ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百二十六話 甘兎庵・忍者フェア

「ていっ!」

 

「やあっ!」

 

「——腕をあげたな。そろそろ50%の力を出そうかな?」

 

「望むところよ!私もまだ30%の力しか出してないの」

 

 

——甘兎庵へ再度訪れたチノと悠だったが、店内に入って唖然とする。

 

ココアと千夜がチャンバラしているのだ。ココアも千夜も忍者のような格好をしている。

 

「あの……」

 

チノが困惑気味に声をかけると、千夜はこちらに気がついたようで

 

「あっ、いらっしゃいませ〜!」

 

と案内する。

 

 

「喫茶店で店員がチャンバラしてます」

 

「まるで小学校の掃除の時間みたいだな。ホウキでよくチャンバラしたもんだ」

 

「ちゃんと掃除してください」

 

 

千夜に聞いた話だと、甘兎庵は旅行の出発日まで忍者フェアを開催しているらしい。

 

「そう。時代劇に影響されて、自作してみたの——でござる!」

 

「「————」」

 

「みんなに甘兎忍法を魅せてあげるわ!」

 

「度肝抜いちゃうよー!!」

 

そう言って構える千夜とココアに悠が

 

「——ここ、喫茶店だろ」

 

とツッコミを入れる。

 

 

「注文お願いします」

 

悠が千夜を呼ぶ。

 

「やっぱり、忍者のような接客になるのでしょうか……」

 

「はーい。ご注文は?」

 

「普通に戻った!?」

 

接客はいつも通りの千夜に驚く悠とチノだった。

 

 

 

「やっぱり、いつもとは違う自分になりきるって難しいわね」

 

「リゼちゃんがシャロちゃんはすごいね〜」

 

千夜とココアが会話しているのを聞いて、チノがいう。

 

「でも、よく物真似とかしてたじゃないですか」

 

「そうなの!?」

 

悠が驚くと、

 

「あれは身内の前だから……」

 

そう言って恥ずかしがる千夜。

 

「その格好で宣伝しに行ったら、人目を引けそうだぞ」

 

「さすがにこのまま外に出るのは勇気が……。——私が本領発揮できるのは、甘兎ゾーンだけなの!」

 

「せっかく店も服装もアレンジされてるのに、もったいなくないか?」

 

「悠くん……」

 

「ここの楽しさが広まらないのはもったいないぞ!——だから、自信持ってチラシを配ってみるんだ」

 

「悠くん……いえ殿!御意!!——城はお婆ちゃんに任せたわ!いざ出陣ー!」

 

悠の言葉に影響された千夜がものすごい勢いで店を飛び出す。

 

「忍者なのに忍んでないです」

 

チノのごもっともな発言に悠が苦笑いする。

 

 

 

 

甘兎庵の帰り道にチラシ配りに出かけて行った千夜と再会した。

 

「あら、2人とも。さっきぶりね」

 

「千夜……?」

 

「千夜さん!?」

 

振り向く千夜の顔を見て悠とチノの顔から血の気が引く。

 

「なんだその仮面は!?」

 

「恥ずかしくないように、照れ隠しできるアイテムを用意したの!これでもう恥ずかしくないわ!」

 

「「怪しすぎるー!!」」

 

怪しさ満点の奇妙なお面にチノと悠が悲鳴を上げる。

 

 

 

千夜と別れた後、「ドドドド」と激しい振動を感じて足を止める。

 

「なんだ?地震——ではないよな」

 

「何かすごい勢いで迫ってきてますね」

 

2人が喋っている間に、隣をものすごい速度で何かが通過する。

——一瞬顔が見えた。

 

「シャロじゃないか?怪盗ラパンの格好して——どうしたんだろう」

 

「あ、あれ見てください!すごいことになってます!」

 

チノが指差す先を見ると、リゼを先頭に大勢の街の子供たちがシャロを追いかけている。

 

「さあ!私に続けー!!」

 

「特攻の練習でしょうか……」

 

「おい、こっちに向かってくるぞ!ぶつかったら危ない。俺たちも逃げよう!」

 

悠に腕を引っ張られてチノは「えっ!?」と驚く。

 

「で、でもさっき食べてからまだ時間が——横腹が痛くなってしまいます」

 

「じゃあおんぶする。早く乗れ!」

 

「う、うぅ……やっぱり走ります!」

 

「よしいくぞ!」

 

笑顔で迫ってくるリゼから逃げるチノと悠だった。

 

 

 

その後、疲れ果てたシャロを『大泥棒イナバ』が助け、リゼと直接対決したそうだ。

 

「『大泥棒イナバ』の噂を聞きましたか?」

 

「あぁ、疲れたラパンを助けるために、公園でリゼを足止めして伝説になったという——」

 

「新作で、新キャラ登場するんでしょうか?」

 

チノと悠の会話を聞いて、ラビットハウスの店員になっていた青山が「ふふっ」と笑う。

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