その後、ラビットハウスでのバイトが終わって、出稼ぎに行ったココアたちを探すことに。
「長期滞在——」
「チノ、ホームシックが怖いのはわかるが——」
「ち、違いますよ。いきなり難易度が高いと思っただけで——」
「まあまあ、そう心配すんなよ」
「むぅ……」
まともに話を聞かない悠にチノは頬を膨らませる。
「ココアたちは甘兎庵か、フルールでバイトかのぅ」
ティッピーが喋る。
「そうですね……。ちょっと寄ってみますか」
「ああ」
まずは甘兎庵へ——と足を進めるが、道端から派手な演奏が聞こえたため、一時停止。
「ん?」
「なんの音でしょう……?」
悠とチノが音の方へ振り向くと、ココアがアコーディオンを演奏し、千夜やシャロが手品などのパフォーマンスを披露していた。
「「ストリートパフォーマンス!?」」
思わずハモる。
「こんな人気のないところで……」
チノが呆れる。——ごもっともだ。もっと大きい通りでやるべきなのではないだろうか?
「おひねりもらえないね〜」
シーンとした空間にココアの虚しい一言が響く。
「これじゃあ旅費が貯まらないよ……」
「もー!稼げるっていうから手伝ったのに!」
「諦めちゃダメよ!」
ココアやシャロが不満を露わにすると、千夜がそれを励ます。
「どうみても場所が悪いだろ。表のでかい通りで演奏しろ」
「悠くん!にチノちゃん!?」
悠の言葉に一同が振り向く。
「私もそう思ってたー」
ココアが棒読み口調でそういうと、シャロや千夜が「私も私も」と便乗する。
「——さては技で頭一杯でしたね?」
チノの鋭い一言に硬直した。
「大通りを見て来たけど、有名パフォーマーばかりで埋れちゃいそうだったわ」
千夜が偵察に行って来た感想を言う。
「やっぱりここしかないかな〜……」
ココアが諦めかせたその時、悠はいいことを思いつく。
「そうだ!チノ!ココアの演奏にあわせて歌おう!絶対人が集まるぞ!」
「——はぁ!?」
悠の唐突な一言にチノが驚く。
「よし、私がアコーディオンで伴奏するよ!せーのっ!」
ココアが掛け声をかけるが、チノの姿はなくなっていた。
にもかかわらず演奏を始めるココアに
「チノいないし……ココアは気がついてないし……」
悠はジト目でツッコミを入れる。
演奏を初めて数分。急に人が増え始めた。
「急に人通りが増えたな」
「休憩してる場合じゃないわ!」
悠の一言に千夜が立ち上がる。
「甘兎庵をよろしくお願いします!」
そう言ってパフォーマンスを繰り広げる千夜。
「さりげなく宣伝してるし……」
「これが怪盗ラパンで培ったカード捌き!」
千夜に便乗してシャロもパフォーマンスを始める。
「す、すごい……!」
「よーし!私も!渾身のマジックを見せるよー!」
そう言ってココアも手品を披露する。——前に見せてもらった時より上手になっている。
「——なんで急に人が増えたんだろう」
悠が不思議そうに表の通りで出ると——。
「向こうで面白いことやってるよー」
「チノは顔を隠せば堂々とできるのぅ……」
チノ——っぽい声とティッピーの声が聞こえる。だいたい察した。
「こんなところでどうしたんだ?」
「リゼ!実はココアたちがこの裏の通りでストリートパフォーマンスしてて——って、リゼは何してたんだ?」
リゼと遭遇する。
「あぁ、私はブロカントで手作りのぬいぐるみを改良して量産して売り捌いていたんだ」
「今日だけでこれぐらい稼げたぞ!」
リゼはそう言って貯金箱の中身を見せると、一同の目の色が変わる。
「私もやるー!」
「作り方教えて!」
「私も手伝います!」
リゼに飛びつくココアや千夜、シャロを見て、思わず悠とチノが
「初めからそうしろよ!」
「最初からそうしてください!」
とツッコミを入れる。