ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第二百四十話 サイクリングはリゼを乗せて

「ちょっと待てー!!?」

 

レンタルした2台の自転車を見てリゼが叫ぶ。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「リゼちゃん、さっき私の自転車さばき見たいって言ってたから、私はこっちの自転車に乗るね〜!」

 

ココアが乗った自転車は、前二輪の三輪車で、前に人が乗れるサイズの大きなカゴがついており、側面にはかわいい猫や花のイラストが描かれている。

 

 

「さあ、出発だよー!」

 

とココアが号令をかけるが、

 

「これ、本当に私が乗るのかー!?」

 

出発を渋るリゼ。ココアは

 

「仕方ないでしょー自転車2つしかないんだから!」

 

と半ば強引にリゼを前のカゴに乗せると、ゆっくりと自転車を漕ぎ始める。

 

 

「ぷっ……笑って事故起こしそうになるな……」

 

悠がクスクスと笑いながらココアの隣で自転車を漕ぐ。

ココアが前に乗っているリゼを見て微笑みながら

 

「どうだい、私の運転は〜」

 

というと、リゼは顔を赤くしたまま

 

「恥ずかしいから早く漕げー!!」

 

と叫ぶ。

前のカゴに乗ったリゼは、体育座りしているせいもあってかなり滑稽だ。

 

 

「次、俺と交代してくれ」

 

「悠くんもリゼちゃん乗せたくなったんだね!」

 

交代に前向きなココアと、

 

「悠!お前、絶対遊ぼうとしてるだろ!」

 

と暴れるリゼ。

 

「リゼちゃん、動いたら危ないよ〜」

 

「うぅ……」

 

ココアに言われて落ち着くリゼ。

 

 

「おーいリゼ、この辺で少し休憩できる場所ないか、地図で見てくれ」

 

「くっ……私をナビ代わりに使うつもりか!」

 

カバンに入っていた地図をリゼに投げると、キャッチして渋々と地図を広げる。

 

 

 

 

「はぁ……ひどい目にあった——。な、なあ、もう一回ジャンケンしないか?」

 

賑わう喫茶店でリゼがココアと悠に尋ねる。

 

「次は俺がリゼを乗せる番だ。順番を守れ」

 

「どんな順番だよ!?」

 

悠の言葉に怒鳴るリゼをココアが「まあまあ」となだめる。

 

「旅はまだまだだよー!みんなで美味しいパフェを食べて疲れを癒そう!」

 

そう言って、ココアは買ってきたパフェをテーブルに置く。

 

「ありがとう、ココア。何気に一番疲れてるだろうに——」

 

悠がパフェを買ってきてくれたココアに礼をいうと、ココアは

 

「大丈夫大丈夫、お姉ちゃんに任せなさい!」

 

と笑う。

 

 

 

 

 

 

「さあ!続きと行こうか!」

 

「いえっさー!」

 

「最悪だ……拷問だ……」

 

悠の掛け声にノリノリなココアと、全くノリノリでないリゼ。

今度リゼを乗せるのは悠だ。

 

 

「ほら、戦車長と同じだよ。車長は自分で戦車操縦しないだろ?」

 

落ち込むリゼに適当なことを言ってごまかす悠。

 

「お前……詳しいんだな。そうさ、私は戦車長——」

 

自分を無理やり納得させるリゼに苦笑いしつつ自転車を漕ぎ始める。

 

 

 

「見てみて悠くん!立派な建物だねー!」

 

「そうだなー。でもあんまりよそ見するなよ」

 

「わかってるよ〜」

 

「————」

 

楽しそうなココアと悠。リゼはそろそろこの状態に慣れてきたようだ。

 

「おっ、リゼ、そろそろ慣れてきたか?よし、そこで自転車レースと行こうか!」

 

「なにー!?」

 

「楽しそー!」

 

驚くリゼと悠に便乗してはしゃぐココア。

 

 

 

「悠くんはリゼちゃんハンデ抱えてるから、ちょっと前からスタートね」

 

「ハンデいうなー!」

 

「こらリゼ暴れると真っ直ぐ進めないぞ!」

 

「あーもう……」

 

 

 

「ココア……腕を上げたようだな」

 

「ふっ。悠くんの方こそ——。お姉ちゃん、次は本気出すからね」

 

「臨むところだ」

 

「目が回る……三半規管が——」

 

ノリノリな2人とは裏腹に、リゼは目を回してぐったりとしている。

 

「私は乗り物酔いしないと思っていたが——」

 

ここまでかなり激しく運転してきた。目が回るのは無理もないだろう。

 

 

 

ホテルに帰る頃には、リゼはすっかりボロボロになっていたとさ。

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