ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百二十五話 髪の毛のお手入れは慎重に

ココアがチノの髪の毛をお手入れしている間、悠はピコピコハンマーを片手にうとうとしていた。

 

 

「お客様、もうすぐ高校生ですが、意気込みはどうですか?」

 

「そうですね……。やっぱり、マヤさんやメグさんと同じ学校にするべきだったでしょうか」

 

チノがココアにそう告げると、ココアが硬直し、『ザックッ!』と何かが一気に切れ落ちた音がする。

 

「——わあああああっ!?」

 

「なんだ!?」

 

ココアの叫び声でうとうとしていた悠の意識が元に戻る。

 

「————」

 

チノは鏡に映る自分を眺めながら目を点にしていた。

ココアは、悠の元へ足を進め、頭をこちらに向けてくる。

 

「ピコピコハンマーで頭を殴れと!?」

 

「——今言うべき冗談じゃありませんでした……」

 

 

 

その後、ココアは自分で椅子に座り、チノに叫ぶ。

 

「お詫びに私も断髪して!!」

 

「伸ばすんじゃないんですか」

 

「——やっぱり、私は私で、髪を伸ばしてもお姉ちゃんになれるわけじゃないよね」

 

ココアは苦笑いしながらハサミを持つチノに伝える。

 

「——でも私、いつもの髪型も好きですよ」

 

「今なんて!?」

 

「動かないでください」

 

 

 

「——で、結局この有様と」

 

「えへへ」

 

チノとお揃いの前髪になったココアに悠がジト目になる。

 

 

 

 

 

 

「すまない、付き合ってもらっちゃって」

 

「それはかまわんが——リゼも旅行前に髪いじるのか」

 

「まあな。旅行もあるけど——ほら、私もうすぐ大学生だろ?これを機にイメチェンしたくて」

 

翌日、リゼに誘われて街へ。

 

「リゼと2人きりでデートって何気に久しぶりだな……。なんか照れるな」

 

「変な言い方するなー!——お前、そんなふうにしてると、いつかチノに襲われるぞ」

 

「チノに襲われる?——リゼの方こそ変な言い方するなよ!」

 

顔を赤くする悠にリゼが「えっ?」としばらく考えた後、自分の発言を振り返って叫ぶ。

 

「べ、別にそう言う意味で言ったわけじゃないぞ!!?」

 

「本当かよ、変態め」

 

「変態はどっちだ!」

 

 

 

 

「あっ、リゼはなんだかんだで、こういうヘアアクセとかしてそうだな」

 

悠がリゼに見せたのは、花弁のヘアアクセ。——一見、ココアが好きそうな部類だが、リゼもなんだかんだこういうものに手を出してそうなイメージがある。

 

「あー……私はこう言うの似合わないよ。前に試したんだが、おかしくて自分で笑っちゃったよ」

 

苦笑いするリゼに悠は「そうか?」と首を傾げる。

 

「むしろ——」

 

リゼが意味深にこちらを見つめてくる。

 

「悠、ちょっとお前もイメチェンしよう」

 

「俺も?俺は別に——」

 

「いいからいいから——」

 

そう言ってリゼが半ば強引に悠を連れ込む。

 

 

 

「最高に不愉快なんだけど——」

 

鏡に映る自分を見て悠は思わずジト目になる。

 

「なんでお前は似合うんだよぉ……」

 

「泣き出した!?」

 

「これ、俺がさっきリゼに勧めたアクセじゃないか!?」

 

「お前になら似合うと思ってな」

 

「うわすげぇ複雑な気分なんだけど!?」

 

 

 

 

 

「リゼにはこれかなー」

 

今度はクローバーのヘアアクセをリゼにみせる。

 

「うーん、こう言うのは、自分じゃよくわからないな……」

 

困惑するリゼ。

 

「悠もこれならどうだ?」

 

「おい、お前は俺を女装させる気じゃないだろうな?」

 

「違うって。さっきの色違いさ。黒なら違和感ないだろ?ぶっちゃけさっきのも違和感ないけど……

 

「ん?」

 

最後の方が聞き取れなかったので聞き返すと、リゼが慌てて

 

「な、なんでもないぞ!」

 

悠が先ほど見せたクローバーのヘアアクセの色違いだ。

 

「黒か……。まあこれなら」

 

「私は紫を買うよ」

 

「——待て、俺とお揃いになるけどいいのか?」

 

「私はかまわないが——チノがかまいそうだ」

 

「確かに——。まあ、チノのヘアピンも併用すればチャラにできそうだし、問題ないだろ」

 

「なんだそのシステム!?」

 

悠のよくわからない発言にリゼがツッコミを入れた。

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