「ところで、2人はどうしてここに?」
「ああ、チラシ配りにきたんだ。今度ラビットハウスでパン祭りをやることになってな。——シャロはこれそうか?」
悠が尋ねると、シャロはチラシを眺めながら「そうね……」と考える。
「メロンパン、おいしかったな……」
「あ、あの……私の新作コーヒー……」
チノが最近開発した新作のコーヒーを紹介しようとするが——
「パン祭りですか。私も前回惜しくも行けなかったですね」
と青山がシャロの太ももに話しかける。
「また目線が下に!?」
シャロが青山の視線をかわすと、青山はすぐに物陰に隠れる。
「どうした——あっ、凛さん」
向こうのほうから青山の担当である凛が駆け寄ってくる。
「凛さんもパン祭り、どうですか?」
悠がチラシを渡すと、凛がチラシを眺める。
「食べ放題ですか——時間が空けば行けなくはないですね」
「あ、あの……コーヒーも……」
チノが凛にコーヒーもと勧めるが、凛には聞こえなかったようだ。
「楽しみですね〜」
「これるのか?逃げ場として利用できなくなっちゃったが」
「あれ、チノちゃんは?」
今度はシャロがチノがいなくなったことに気がつく。
チノは道端で座り、ワイルドギースを頭に乗せて草をくわえている——ワイルドギースが憑依したような状態になっている。
「ラビットハウスはパン屋じゃないんで——じゃないんだぜ……。みんなはコーヒー嫌い……なんだぜ……」
「グレた!?」
「不良チノちゃん!?」
コーヒーが注目されなくて拗ねたらしい。
「おい、草を食べるな」
「そこなの!?」
悠のツッコミにシャロが驚く。
ふと、シャロが以前悠に言っていた言葉を思い出す。
『——高1クライシスって知ってる?中学生から高校生になる時、精神的に病みやすいの』
「チノ!高校生になるまでグレるの待てよ!」
「どういうことですか!?」
悠の唐突な発言にチノが思わずいつもの口調に戻る。
「あら、みんなどうしたの?」
千夜があんこを抱えてこちらに来る。
「千夜!ワイルドギースがチノに憑依したんだ」
「それならあんこもライド・オーン!」
「こら!チノちゃんで遊ばないの!」
ふざけてあんこをチノ の頭に乗せる千夜にシャロがいう。
——あんこを乗せられたチノは、今度は一切動かなくなった。心なしか目があんこに似ている。
「今度はあんこみたいになったな……」
「すごいっ——!降霊術だわ!」
「あんこ生きてるでしょ!」
3人の言葉に、チノは「ふっ」と吹き出すと、
「すみません。ちょっといたずらしてしまいました」
「まぁ〜やんちゃになったわね〜」
微笑みながらチノの頭を撫でる千夜とは対照的に、シャロとティッピーと悠は深刻な顔をする。
「——まずいな、ココアに似てきてる」
「末恐ろしいわ……」
小声で会話するシャロと悠にチノは首を傾げた。
「客、来るかな」
チラシ配りの帰り道、悠がボソッとつぶやく。
「ココアさんのパンも、リゼさんのパスタもおいしいので大丈夫です」
「そ、そこにチノのコーヒーも追加すれば最強だな!」
「——今更フォローしても遅いです」
「そう拗ねんなよ〜」
「拗ねてませ——ないんだぜ……」
その言葉で大笑いする2人だった。
以前のシャロの言葉は「第百四十七話 シャロと密会」のときのものです!
チノと悠の関係を
-
進展させる
-
現状維持
-
ココアに浮気ルート
-
リゼに浮気ルート