「はぁ……おわった……」
「ごめんね、悠くん……頼りないお姉ちゃんで……」
「またお姉ちゃんモチベが下がった!」
ベンチに体操座りして額を膝に当てるココアに悠がいう。
——要するに、完全に迷子になったというわけだ。
「冒険はまだまだ続くというわけか——。武者震いしてくるな」
悠がそう言って微かに震えると、ココアが
「それ寒さと不安への震えだよね!?」
とツッコミを入れる。
——先ほどから少しずつではあるが雪が降ってきた。
「別に寒いわけじゃないぞ!」
「お姉ちゃんには強がらなくていいんだよー?」
「——そういうココアも震えてるぞ」
「えへへっ……ちょっとかなり寒いかな……」
「どっちだよ。じゃあこれ首に巻いてろ」
「あ、ありがと……!」
ココアの首にマフラーを巻く悠。
「はぁ……なんだか眠くなってきたよ……」
「俺たちの冒険もここまでかな……」
そう言って肩をくっつける2人。
「最期の話し相手がココアか……人生わからないもんだな……」
「私は最期の話し相手が悠くんで嬉しいよ……」
そう言って眠りにつこうとしたとき——。
「携帯使わんかーい!!」
背後から何者かにハリセンで叩かれる。
「千夜!?」
「チノちゃんから2人が帰らないって聞いてね、探してたの」
「悠さん?」
「ひっ!ち、チノ!これには深いわけが!」
背後から恐ろしい気配を感じる。
「最期に言い残すことがあれば——聞きますが?」
「あめ玉攻撃ー!」
悠がそう言って先ほどゲームセンターでの戦利品をチノの口に突っ込む。
「もう——お使いサボってココアさんとデートして——あめ玉で許してもらえると思ったんですか?」
そう言いつつ、美味しそうに飴をもぐもぐさせるチノにココアが
「でもおいしそう!」
とツッコミを入れる。
「ごめんね、チノちゃん。お勉強の邪魔して——」
「私の方こそ、強く言い過ぎてしまいました」
「チノちゃんの受験が終わるまで私、部屋に引きこもるからー!!」
「えーっ!?」
極端なココアの発言にチノが叫ぶ。
「——で、でも、完全に一人になりたいわけではなく……数学の時とかは頼りますから」
チノの言葉にココアの顔がパッと明るくなる。
「えへへ、でも悠くんとゲームセンターで遊ぶのに忙しくなっちゃうかもな〜」
「えっ……ココアさん、やっぱり部屋に引きこもっててください」
「冗談だよー!」
「悠くん」
買い物をしにスーパーへ向かう悠に、千夜が話しかける。
「千夜か。いろいろありがと……」
「ふふっ。いいのよ。——それより、ココアちゃんとデートしてたの?」
「ココアの冗談だぞ」
「あまり浮気してると、チノちゃんが安心して受験できないわよ」
「浮気!?」
そう言って微笑む千夜に悠が驚く。
後日、勉強の息抜きをしたいというチノを、学校帰りに例のゲームセンターに連れて行くことになった。
「この辺にあったんだよねー!」
「そうそう」
「いつの間にできたんでしょう——」
ココアと悠が前の場所まで案内するが——廃屋しかなかった。
「——ゲームセンターってどれですか?」
困惑するチノに、近くをうろうろと探し回るココア。
「あれー!?」
「まさか——」
「「幻のゲームセンター!?」」
見事にハモるココアと悠に呆れるチノ。
「もしかして、あれは異世界!?」
「よーし!今日は2人で幻のゲームセンターの謎を解きに行くよー!」
「おー!」
意気投合するココアと悠に、チノがココアの裾を引っ張る。
「今日数学やります」
「そうなの!?なら勉強はお姉ちゃんに任せなさい!」
「また嫉妬しちゃって……」
慌ててココアを止めるチノに悠が微笑む。