ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百四話 ティッピーが追い出された話

チノがラビットハウスへ帰ってくると、ココアが悠の髪で遊んでいた。

 

「ほら、こっちの方が似合うよ〜」

 

「なんだこれ、女子がつけるやつだろ」

 

「あの……」

 

チノがそういうと、ココアと悠はこちらに気がつく。

 

「あっ!チノちゃん!お帰りなさい!」

 

「おかえり」

 

ココアと悠がそういうと、チノは「ただいまです」と答えてからココアに尋ねる。

 

「——って、何してるんですか!」

 

「悠くんが髪伸びたって言ってたから、似合う髪飾り探してたの!」

 

「ココアに『切る』という考えはないらしい」

 

悠が諦めた様子で答える。

 

「やれやれです……」

 

 

「あっ!これとかどう?お揃いだよー!」

 

ココアがそう言って自分の髪飾りを悠につける。

 

「それ、ココアさんのじゃないですか。全然似合いません」

 

チノが冷たく言い放つと、ココアは「え〜」と少し落ち込む。

 

「——なんでお前がムキになってるんだ?」

 

「ムキになってません!もう私は部屋に戻りますね」

 

それだけいってチノはこちらに背を向けた。

 

 

 

 

「シャロさんのおかげで、少し心に余裕ができました」

 

『それならよかったわ!』

 

チノは部屋でシャロと電話していた。

電話を切ると、早速ティッピーが話しかけてくる。

 

「チノや……最近わしを置いて外出する回数が増えてるような気がするんじゃが……」

 

「き、気のせいです」

 

「——まさかわしには言えない秘密が!?」

 

「うっ——お、大きなお世話です。早く出て行ってください」

 

 

 

 

「うぅぅっ……」

 

「それで、俺のところに追い出されたと。——そろそろ泣き止めよ」

 

チノの部屋を追い出されたティッピーが悠のもとにやってきていた。

 

「わしにちょこちょこついてきてたチノが——もはやわしもこれまでじゃな……」

 

「大袈裟な爺さんだな……。別に嫌われたわけじゃないだろ」

 

「お前にわしの気持ちがわかるか!チノを巡ってわしと勝負じゃ!」

 

「そのぐらい元気があれば、まだまだ大丈夫だな」

 

「人の話を聞けーっ!」

 

全く相手にしない悠にティッピーが怒鳴った。

 

 

 

 

「お風呂沸いたよ!」

 

「掃除当番ご苦労」

 

「ふふ〜ん、見て驚かないでよ!今日は一段とピカピカになったの!」

 

今日の風呂掃除当番はココアだ。いつものように成果を自慢する。

——が、チノの様子がおかしい。

 

「で、では悠さん先にどうぞ——」

 

オドオドするチノに悠が「ふっ」と吹き出す。

 

「な、なんですか」

 

「一緒にはいら——」

 

悠が言いかけたが、チノがすぐに

 

「バカなこと言ってないで早く入ってきてください!」

 

と叫ぶ。

 

「へいへい……」

 

 

 

風呂場に入ると、確かにいつもより綺麗になっていた。

 

「悠くん!私のお風呂はどうだい?」

 

風呂場の外からココアが話しかけてくる。

 

「お前の風呂じゃないだろ——いつもよりちょっと綺麗かな」

 

「そうでしょー!」

 

「ココアにしては上出来だが、まだまだだな」

 

「そんな〜!」

 

悠が敢えて辛口な評価をすると、面白いようにのっかかるココア。

 

「っていうか、何しにきたんだ。覗きか?鍵開いてるから堂々と入ってきてもいいぞ」

 

「悠さん、あまりココアさんに変なこと言わないでください。誰も覗きません!」

 

悠が軽口を叩くと、ココアではなくチノが反応する。

 

「チノもいたのか」

 

悠がそうつぶやくと、微かにココアとチノの声が聞こえる。

 

「ほら、チノちゃん、悠くんには見えてないから照れなくてもいいんだよ?」

 

「扉の向こうで何が起きてるんだ!!?」

 

意味深なココアの発言に悠が顔を赤くする。

 

 

 

風呂から出ると、着替えと一緒に置き手紙とヘアピンが置いてあった。

 

『ココアさんのは全然似合わないので、どうせつけるならこっちにしてください』

 

名前は書いていないが、誰が書いたのかはすぐに分かった。

 

「やれやれ——素直じゃないな、チノも」

 

そうつぶやきながら、手紙に添えられていたヘアピンを手にとった。

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