ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百十七話 合格発表

「ちょっと、ポスト見てきます」

 

——高校の合格通知は郵便で届けられるそうだ。

試験日が終わった後、チノはポストの中が気になって仕方ないらしい。

1時間——否、30分に一度はポストの様子を確認すると言って外へ出る。

その光景を見て、ココアが笑う。

 

「チノちゃんったら、合格発表の予定日はまだでしょ!」

 

「——まぁ、結果は心配してませんけどね。配達ミスがあったら大変ですから」

 

チノはココアから視線をそらして言う。そして、ココアに背を向けるとまた外へ足を進める。

 

「念のため、もう一度見てきます」

 

「さっき見たばっかでしょ!?」

 

ココアがチノを止めようとするが、悠が押さえる。

 

「まあまあ……しょうがないさ。気が済むまで何度でも確認すりゃいい。減るもんじゃないし」

 

「チノちゃん……」

 

 

 

その後、マヤとメグがラビットハウスへやってきた。

 

「試験は全力出せた!結構手応えあるよ!」

 

と言うマヤ。メグもそれにうなずく。

自信満々だ。

 

「よし、なら3人とも合格確実だな!」

 

リゼがそう言うと、チマメ隊は声を揃えて

 

「「「バッチリ〜!(です)」」」

 

と親指を立てる。

そんな話をしていると、あっという間に時間が過ぎていき——。

 

「じゃ!今日はこの辺で!」

 

「美味しかったよ〜ありがと!」

 

マヤとメグがラビットハウスを出て行った。

 

 

「私たちの教え方が良かったんだな……!」

 

「チマメ隊はできる子たちだもの!」

 

「自分の生徒が巣立つみたいな気分ね」

 

「感動的〜!」

 

朝から来ていた高校生組——リゼ、千夜、シャロ、ココアは誇らしげに言う。

 

「だいぶ気が早いようだが——」

 

悠がそう言うと、チノもそれにうなずく。

 

「そうですね——。ちょっとだけポスト見てきます」

 

チノはそう言うと、また外へ出て行った。

 

 

 

 

マヤとメグ——あれは確かに自信満々ではあったが、心は誤魔化しきていない。

自信満々と言いつつも、どこか自信がなさそうな雰囲気だった。

——否、自信がないというより、「手応えあったよ!」と一生懸命に自分を言い聞かせていたように見える。

 

あの2人は、言い出しづらいのだろう。

リゼたちをはじめ、高校生組はチマメ隊の受験勉強に多大な時間をかけて付き合っていた。

——あれだけ勉強に付き合ってくれたのに「自信ない」なんて言えないだろう。

 

リゼたちの対応も甘い。表面的な2人の言葉を聞いて「なら合格確実だな!」とフラグを建設してしまった罪は大きい。

フラグ回収とならなかったとしてもチマメ隊に対して余計なプレッシャーを与えてしまっている。

 

——チノに見せてもらったこの間の新聞には、受験の倍率が記載されていた。

新聞を読まないココアは知る由もないだろうが——。

今年の受験は難しかった上に、お嬢様高校は倍率高いらしい。

 

 

 

 

その数日後、ついにチノ宛の手紙が届いた。

 

「チノちゃぁぁぁん!!!結果が届いたよー!!」

 

朝早くに、ココアの叫び声で起こされる。

 

「なんでココアさんが先に受け取っているんですか!?」

 

ココアに対するチノの怒鳴り声も聞こえる。

悠は慌てて支度を済ませ、ダイニングへ向かう。

 

「結果、届いたのか!?」

 

「悠さん!はい、今朝ポストに入っていたようです!」

 

チノが緊張した様子で答える。

 

「こういうのは先にチノちゃんが一人で見ないとね!」

 

「ああ、そうだぞ!俺たちは目隠しして待ってるから!」

 

そういうココアと悠に

 

「——ラブレターじゃないんですから」

 

とツッコミを入れると、チノは部屋に入って慎重に開封する。

 

 

 

「なーんてね。こっそり覗いちゃおう。笑顔をいち早く見たいもんね〜」

 

「やれやれ……」

 

そう言ってココアと悠はチノの部屋の扉から顔を覗かせる。

 

 

しかし——部屋にいたチノは、手紙を持ったまま下を向いていた。

 

「え……嘘だろ……」

 

「チノちゃん……?」

 

「悠さん……ココアさん……」

 

チノがこちらに振り向く。目には涙が溜まっていた。




次回は3月1日に投稿します!
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