「みんな、今日の準備はバッチリかな?」
朝、ココアがパンをくわえながら一同に尋ねる。
今日は二手に分かれて行動することになっている。
まず、チノ・シャロ・千夜の3人は街で開催されるというコンサートへ。
そして、ココア・リゼ・悠の3人はサイクリングだ。
「まずはレンタル自転車で街を偵察だ!」
「リゼに同じく〜」
「私たちはコンサートよ。まずはきれいなドレスに着替えなきゃ」
シャロの発言にチノが
「ドレスコードがあるんでしたよね」
と付け加える。
「ドレスコート?なんでドレスにコート着るの?」
「ココアー!!」
雰囲気台無しなココアの発言にシャロが怒鳴る。
「えっ!?ドレスコードあるの!?」
「今気がついた!?」
千夜が驚く様子を見て思わずリゼがツッコミを入れてしまう。
「そんな……私……」
落ち込む千夜にシャロが「大丈夫!」と肩に掌を置く。
「ハプニング対策にもう一着持ってきてるわ!」
「シャロちゃん……!」
そしてコンサート組は一度部屋に戻って着替えることに。
「それで、俺たちはどうする?」
悠がココアとリゼに尋ねると、リゼは
「まず自転車をレンタルしてこないとな!」
「リゼちゃん、場所わかる?」
「任せろ!すでに下調べしてあるんだ!——まず、ここで自転車をレンタルして、それから——」
用意周到なリゼに悠は「サイクリング、どれだけ楽しみにしてたんだよ」と心の中でツッコミを入れた。
「不安だから一応地図持って行く。ちょっと部屋まで取りに戻るよ」
「わかった」
悠はリゼに確認をとって部屋に向かうと、シャロの部屋が慌ただしい。
「大丈夫か?」
悠が扉の開いた部屋を覗くと、シャロとチノが出てくる。
「悠!聞いてよ!」
「悠さん!ちょっと聞いてください!」
「なんだ、なんだ!?」
シャロとチノに囲まれて困惑する悠に、チノと奥から出てきた千夜がいう。
「千夜さんがドレス持ってなくて、シャロさんのを貸したんですけど——」
「胸のところがキツくて——ちょっとこれは厳しいかな……」
「あんたの胸をこの圧縮袋に入れてやるわー!!」
「シャロ!?落ち着けー!」
ぬいぐるみティッピーが入れられていた圧縮袋を取り出し、千夜の胸を中に入れようとするシャロを悠が止める。
「悠、遅かったな。大丈夫か?」
「あ、ああ……」
ロビーでリゼとココアが出迎えてくれる。
「悠くん、出発前からお疲れ!?」
「いろいろあったんだよ。さあ、サイクリングに行こうか」
街に出ると、朝の通勤時間帯は過ぎているはずだが、人通りが多い。日差しは強くなってきているが、時折涼しい風が体を冷却してくれる。
「ほら急ぐわよ!千夜!」
「ま、待ってぇー……」
のんびりホテルの外を歩くサイクリング組をコンサート組が慌ただしく追い抜く。
「はぁ……間に合う気がしないです」
「チノ、どうしたんだ?」
「結局、千夜さんのドレス、胸のサイズが合わなくてデパートに行くことに——」
「お、おう……」
巻き込まれるチノに思わず同情してしまう。
自転車をレンタルできるところに到着した。
「私の自転車さばきを見せてあげるよ!」
「ほほう……ぜひ見てみたいものだ」
自慢げにいうココアと、「受けて立つ!」とでも言いたげなリゼを置いて、悠は先に自転車を取りに行く。
だが——。
「自転車、2台しか空きがないってさ〜」
悠がココアとリゼにそういうと、リゼは「それなら——」と前置きしてからいう。
「ここは公平に、ジャンケンで決めよう!」
「よーし!」
リゼの言葉にココアが腕を巻くる。
ジャンケンの結果——ココアと悠はパー、リゼがグー。リゼの負けだ。
——この後、リゼはジャンケンを提案したことを激しく後悔することになった。