「本当に大丈夫なんですか?」
チノがココアに不安を告げる。
「だ、大丈夫だと思うよ!」
「断言はしないんだな……。今日からしばらくここで過ごすって冗談きついぞ」
ココアの言葉に、さらに不安を感じるチノと悠だった。
「どう見てもホラーハウスです」
「リゼたちは大丈夫なのか?」
扉をゆっくり開くと、メイドのような格好をしたリゼたちが「おかえりなさい」と出迎えてくれる。
「「何事ー!!?」」
チノと悠は一同の姿にハモる。
「もう……2人を探すんだっていきなり飛び出したから心配したのよ」
「シャロちゃん——心配してたのね」
「千夜ー!」
シャロのツンデレに頬が緩んでしまう。
ホテルの中は薄暗いが、内装はとても豪華だ。だがホコリが溜まっている場所もあり、リゼたちがホウキで掃除をしていた。
「なんで働いてるんだ?」
悠がリゼに尋ねると、リゼは「ああ——」と前置きしてから説明を始める。
「それがさ、このホテルいろいろ問題があって——」
「問題……?」
リゼの意味深な言葉に悠が震える。——何があったんだ。
「それに、チノたちを待っている間、掃除でもして少しはインパクトを抑えないと——」
「お、おう……」
「最初はどんな状態だったんですか!?」
リゼの言葉にチノがツッコミを入れる。
——しばらくして、奥から支配人と思われる人が出てきた。
「お待ちしておりました。そちらのお客様は夫婦ですね」
「そうです」
支配人のボケ(?)に便乗する悠と、
「姉妹です!」
と主張するココアに、チノが頭を抱える。
「どっちも違うんですけど……」
「では、お部屋にご案内いたします」
「え、でもお掃除は——」
チノがリゼたちの方を心配するが、リゼはこちらに気を使ってくれたのか
「こっちは大丈夫だ。チノたちは少し部屋で休んでおけ」
と告げた。
支配人の後ろをついていくチノと悠。
「こちらになります」
支配人が部屋の扉をあけて2人を招き入れるが——。
「えっと——1部屋ですか?」
悠が尋ねると、支配人は首を縦に振って
「——3部屋のご予約と聞いていますが」
「「えぇー!?」」
またチノと悠がハモる。
3部屋しかないということは、2人で1部屋を使うことになる。
「お、俺はいいけど、チノはいいのか……?」
「し、仕方ないですね。3部屋しかないんですから」
心なしか、チノが少し安心しているような顔をしている。
「そうだな。2人部屋の方がいいかも。このホラーなホテルでチノを1人にしておくわけには——」
「ココアさんと寝ます」
「そんな!?」
悠が軽口を叩こうとするが、チノに遮られる。
「あぁ、すまない」
一階にあるロビーからリゼがやってくる。
「部屋割りを決めたんだが、ココアと千夜、私とシャロ、そしてチノと悠だ」
「ここでチノと俺が同じ部屋になって大丈夫なのか?」
悠がツッコミを入れろとリゼに言うが、リゼの代わりに支配人が答える。
「お2人は夫婦で姉妹なのでしょう?問題はないかと」
「問題しかないんだが!?どこからツッコミを入れればいいのか……」
支配人の言葉に悠が叫ぶ。
リゼはその様子を見て苦笑いすると、
「もし、あれだったら私とチノ入れ替わろうか?ほら、私だったら何かあった時すぐに悠を武力制圧できるだろう?」
「武力制圧!?」
穏やかではないリゼの言葉に悠が驚くが、チノは冷静に
「大丈夫です。慣れてますから」
「そうか——ん!?」
さらっと問題発言するチノに今度はリゼが驚く。
「さ、悠さん、荷物置きますよ」
「お、おい、チノ——?」
廊下にリゼを置いて部屋に入るチノと悠だった。