ついに、ココアの姉がやってくる日になってしまった。
ココアは「迎えに行かずにいつも通り店で働くように」と姉に言われ、店で待つことに。
だが————。
「おい、しっかりしろ」
緊張でフリーズしている。心なしか目が死んでいるようにも見える。
「ココアさんのお姉さん。どんな人なんでしょうね」
「ココアの姉か。楽しみじゃのう」
「ティッピーが孫を待つおじいちゃんみたいな顔してるぞ!」
実際はチノの祖父だと言うことをココアもリゼも知らない様子だ。
あれから1時間ほどだろうか。いまだに姉が来る様子はない。
「お姉さん、遅いですね」
チノが言うと、ココアが「私探してくる!」と職務放棄して出て行った。
「ココアが迷いそうだな」
と悠が言うと、早速ココアからメールが届いた。
「なんだ、もう合流したのか?」
とリゼが携帯を除くと、
『かわいいうさぎ見つけた!』
と言うメッセージと一緒に背中がハートの模様になっているうさぎの写真が添えられていた。
「あいつ、探す気あるのか……」
「でも、かわいいです」
あれからまた時間が経ち、リゼと里恵は買い出しへ出かけて行った。
「帰ってこない……」
「だな……」
そのとき、店のドアが開いた。
麦わら帽子にサングラスとマスク。完全に「あっちの人」がやってきた。
「——い、いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」
チノが震えた声で言う。悠が注文を聞きに向かう。
「ご注文は——」
「じゃあ、オリジナルブレンドとココア特製厚切りトーストを」
「かしこまりました——」
チノのいるカウンターに戻ると、ティッピーがあの客の方を向いていた。
「ブレンドとトーストだ。——あの風貌、運び屋か」
「悠さんもリゼさんみたいなこと言いますね」
「芸能人とか、花粉症とかあるじゃろ」
チノがコーヒーとトーストを用意して、悠がそれを運んで行った。
しばらくして、「ガタン!」と音を立てて先ほどの客が勢いよく立ち上がった。
「このパン!もちもちが足りない!」
「「お客様ー!?」」
チノと悠がそう言うと、客は持ってきたキャリーバッグを開けた。中には白い粉が詰まった袋。
「みろ!やっぱり運び屋じゃないか!」
「私が、教えてあげる——本物パンの味を。この小麦粉で!」
「誰だお前!怪しいやつめ!」
「私は——そう、私です!」
客はサングラスとマスクを外し、堂々と名乗るが——
「「本当に誰ー!?」」
チノと悠が叫んだ。
「妹がお世話になっています。姉のモカです」
「お姉さんでしたか」
チノがホッとした様子で言った。
ココアが姉を迎えに飛び出したことと、リゼと里恵が買い出しに出かけたことを伝えると、
「そっか。店で待っててって手紙に書いたのに。相変わらずそそっかしいな〜」
とモカが言った。これにはチノと悠が「うんうん」とうなずく。
「あなた悠くんでしょ? そしてチノちゃんとティッピーね。話は聞いてるよ」
「そうですか」
「こーんな分厚い手紙にたくさん写真を送ってもらったの」
とモカが送られてきた写真を自慢げに取り出す。が——
「あいつろくなの送ってないな」
中身は面白写真ばっかり。
「みんなかわいい——えへへ」
「どこがだよ。って言うか俺男だし!」
悠がつっこむと、モカはチノ——否、ティッピーを撫で始めた。
「チノちゃん、中学生でお仕事なんて偉いね」
「マスターの孫として当然です!」
そして今度はこちらにやってきた。
「悠くんもかわいいね」
「男なんですけど」
男相手だろうが、平気でなでなでしてくる。なんて姉だ。けしからん。
「私から見たらかわいいの!あっ、真っ赤になるのもかわいい」
「悠さんがされるがままに——」
さすがに耐えきれなくなって逃げ出すと、
「まるで怯えるうさぎみたいです」
とチノが言った。モカは目を輝かせて
「うさぎならこっちにもいるようだね」
と言った。チノがティッピーを差し出して
「あ、もふもふしますか?」
と言うが、モカはチノごともふもふし始めた。
「なんてこった——俺も来世はココアの姉になろう」
と柱の陰に隠れてつぶやくと、
「隠れてないで、おいでー!」
「近寄るなあ!」
こっちまで徹底的にもふもふされてしまった。
どの組み合わせがお好きですか?
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠