ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

197 / 249
今回からクリスマス編です!

後編は明日に公開されますのでお楽しみに!


第百九十四話 クリスマス前夜

「いよいよクリスマスですね」

 

「そうだな……」

 

チノと悠は、クリスマスシーズンに向けて気合の入った街並みを見る。

 

「去年は賑やかだったんですが……今年は静かなクリスマスになりそうです」

 

以前、ココアに去年のクリスマスについて聞いたことがあった。どうやら期間限定で特製のパンケーキを出したら店が大盛況になったそうだ。

だが、今年はそうもいかなさそう。

 

 

「ココアは、別のバイト先に駆り出され、リゼは部活の助っ人か」

 

「お、お店ぐらい、2人でなんとかなります……」

 

「震えておるぞ」

 

わずかに震えながらそう強がるチノにティッピーがツッコミを入れる。

——と、その時。チノの視界が何者かに奪われた。

 

「だ〜れだっ!」

 

「その声は——ココアさん!仕事中に何して……」

 

チノが振り向くと、そこにいたのはココアではなくシャロだった。

 

「今の声シャロさん!?」

 

「似てたかしら」

 

「欲丸出しの間抜けな雰囲気がそっくりでした!」

 

「そ、そう……」

 

辛辣なチノの言葉にシャロが苦笑いする。

悠はそんなシャロの背後に近寄り、シャロの目に手のひらを当てる。

 

「だーれだ!」

 

「その凛々しい声はリゼ先輩!?少し声を作っても分かりますよ!」

 

シャロが振り向くとリゼではなく悠。

 

「全然似てないわよー!!」

 

「騙されたのに!?」

 

顔を赤くしてシャロが突っかかってくる。

 

 

「チノちゃんも、悠も、こんなところで何して——まさかデート?」

 

「ココアの迎えだ。もうすぐ雨が降るのに傘を忘れたからな」

 

「ついでに他のお店を偵察です」

 

「そう……。チノちゃん、さっきチラッと聞こえたんだけど、2人でお店回すって大丈夫なの?」

 

「大丈夫です」

 

「俺がチノに代わって奴隷のように働けば間に合う」

 

「間に合ってないじゃない!——もう、困ったときは頼りなさいよ。2人ともすぐ溜め込むんだから」

 

「ありがとうございます」

 

「そう言うシャロも、バイト詰め込みすぎて倒れるなよー」

 

シャロと別れた後、すぐにリゼと遭遇した。

 

 

「買って買ってー!ねえ買ってー!」

 

「じゃないとリゼお姉ちゃんって連呼するよ〜」

 

「マヤさんとメグさんです」

 

チノがいち早く3人に気がつく。マヤもメグもリゼを囲んで何か会話をしているようだ。

 

「悠!助けてくれ!こいつらにしつこく——たかられてるんだぁっ!!」

 

「——嬉しそうだな」

 

「——嬉しそうです。あ、雑貨店がありました。お店の飾りも買っておきましょう」

 

「ああ」

 

「お前らー!!」

 

たかられて嬉しそうなリゼを放置して雑貨店へ足を踏み入れるチノと悠にリゼが叫ぶ。

 

 

 

「シャロさんも、リゼさんも……みなさん浮かれすぎです」

 

「そうだな」

 

雑貨店での買い物が終わり、店から出るとチノが呆れたように言う。

 

「こっちだよ〜」

 

「待ってお姉ちゃん!」

 

小さい子供がこちらに走ってくる。チノの周りを3周ほどぐるぐると回ると、道端で踊る。

 

「————」

 

「——俺と浮かれて踊るか?」

 

「そういうつもりで見ていたわけではありません!」

 

 

 

そんな会話をしていると、ココアのバイト先へ到着した。

 

「ココアのバイト先って焼き栗屋だったのか!?」

 

「サンタさんの格好が評判良くてね〜!」

 

「——確かにちょっといかがわしい……」

 

「どういうこと!?」

 

サンタのコスチュームを見せびらかすココアに悠がそういうと、チノが腕を引っ張る。

 

「バカなこと言ってないで、早く傘を渡してください!」

 

「へいへい……」

 

 

その後、目的を果たしたチノと悠はラビットハウスへ——。

 

「あっ、降ってきたな」

 

「——私たちの分の傘を忘れました」

 

「そういえば一個しか持ってなかった!」

 

今更重大なことに気がつくチノと悠であったが、降っているのは雨ではなく雪だと気がつく。

 

 

「走って帰るぞー!」

 

「走らないでください。転びますよ」

 

チノがそう言った瞬間、派手に転んだ。

 

「ほら……調子に乗るからです。——あいたっ……!」

 

「ごめんごめん……って、チノも転んだ」

 

「とばっちり食いました」

 

そしてラビットハウスへ到着——だが、何やら様子がおかしい。

 

 

「あれ、これなんの行列だ」

 

「繁盛してるお店が近くに……」

 

やたら長い行列を目撃し、困惑する悠とラビットハウスへの強力なライバルの登場に不安がるチノ。

 

「これラビットハウスの行列だ!?」

 

悠がラビットハウスからの行列だと気がつくと、チノが頬を引っ張る。

 

「あ、ありえない!!」

 

「自虐!?」

 

 

中へ入ると、リゼの父親が出迎える。

 

「タカヒロさん。何があったんです?」

 

「青山くんの担当さんが取材に来てね——雑誌に大々的に宣伝してくれたみたいだ」

 

「このタイミングで!?」

 

チノが青ざめる。——宣伝してくれるのは嬉しいが、タイミングが悪すぎた。

 

「今月いっぱい忙しくなりそうです」

 

 

 

 

 

「うっ……つ、疲れた……」

 

ベッドに倒れ込む悠にチノは

 

「あんなに頑張ってくれなくても……私もいるのに」

 

「いや……チノにはゆっくりいつものペースでコーヒー淹れてもらわないとな……」

 

悠はそれだけいうと眠りについた。

 

 

「制服のまま寝てしまいました」

 

「今日は一段と忙しかったからのう」

 

「当日、頑張りすぎて倒れないでくださいね……」

 

ぐっすりと眠る悠に微笑みながら布団をかけるチノだった。

チノと悠の関係を

  • 進展させる
  • 現状維持
  • ココアに浮気ルート
  • リゼに浮気ルート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。