その翌日、約束通りにリゼ宅へやってきた。
インターホンを押すと、リゼが玄関まで出迎えてくれる。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
リゼの部屋に入ると、シャロも中にいた。
「まさか、有識者って——シャロ!?」
「悠、なんであんたが?」
「いや、リゼに呼ばれて——」
悠がそう言うと、シャロも「私もよ」と告げる。
「2人に集まってもらったのは他でもない。チノに関してだ。シャロにも悠にも、昨日少し話したと思う」
「チノちゃんの話ですか——でも、なんで私が?」
「シャロが恋愛に詳しそうだと思ったんだ」
「恋愛運最悪の私をこんな会議に呼ばないでくださーい!!」
リゼが理由を話すと、シャロが叫ぶ。
「意外だな。俺は千夜が詳しそうだったから、リゼも千夜を呼ぶのかと思ったんだが」
「そうですよ。呼んでいただけたのは嬉しいんですけど……こういう相談は私より千夜の方が——」
シャロも悠の言葉に同意する。
「実は、私も最初は千夜を呼ぼうって思ってたんだけど、私の勘が『恋愛相談はシャロに』というんだ」
「リゼ先輩——!死んでもこの問題を解決して見せます!!」
リゼの言葉にやる気を出すシャロ。——ちょろい。
そして、昨日リゼと悠が話した『夢』のことをシャロに話す。
「あんた、なんて夢を見てるのよ」
「内容は人の自由だろ!」
シャロの冷たい視線に悠が反論する。
「そうですね——。千夜のいう通り、チノちゃんも自分がおかしくなったことにも気がついていると思うんです。ただ、自分の気持ちやそ、その——キスしてしまった恥ずかしさが大きすぎて、逆に混乱しているのかもしれません」
「別にキスは初めてじゃないんだけどな……」
悠の爆弾発言にリゼとシャロが「ガタッ」と音を立てて立ち上がり、悠に詰め寄る。
「どういうことだ!悠!」
「近い、近いよリゼ!」
「す、すまない……」
悠は以前、悠が寝ていたときにチノが頬にキスしたことを2人話す。
「それは悠が寝てたからじゃないのか?それに唇じゃなくて頬なんだから、恥ずかしさは今より小さいだろ」
リゼが言うと、シャロも「そうよ」と同意する。
「それもそうか。俺も気付いてたけど、気がつかないフリしてたし」
「お前にそんな気遣いができるとは」
「——俺をなんだと思ってる?」
リゼの失礼な発言に悠がジト目になる。
「それでシャロ、どうしたらいいと思う?」
リゼがシャロに結論を求める。シャロはしばらく考えてから——
「この問題は、チノちゃんが自分の気持ちに素直になって、きちんと向き合わないと解決しないと思います。——それに、私たちが変に動いたところで、逆効果になる恐れもあります」
シャロの言葉に恋愛下手なリゼと悠が固まる。
「——私何か変なこと言ってしまったでしょうか」
シャロが自分の発言に心配するが、リゼは首を横に振る。
「いやぁ——シャロがものすごく頼りになると思って——」
「これから恋愛マスターって呼ぶよ」
リゼと悠の発言にシャロは顔を赤くして
「そんな称号いらないわよー!!」
と叫ぶ。
「リゼは鈍感で恋愛下手だからな〜!こう言うのは全く頼りにならないから助かったよ!」
「お前にだけは言われたくないぞ!?」
悠の軽口にリゼがツッコミを入れる。
「——私から見たら2人とも致命的です」
シャロの無慈悲で的確な一言にリゼも悠も固まった。
帰り際、リゼがシャロの両手を掴むとシャロは顔を真っ赤にする。
「ふぇっ!?リ、リゼ先輩!?」
「自分で呼んでおいてアレだけど、お前がここまで頼りになるとは思わなかったよ!この鈍感な悠とチノのために、今後も相談に乗ってくれ!」
「鈍感は余計だ!」
悠がリゼにツッコミを入れると、シャロは少し悠から顔を逸らして、
「し、仕方ないわね。私がサポートしてあげるわ」
と悠に言った。