ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百八話 ココアとゲームセンター

「悠さん、すみませんが今日の夕飯に使うものを買ってきてもらえますか?」

 

「ああ。——ところで、さっきからココアが見当たらないんだけど、どこ行ったか知らない?」

 

「知りません!ココアさんなんか探さなくていいです!」

 

「——さては喧嘩したな?」

 

 

ココアに呆れつつ、街に出かける悠。

 

「——ついでに床屋も探しておかないとな……」

 

そう思いつつ、街を歩いていると、路地の方から微かな泣き声が聞こえる。

泣き声の方へ向かってみると、ココアが段ボールの中に入っていた。

段ボールには『捨て姉』と書かれている。

 

「なんだこれ……」

 

「うぐっ……悠くーん!!」

 

「抱きつくな!どうした?」

 

悠に泣きついてくるココアに困惑しつつ、事情を聞く。

 

 

「実はね——もうお姉ちゃんに疲れたんだ」

 

「——えっ!?」

 

ココアらしくない発言に悠がココアの額に手を当てる。

 

「熱ないよー!」

 

 

ココアが数十分前にあった話を悠にする。

 

『勉強の息抜きにもふもふ……』

 

『今始めたばかりです』

 

『理系でわからないことがあったら——』

 

『今日は国語と社会です』

 

『お姉ちゃんにできることは——』

 

『早く出ていってください!邪魔です!もう話しかけないでください!』

 

 

 

 

「よく今までメンタル保ったな……」

 

「もうお姉ちゃん疲れたー!!」

 

ココアに悠が苦笑いする。

 

「うえーん!!もう私家出する〜!!」

 

泣き出すココアに悠が慌ててなだめる。

 

「泣くな泣くな!仕方ないから俺がココアを拾ってやる!」

 

悠がそう言うと、ココアは顔を上げて「ほんと?」と上目遣いで尋ねてくる。

——勢いで『拾う』と言ってしまったが、断りづらい……。

 

「よーし!今日は二人で思っきり大冒険して遊ぼー!!」

 

急に元気になるココアに「都合のいい奴……」と呆れる悠だった。

 

 

 

「さあ!私についておいでー!」

 

「やれやれ……」

 

ココアに腕を引っ張られるままに街を探検する。

 

「いつも通らない道!——ってあれ、知らないゲームセンターがあるよ!」

 

「ん?チノと遊んでるゲームセンターじゃないな……。あの一店舗しかないって聞いたんだけど……」

 

チノは以前ゲームセンターは一店舗だけと言っていた。チノの勘違いだったのだろうか。

ココアは悠に考える暇も与えない。すぐに腕を引っ張る。

 

「まあいいや!入ってみよー!」

 

「えええ〜!?」

 

怪しさ満点だが、ココアに引っ張られるままに入店。

 

「何これこわ……」

 

内装を見て悠が思わずつぶやく。

——人気のないゲームセンター、薄暗い店内、不気味なうさぎのピエロのぬいぐるみ。

 

「あーっ!メリーゴーランドだー!さあ、馬でお散歩しましょう!」

 

「子供じゃあるまいし、メリーゴーランドで楽しめると思うな……」

 

ココアの後ろに悠が座ると、メリーゴーランドが動き始める。

 

「あははははっ!はやーい!!」

 

「こんなの楽しめるかー!」

 

大笑いするココアに満面の笑みでいう悠。

 

「でも悠くんたのしそーだよー!」

 

 

 

「あっ!これ、穴を目掛けてボールを投げるゲームだってー!」

 

「何これ、レトロすぎない……?」

 

錆び付いたゲーム機。

 

「こんなので盛り上がるかー!」

 

「うおー!!悠くん!負けないよー!!」

 

なんだかんだ言って盛り上がった。

 

 

 

「クレーンゲーム発見!よーし、たまにはお姉ちゃんが取ってあげるよー」

 

「ココアにできんの〜?」

 

「で、できるよー!」

 

ココアがそう言ってクレーンゲームにお金を入れる。

 

「反応遅すぎ!クレーンの力弱すぎ!」

 

「ココア下手くそすぎ!お前のレベルでこれは無理だぞ!」

 

「何をー!面白い!闘いはこれからだよ!」

 

 

 

結局、取れたのはあめ玉3つ。数十分も時間がかかった。

 

「と、取れたあああ!」

 

「あめ玉3つに泣いて喜んでる!?」

 

泣いて喜ぶココアに悠がツッコミを入れる。

 

「じゃあこの袋に入れて持ちかえ——ああああーっ!!?」

 

「どうしたの!?」

 

袋を持って叫ぶ悠にココアが驚く。

 

「チノにお使い頼まれてるんだった!!」

 

「そうなのー!?急いで買って帰らなきゃ怒られちゃう!」

 

慌ててゲームセンターを後にする2人だった。

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