ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第百八十七話 ワイルドギース・チノ

「ところで、2人はどうしてここに?」

 

「ああ、チラシ配りにきたんだ。今度ラビットハウスでパン祭りをやることになってな。——シャロはこれそうか?」

 

悠が尋ねると、シャロはチラシを眺めながら「そうね……」と考える。

 

「メロンパン、おいしかったな……」

 

「あ、あの……私の新作コーヒー……」

 

チノが最近開発した新作のコーヒーを紹介しようとするが——

 

「パン祭りですか。私も前回惜しくも行けなかったですね」

 

と青山がシャロの太ももに話しかける。

 

「また目線が下に!?」

 

シャロが青山の視線をかわすと、青山はすぐに物陰に隠れる。

 

「どうした——あっ、凛さん」

 

向こうのほうから青山の担当である凛が駆け寄ってくる。

 

 

「凛さんもパン祭り、どうですか?」

 

悠がチラシを渡すと、凛がチラシを眺める。

 

「食べ放題ですか——時間が空けば行けなくはないですね」

 

「あ、あの……コーヒーも……」

 

チノが凛にコーヒーもと勧めるが、凛には聞こえなかったようだ。

 

「楽しみですね〜」

 

「これるのか?逃げ場として利用できなくなっちゃったが」

 

 

「あれ、チノちゃんは?」

 

今度はシャロがチノがいなくなったことに気がつく。

チノは道端で座り、ワイルドギースを頭に乗せて草をくわえている——ワイルドギースが憑依したような状態になっている。

 

 

「ラビットハウスはパン屋じゃないんで——じゃないんだぜ……。みんなはコーヒー嫌い……なんだぜ……」

 

「グレた!?」

 

「不良チノちゃん!?」

 

コーヒーが注目されなくて拗ねたらしい。

 

「おい、草を食べるな」

 

「そこなの!?」

 

悠のツッコミにシャロが驚く。

ふと、シャロが以前悠に言っていた言葉を思い出す。

 

『——高1クライシスって知ってる?中学生から高校生になる時、精神的に病みやすいの』

 

「チノ!高校生になるまでグレるの待てよ!」

 

「どういうことですか!?」

 

悠の唐突な発言にチノが思わずいつもの口調に戻る。

 

 

「あら、みんなどうしたの?」

 

千夜があんこを抱えてこちらに来る。

 

「千夜!ワイルドギースがチノに憑依したんだ」

 

「それならあんこもライド・オーン!」

 

「こら!チノちゃんで遊ばないの!」

 

ふざけてあんこをチノ の頭に乗せる千夜にシャロがいう。

——あんこを乗せられたチノは、今度は一切動かなくなった。心なしか目があんこに似ている。

 

「今度はあんこみたいになったな……」

 

「すごいっ——!降霊術だわ!」

 

「あんこ生きてるでしょ!」

 

3人の言葉に、チノは「ふっ」と吹き出すと、

 

「すみません。ちょっといたずらしてしまいました」

 

「まぁ〜やんちゃになったわね〜」

 

微笑みながらチノの頭を撫でる千夜とは対照的に、シャロとティッピーと悠は深刻な顔をする。

 

「——まずいな、ココアに似てきてる」

 

「末恐ろしいわ……」

 

小声で会話するシャロと悠にチノは首を傾げた。

 

 

 

「客、来るかな」

 

チラシ配りの帰り道、悠がボソッとつぶやく。

 

「ココアさんのパンも、リゼさんのパスタもおいしいので大丈夫です」

 

「そ、そこにチノのコーヒーも追加すれば最強だな!」

 

「——今更フォローしても遅いです」

 

「そう拗ねんなよ〜」

 

「拗ねてませ——ないんだぜ……」

 

その言葉で大笑いする2人だった。




以前のシャロの言葉は「第百四十七話 シャロと密会」のときのものです!

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
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