ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百二十一話 卒業式

「がんどうじだぁ〜!!!」

 

「——なんで悠さんが卒業式に来てるんですか」

 

泣き喚く悠にチノがツッコミを入れる。

 

「それがさ〜、ティッピーがどうしてもってうるさくてね」

 

「なんじゃと!?お主も行きたがってたじゃろ!」

 

ティッピーが悠の頭の上で跳ねる。

 

「べ、別に俺は興味なかったぞ」

 

「——興味、ないんですか……」

 

チノが暗い顔になるのをみて、悠は慌てて前言撤回する。

 

「嘘嘘!興味ある!めちゃくちゃ興味あった!」

 

「やれやれです……」

 

 

「しかし、マヤもメグも受かってよかったな」

 

卒業式でマヤとメグに会った悠は、早速声を掛ける。

 

「ほんとだよ〜!」

 

「苦労したかいがあったね〜」

 

2人とも安心した表情だ。——しかし、その顔にはどこか寂しさもうつっている。

そして、マヤが真剣な表情で口を開く。

 

「さて——」

 

「「「——?」」」

 

一同が雰囲気が変わってことに首を傾げる。

 

「チマメ隊、解散!」

 

「「えぇ〜!!?」」

 

マヤの言葉にチノとメグが叫ぶ。

 

「おいおい……」

 

悠もこれには驚きだ。しかし、チノとメグは黙っているわけにもいかず——「発言を撤回しろ」と言いたそうな、恐ろしいオーラを纏う。

それを感じたとったのか、先ほどの悠のように、マヤは「嘘嘘!」と手を横に振る。

 

「悪い冗談だよ」

 

メグの冷たい一言にマヤはため息をついて笑う。

 

「みんな感傷モードだから、2人にも泣いて欲しかっただけだよ!」

 

「——逆効果です」

 

「——チマメ隊は永遠……!この絆は誰にも避けないんだから……!」

 

メグが目を輝かせてそういうと、チノがうなずく。

 

 

 

チマメ隊と別れた後、ティッピーとラビットハウスへ向かっていると、何やら道端が騒がしい。

 

「3年生の卒業式よがっだねぇー!!」

 

「そして私たちにはまたクラス替えがやってくる!!!」

 

——この騒がしいのはココアと千夜だな。

 

「千夜ちゃん!クラスが離れても心は一緒だよ!」

 

「ココアちゃん!離れても絆を見せつけてやりましょうね!」

 

「千夜ちゃん——!」

 

「ココアちゃん——!」

 

「——もう、ほっとこ」

 

ある意味いつも通りな2人を放置してラビットハウスに足を進める。

その後ろで、

 

「あの輝かしい文化祭を!数々の思い出を!私たちは絶対に忘れない!」

 

と余計に騒がしくなる。——さてはクラスメートたちが集合したな。

 

「やれやれじゃ……」

 

「だな」

 

ティッピーも悠も呆れた。

 

 

 

 

ラビットハウスに到着後、すぐに支度を済ませてカウンターに立つ。

 

「ここは今日も平和だな……」

 

「隠れ家的な、静かでいい店じゃ」

 

「自分で言うなよ」

 

ティッピーの言葉に悠がツッコミを入れる。

——その数秒後、ドタドタと振動でラビットハウスが揺れる。

 

「なんだ、なんだ」

 

悠が困惑していると、店の扉が「バタン!」と大きく音を立てて開く。

 

「助けてくれぇ〜!!!」

 

「リゼ!?」

 

駆け込んできたのはリゼだ。

卒業式の帰りとは思えないほど、リゼの姿はボロボロだ。

荒れた髪の毛、グシャグシャな制服。制服のボタンが全て外され、糸くずが見えている。

 

——だいたい察しがついた。

 

「シャロを見なかったか!?」

 

「シャロか……?いや、見てないな。フルールでバイトしてるんじゃないか?」

 

「そうか……!シャロのために取っておいた第二ボタン——なんとしてでも届けるぞ!」

 

「命かけてすることか!?」

 

リゼの言葉にまた呆れる悠だった。

 

 

その後、バイトのためにラビットハウスへ戻ってきたリゼは、より一層ボロボロになっていた。

 

「ふぅ……。まさか卒業式がこんなに疲れる行事だとはな」

 

「それはお前だけだろ」

 

リゼの言葉に悠がツッコミを入れる。

 

「————」

 

チノはその様子をチラチラと見ながらコーヒーカップを磨いていた。

 

「んじゃ、また倉庫でサボり——掃除するとしますか」

 

「おい、今サボりって言いかけたよな!?」

 

「気のせい気のせい〜」

 

リゼの言葉を背中で受けながら、悠は倉庫に入って行った。

 

 

しばらくして、チノが様子を見てくると悠の後を追い、倉庫にやってきた。

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

 

「私の第二ボタン、もらってください」

 

「なん……だと……」

 

 

 

倉庫から物音が激しいため、リゼが様子を見にいくと、悠がトンカチ片手に何かを作っていた。

 

「悠!?どうした!?」

 

「え?あぁ、この第二ボタンを祀ろうと思って、祭壇をね」

 

「やめてください」

 

「やれやれ……」

 

大袈裟な悠とそれを止めようとするチノに呆れるリゼだった。

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