チノはシャロの元へ向かった。
「シャロさん、気を遣ってくれてありがとうございました」
「いいのよ」
「シャロさんは何してるんですか?」
「私はね——」
「リゼじゃないか。どうしたキョロキョロして。探し物か?」
「それ、さっきチノにも言われたぞ」
「なっ!?」
悠の言葉にリゼが笑うと、悠が若干顔を赤くする。
「友達と卒業旅行に行こうと思ってな。その準備だ」
「大学受かってからにしろよ〜」
今度は悠がせっかちなリゼに笑う。
するとリゼは、「あっ」と何かを思いついたようにいう。
「ん?」
「実はこの前——私大学受かったんだ」
「ええええーっ!!?」
悠が思わず叫ぶと、みんなこちらにやってきた。
「どうしたの悠くん!?」
ココアが驚く。
「り、リゼがこの前大学受かったって——」
「「「「ええええーっ!!?」」」」
一同が驚く。
「——なんで悠と同じ驚き方をするんだ」
困惑するリゼに、ココアとチノが雪玉を投げる。
「初耳だよー!!」
「そんな大事なことはもっと早く言ってください!」
「陰で努力してたわね!この〜!」
「おめでとうございます先輩〜!」
千夜とシャロも参戦する。
「何あっさり合格報告してんだよ〜!」
悠も参戦すると、リゼはいよいよ防ぎきれなくなったのか服が白くなっていく。
「なんだこの祝いかたは!?」
ココアがリゼを押し倒す。
「おめでとー!リゼちゃん!」
「うん……ありがとう……!」
「では——。王の命令を発動します」
チノがそう言って、歯形のついた王冠をみんなに見せる。
「いよいよか……」
緊張する一同。
「リゼさんが受験終わったということで、お祝いの意味も含め——皆さんと外のセカイに行ってみたいです。これが私の命令です」
「————」
一同がポカーン口を開けたまま沈黙する。
「——い、嫌なら別の命令にしますが……」
沈黙する一同にチノが少し動揺するが——。
「あれ!?お姉ちゃんになって欲しいんじゃないの!?」
「チノ!それは命令じゃなくて提案だ!!」
「リゼのいう通りだ!旅行には賛成だけどな!」
ココアとリゼと悠からツッコミがくる。
「私も大賛成よ!」
千夜も悠に同意する。
「命令は考え直しね!」
「えーっ!?」
シャロの言葉にチノが驚く。
「で、行き先はどうする?都会か?海か?」
リゼが一同に話しかける。——心なしかとても嬉しそうだ。
「チノちゃんがあんな命令を下すなんて……!!」
ココアがチノにそういうと、
「ココアさんの変な影響かもしれません」
「え゛っ!?」
「正直まだ実感が湧きません。新しいセカイを知るのは怖いです。——でも、それ以上にみなさんといろんな景色を見たいと思いました」
チノがそうココアに告げた。
「大学生になったら大人っぽくなるぞ!」
「——いきなりどうした?」
翌日、リゼと千夜に甘兎庵へ呼び出された。
唐突なリゼの言葉に困惑する。
「私が今からリゼちゃんをイメチェンしま〜す!悠くんは感想を教えてね!」
「お、おう……」
そして、数十分後に現れたリゼをみて悠は目を見開く。
「こっ……この姿は——!?」
「え、えっと——どちら様でしたっけ——」
道端で偶然シャロに遭遇し、リゼを紹介するとシャロは困惑する。——どうやら、あまりの変化に誰なのか認識できないようだ。
「おいおい、シャロ。まさかこいつが誰かわからないのか?」
「シャロちゃんがわからないはずないわよね?」
「試されてる!?」
シャロを煽る悠と千夜にツッコミを入れる。
「も、もしかして——リゼ先輩〜!?」
シャロが驚きの声を挙げると、リゼは「あはは」と笑う。
「気がつくのが遅いぞ!」
「先輩——!」
変わり果てたリゼの姿に目を輝かやかせるシャロ。
「やっぱり変かな?誰も私って気がつかなかったり——」
リゼが心配そうにいうと、シャロは
「超絶似合ってます!わからないバカは私だけです!」
と慌てて否定する。