「こんな姿を見られるなんて——!しかも悠!なんであんたがいるのよー!」
「リゼに連れ込まれたんだよ」
「なっ!」
悠の意味深な言い方にシャロが硬直する。
「誤解を生む言い方をするな!廊下ですれ違ったから一緒に起こすことにしたんだ」
「そ、そうでしたか……。でも、まだ朝5時ですよ」
シャロが首を傾げる。
「リゼ、今日が楽しみで早く起きすぎたんだろ」
「先輩、寂しがり屋なんですね」
「う、うるさい!」
笑う悠と微笑むシャロにリゼが枕に顔を埋める。
「さあ、まずは朝の体操だ!」
ロビーに出た3人はラジオ体操を流しながら体を動かす。
「リゼ、なんで支配人にマスターキー借りたんだ?」
マスターキーを持つリゼに悠が尋ねると、リゼは
「みんなを起こしに行くんだ!」
「それはいいですね!大賛成です〜!」
「シャロ、気が合うな!」
リゼが嬉しそうにいうと、シャロはニヤリと笑みを浮かべて
「みんなの寝相を見て、私のだらしない姿を忘れてもらいます」
「それは無理かも……」
リゼが苦笑いした。——確かにあれはインパクトの強い光景だった。
まずは——チノ。
「まだ起こしてなかったのか」
「まあね。チノにはゆっくり寝てほしいからな」
「保護者か!」
悠の言葉にリゼがツッコミを入れる。
「朝だぞ!起きろ!起床ー!!」
リゼが勢いよく扉を開いて叫ぶ。
だがチノは起きない。
「天使の寝顔!」
「お、起こすのに躊躇いが——!」
「そうだろ、そうだろ!」
起こすのを躊躇うシャロとリゼに悠が同意を求める。
「ふっ。寝顔を撮って後でからかってやろう——!」
リゼがそう言ってカメラを構える。
「その写真いくら?」
「買おうとするなー!」
財布を取り出す悠にシャロがツッコミを入れる。
「ココアさん、しつこいですよ」
チノが寝ぼけてリゼにCQCをかける。
「リゼー!?」
技を固められたリゼだが、すぐに
「寝ぼけるなー!」
と反撃してしまう。
「私と同じで旅の疲れが出ちゃったのね〜」
シャロが微笑みを浮かべながら布団をチノにかけてやろうとするが——。
「シャロ、危ない!」
腕を振り上げたチノを見てリゼが叫ぶ。
「ティッピーが2匹……」
シャロとぬいぐるみのティッピーを抱きしめるチノ。
「ここはもふもふ天国ですか……!?」
「あー!ずるいぞシャロ!」
「私の時は地獄だったのに……」
シャロを羨む悠とツッコミを入れるリゼ。
「チノはまだ寝かせておこう。昨日俺の失態で疲れただろうし」
「そうだな。最後にまたこよう」
——次のターゲットは、ココアと千夜だ。
「気合が入りますねー!」
腕を振り回して力を入れるシャロに悠が「どうして?」と尋ねる。
「千夜にはいつもいじられてるから、だらしない寝相を見てやるのよ!」
そう言って扉を開けるシャロ。
「千夜——逆さで寝てる」
布団どころか枕も使っておらず、逆さで寝ている千夜。
その光景を見てシャロがクスクスと笑う。
「シャロひゃん……」
「ん?」
千夜が寝言でシャロの名前を呼ぶ。
「らぁいすき……!」
大好きだと告白する千夜にシャロの顔が真っ赤になる。
「恥ずかしい寝言言ってんじゃないわよ!」
怒りつつもどこか嬉しそうだ。
「ところで——ココアはどこだ?」
リゼが辺りを見渡すが、ココアの姿がない。
「まさか——ホームシックで——!」
「そんなバカな!?」
シャロの言葉にリゼがツッコミを入れる。
「まさか、またどこか閉じ込められたんじゃ——」
「どこを探してもいないな……?」
悠がベッドをぐるりと回るが、見当たらない。
「ひっ!ベッドの隙間から手が——!!」
リゼの悲鳴を聞いて駆けつけると、ベッドの隙間には幽霊——ではない。
手をゆっくりと引っ張り上げると、以前チノからプレゼントされたうさぎのぬいぐるみを抱き抱え、よだれをたらしながらグッスリと眠るココアが出てきた。
「「「いたー!!!」」」
思わず3人がハモってしまう。
「ベッドの隙間に落ちていたとはな——」
「間違いなく寝相チャンピョンだわ!」
リゼとシャロが未だ夢の中にいるココアにそう言った。