ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

214 / 249
第二百十一話 ときめきポポロン

ティッピーパーカー、あんこパーカー、ワイルドギースパーカーの3種類あるポポロンパーカー。

全てココアたちの手作り。信じられないクオリティーだ。

 

「ふふっ。喫茶店お宣伝CMも作れて一石二鳥ね!」

 

千夜がそう楽しそうに笑いながらカメラを構える。

ポポロンパーカーを羽織ったチマメ隊が橋の上で踊る——これは神動画になるに違いない。

 

その後ろからシャロがやってきて——。

 

「いいダンス。でも何かが足りないわね——そう!恥を捨てきれてないのよ!」

 

「シャロ!?」

 

「「「いきなり出てきてなに言ってるのー!?」」」

 

突如シャロから発せられたアドバイスに悠とチマメ隊が驚く。

 

「シャロも今帰りか」

 

「まあね。——そのパーカーだけだと寒くてやる気が出ないんじゃない?」

 

「——確かに」

 

シャロの言葉に悠が納得する。

 

「チマメちゃん、これでも飲んでテンション上げて!そこの屋台で買ってきたわ!」

 

「ホットワイン!?酔って恥を捨てろと!?」

 

チノが驚く。

そして3人とも、一気に飲み干すと、わずかに顔を赤くして

 

「よっしゃー!気合入れていくぞー!」

 

と喝を入れ直す。

 

「——中身グレープジュースなんだけど……」

 

心なしか酔っているように見えるチマメ隊にシャロが困惑する。

 

 

「さぁっ!私たちが恥を捨てている間に!」

 

マヤが撮影を催促してくる。

 

「いいのが撮れる気がします!」

 

チノもやる気満々だ。

 

「3人ともすごくいい表情ね」

 

そう言ってカメラに映るチマメ隊を見るシャロに、ココアが

 

「いつの間にシャロちゃんがカメラ持ってるの?」

 

と目を点にする。

 

「なんだが感慨深いな〜」

 

悠がつぶやくその後ろで、聞き覚えのある声がした。

 

「しかし何かが足りない。——そう!キレだ!」

 

「おぉ、リゼ!」

 

「「「これ以上ギャラリー増えないで!」」」

 

リゼの登場にチマメ隊が悲鳴を上げる。

 

 

「よしカットー!」

 

「一旦休憩ね〜」

 

悠と千夜がそういうと、チマメ隊が一気に倒れる。

 

「私たち、なんでこんなに頑張ってるんでしたっけ……?」

 

目的を見失うチノに、先ほどまでの映像を確認していたココアが意外そうにいう。

 

「チノちゃんって、マヤちゃんとメグちゃんの前では色んな表情するんだね……」

 

少し寂しげなココアにチノが

 

「ココアさんにしか見せない顔もありますよ」

 

というと、ココアが「えっ!?」と顔を見上げる。

 

「ほら」

 

そう言って嘲笑を見せるチノに、ココアは

 

「それは嘲笑でしょー!」

 

とツッコミを入れる。——相変わらずの2人だ。

ガクッと落ち込むココアに、チノが振り向いていう。

 

 

「さぁ立ってください。監督——いえ、お姉ちゃんなら、私たちが頑張ってるとこ、しっかり撮ってくださいね!」

 

チノの言葉にココアが泣き出しそうになる。

 

「『お姉ちゃん』がそんなに嬉しいのか……」

 

悠が呆れたようにそういうと、ココアは少し笑って

 

「それもあるけど——あの3人が同じクラスで本当によかったなぁ〜って!」

 

「そうか——よし!じゃあ撮るぞー!3・2・1・GO!」

 

 

 

 

あれから3日後。

 

「そして、本日。チマメ隊の絆と友情がつまった記念すべきPV第一作目が完成しました」

 

「「「「おー!」」」」

 

ラビットハウスにて、撮影日の夜から、ココアと千夜と悠の3人で必死に編集作業に取り掛かり、ついに完成したPVを発表する時がきた。

リゼやシャロ、そして青山ブルーマウンテンやティッピーまでPVを見にきていた。

 

 

音楽に合わせて華麗に踊るチマメ隊に、

 

「上官として誇らしいぞ……」

 

「仲良いのが伝わってきて、ほっこりするわね!」

 

「素晴らしいインスピレーションを感じます!」

 

「チノも随分変わったのぅ……」

 

泣き出すリゼと、微笑ましく見守るシャロ、そして筆を手に取る青山ブルーマウンテンと、孫の成長に困惑しつつ、それを嬉しそうに見守るティッピー。

 

 

「やああっ!!みないでください!この時はどうかしてたんです!」

 

チノが必死にプロジェクターの画面を隠した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。