ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百五話 屋台巡りと命令探し

シャロたち、チノと悠がまた打ち解けられるようにと気を使ったのか、みんなで新年の屋台巡りをしようと誘ってきた。

 

 

「——そういえば、ココアは新年に実家に帰らなくていいのか?」

 

「みんなと年越ししたかったから——」

 

悠がそういうと、ココアは少し照れ臭そうにそう答える。

 

「——帰るのが面倒なだけでは」

 

チノが鋭い指摘をすると、ココアは慌てて

 

「違うよ〜!!」

 

と否定する。

 

「今のみんなとは、今しか思い出作れないもん」

 

ココアが雪合戦をするみんなを見ながらそうつぶやく。

 

 

 

しばらくして、千夜が袋を抱えてこちらにやってきた。

 

「みんな〜!ガレット・デ・ロワ買ってきたわよ〜」

 

「なんだそりゃ」

 

悠が首を傾げると、千夜が説明をしてくれる。

 

「新年のパーティーで食べるお菓子よ。切り分けたパイの中に指輪が入ってた人はその年の王様になれるの!」

 

「なるほど——」

 

「そして——王になった者はみんなに何か一つ命令できる権利が与えられるわ!」

 

「「命令!?」」

 

千夜の一言にココアと悠がハモる。

 

「では始めましょう。王の冠を賭けた戦いを!」

 

「——確認しながら食べるだけよね」

 

大袈裟で、やたら盛り上がる千夜にシャロが冷静にツッコミを入れる。

 

 

「私が当たったらみんなを妹にするんだ〜!」

 

「私は〜——どうしようかしら!えっとえっと……」

 

みんなを妹にするというココアと、何を命令しようか悩む千夜に、悠は

 

「どうかこの2人が王になりませんように——」

 

と祈る。

 

「こういうのって、意外と無欲な人が当たるんだよな〜……」

 

リゼが食べながらそういうと、隣で「ガキッ!!」と鋭い音がする。

 

「あ、あはっへひまいまひは……」

 

チノが口を押さえながら倒れ込む。

 

「すごい音がしたが大丈夫か!?」

 

リゼが倒れ込むチノを支える。

 

 

「さあ!我々に命令を!」

 

ココアがそういうと、チノは少し困った顔をして

 

「いきなりそう言われても——」

 

と考え込む。

 

「じゃあ、チノが考えてる間、一回解散して各自お店を回ろう」

 

リゼがそういうと、一同は「賛成〜!」と同意する。

 

「ま、チノちゃんの命令なら安心ね」

 

シャロはそう言って笑う。——同意だ。ココアと千夜は嫌な予感しかしなかったから。

 

 

「ど、どうしましょう……」

 

置いていかれたチノが小さくつぶやく。

 

「王なら民の心に耳を傾けるのもいいかもしれんのう」

 

ティッピーがそう助言すると、チノは「そうですね」と頷いて、みんなのもとへ向かう。

——まずは悠。

 

 

「悠さん、何してるんですか?」

 

「チノ!面白そうな雑誌があったから軽く立ち読みしてるんだ」

 

悠はそう言って読んでいた雑誌をチノに見せる。

 

『世界のカフェ』というタイトルが目に入る。

 

「世界にはいろんなカフェがあるんだな〜と思ってさ」

 

悠がそういう通り、本には『図書館カフェ』や『古城カフェ』など様々なカフェが紹介されている。

 

「こういうところを冒険するのも楽しいかもしれないな」

 

「そうですね」

 

 

「——ん?なんだこれ」

 

「どれですか?」

 

悠があるページに目が留まる。

 

「『祖父の代から続く古き良きカフェ』だってよ」

 

「うちと被ってます!私たちも負けてません!多分!」

 

「そうだそうだ!」

 

 

 

次にチノが向かったのは——千夜。

 

「千夜さんは何してるんですか?」

 

「チノちゃん、見てみて。珍しいランプとお香がいっぱいある店を見つけたの」

 

「すごく綺麗です!」

 

千夜が指差す先にはたくさんのランプとお香。

 

「お香を通して世界の香りがお店のヒントをくれるかも——」

 

千夜が目を閉じてつぶやく。——脳内は甘兎庵の新メニューの名前をどうするかでいっぱいだ。

 

「こうやってアイデアを取り入れているんですね——私も感じます。甘い匂い……素敵な世界の匂いです……」

 

チノもそれに合わせて目を閉じ、匂いに集中する。

 

 

 

 

道端でリゼを見つけた。——何やらキョロキョロしている。

 

「リゼさん?何か探し物ですか?」

 

「チノか。高校の友達と卒業旅行計画してて、必要なものを選んでるんだ」

 

「卒業旅行——ですか」

 

「そうだ!都会を探検して新しい刺激を取り入れないとな。ラビットハウスのためにも」

 

「なるほど——!」

 

リゼの発言にチノの目が輝く。

 

 

リゼと別れた後、すぐにココアを見つけた。

 

「——何してるんですか」

 

雪が積もった道路に大の字で寝転がるココアに、チノは理由を尋ねる。

 

「一回雪に埋れてみたかったの〜!」

 

「——その行動力、ある意味尊敬します」

 

チノが呆れた口調でそういうが、ココアは褒められたのかと勘違いしたのか、顔を赤くしてデレデレする。

 

 

「こうやって、街を眺めるの。そうすると、故郷のいいところを見直すことができるの」

 

ココアがチノを見て、そう言って笑った。

 

 

 

「外の世界を知って、故郷がもっと好きになる——」

 

ココアの言葉を聞いて、チノは空を見上げた。

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