

「チノのことだ。わかっても黙っててくれるだろ」

 

「それじゃあダメなんだよ。バレたら意味がない」

 

「悠が真剣に悩んでる……」

 

頭を抱える悠にリゼが驚く。

 

 

「——あっ」

 

「——ん?」

 

「いいこと、思いついた」

 

「何だ?」

 

リゼが尋ねる。

 

「——『誕生日、忘れてるドッキリ』しよう」

 

「いきなりどうした!?」

 

「思ったんだ。今の計画ではサプライズ要素が足りない。一度『私の誕生日、忘れたんでしょうか……』って落としてからやったほうが面白いだろう?」

 

「——確かに」

 

悠の案にリゼが同意する。

 

「よし、この後緊急の作戦会議だ!」

 

 

——そしてこの後、会議で悠の案が採用された。

 

 

 

 

「プレゼント——」

 

「悠くん……」

 

「ココアは決めたのか?」

 

「私は手作りのぬいぐるみー!!」

 

ココアがそう言って引き出しからぬいぐるみを取り出す。

——しばらくして目が取れる。

 

「目ー!!?」

 

「そんなぁ〜!ちゃんと説明書通りやったのに〜!」

 

「ほら、さっさと直すぞ!裁縫道具とってくる!」

 

「ごめ〜ん!!」

 

 

 

「手作りか……そういえば選択肢になかったな」

 

「そうなの?」

 

ココアのぬいぐるみを直している途中、ふと気がつく。

 

「私も最初は何か買おうかなって思ったんだけど、手作りの方がお姉ちゃんを感じられるかな〜って!」

 

「愛が重いな」

 

ココアの発言に悠がツッコミを入れる。

 

「チノが好きそうなやつで手作りできるもの——ボトルシップ?」

 

「悠くん作れるのー!?」

 

「どうだろう。いつもチノが作ってるやつを手伝ってるだけだからな」

 

「ぬいぐるみ直してくれたお礼もしたいし、私も手伝うよ!」

 

「ちょっとの衝撃でバラバラになりそうだからやめてくれ」

 

「え〜浮かべても沈まないよー!」

 

「——だめだこりゃ」

 

ボトルシップが何かすらわかっていないココアの発言に悠が呆れる。

 

 

 

——まずは必要なものを買いに行かなくては。

 

「すまん、用事があるからバイト休ませてくれ」

 

「構いませんが、何かあるんですか?」

 

「ちょっと急ぎで買うものがあってな」

 

「そうですか」

 

リゼがこちらに視線を向けてくる。

——決まったのか、とでも聞きたいのだろうか。

悠はそれに頷くと、リゼが少し微笑んだ。

 

 

 

購入したものを部屋に搬入する際、ふとアルバムを抱えたチノ を見かけた。

慌てて隠す。

 

「チノ。どうかしたのか?」

 

「昔のアルバム整理しようと思って」

 

「手伝おうか?」

 

「——お願いします」

 

 

チノの部屋に向かう。

 

「この本棚にまとめて入れたいんですが、時期ごとにまとめたくて。悠さん、すみませんが中の写真の日付を見て並べてくれませんか。私は本棚に入れていきます」

 

「ああ、わかった」

 

アルバムを見ていくと、チノが生まれた時のものからある。

だが、アルバムの中で最も新しいのは、小学校の時のものだろうか。

チノとタカヒロ、そしてティッピーとティッピーになる前の祖父が写っている。

その写真以降、アルバムは途切れている。

 

 

 

——プレゼント、2つ目が決定した瞬間だった。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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