ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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今回少し長めです。


第二百四十五話 お風呂トラブル

その日の晩——。

 

 

「ギャァァァァァ!!!」

 

ココアの奇声がホテルに響いた。

 

「ココアちゃん!?」

 

千夜がココアの部屋へ走る。悠やリゼも何事かと後を追う。

 

「ココア?大丈夫か?」

 

悠が扉をノックすると、バスタオルを巻いたココアが出てくる。

どうやらお風呂に入っていたようだ。

 

悠は反射的に目を掌で覆う。

 

「水!お湯なのに水が出るの!!」

 

「とりあえず服を着ろ」

 

「そっち!?」

 

ココアの珍発言にツッコミを入れず、自らの視界を塞ぐ悠にリゼが反応する。

 

 

 

「支配人に抗議しに行ってくる」

 

ひとまずココアに服を着させ、悠は支配人がいるであろうロビーへ向かう。

 

「悠さん、ココアさん大丈夫でしたか?」

 

「ああ、どうやらお風呂からお湯が出ないらしい」

 

心配そうにしているチノの頭を撫でる。

 

「ま、そういうこともあるわよね」

 

「扉壊れて閉じ込められるくらいですし……」

 

冷めたシャロとチノの反応に悠が「非常事態に順応してる!」とツッコミを入れる。

 

 

支配人に事情を話すと、

 

「修理を呼んだので明日まで待ちなさい」

 

「開き直った!?」

 

 

「どうしよー!まだ体洗えてないよー!」

 

泣き喚くココアにリゼが

 

「この近くにスパがあるらしい。みんなで行こう!」

 

と提案する。

 

「サイクリングしたときに見つけたんだ」

 

「気がつかなかった」

 

「私もだよ〜」

 

リゼの言葉に首を傾げる悠とココアにチノが

 

「一緒のルートじゃなかったんですか?」

 

と尋ねると、リゼが「なにも詮索するな……」と目を瞑る。

 

 

 

 

 

「と、いうわけでスパに来たわけだが——水着あるのか?」

 

悠が今更な質問をすると、シャロが

 

「レンタルできるみたいよ」

 

と答える。

 

「どうせ1度しか着ないし、周りも知らない人ばかり——普段着ない水着を着てみない?」

 

ココアが謎のドヤ顔で一同に提案する。

 

「ってもな……男の水着なんてそんな種類ないだろ」

 

悠が頭をかきながらつぶやくと、千夜が「そうだわ!」と何か閃いた様子で水着を選ぶ。

 

「悠くん、これなんかどうかしら」

 

「スクール水着じゃねえか!誰が着るか!しかもそれ女子用!」

 

「あら、残念」

 

「千夜はなにを企んでるんだ!?」

 

心底残念そうな千夜に悠が震える。

 

 

 

 

「では、悠さんはここで待っていてください」

 

「覗くなよ!」

 

「へいへい……」

 

チノとリゼに言われ、適当なベンチに座って待つ。

 

「悠くん!私たちの水着姿を評価してね!」

 

「えー!?」

 

ココアの発言に思わず驚いてしまった。評価と言われても困るのだが……。

 

 

 

しばらくして、シャロと千夜が出てきた。

 

「いつもと違う色にしてみたわ。どうかしら?」

 

シャロのイメージカラーはオレンジだが、今回の水着は緑だ。

そして千夜もイメージカラーは緑だが、今回の水着はオレンジだ。

どうやら、2人で色を交換したらしいが、意外性は薄い。また、2人ともポニーテールだ。

 

「うーん、あまり新鮮な感じはしないな」

 

「100点満点中いくら?」

 

シャロが点数を聞いてきた。

 

「60点くらいかな」

 

「悠くんはあまりこういうタイプではないのね……」

 

「千夜、なにをメモしてる!?」

 

 

 

次に出てきたのはココア。

 

「じゃーん!私は今回思い切って見たよー!」

 

大人っぽいワインレッドの水着だ。スカートの左についているリボンが特におしゃれだが——本音を言うと、隙間から見えそうで目のやり場に困る。

 

「ギャップ萌えはしたが背伸びしすぎだ——50点」

 

悠の言葉に「厳しい!」と目を><にするココアだが、すぐにリゼを連れてくる。

 

 

「ふふふ……悠くん、ここで真打ちの登場だよ!リゼちゃん出ておいでー!」

 

ココアがリゼの腕を引っ張るが、リゼは一向に出てこない。

 

「やめろー!!私はこういうの苦手なんだ!悠!期待するなよ!」

 

「そう言われると期待する」

 

「期待するな!」

 

そう言って出てきたリゼの姿を見て悠が思わず口元を抑える。

明るい色のフリフリな水着を着て、さらにお団子ヘアーのリゼは、あまりのギャップ萌えに目を疑ってしまう。

 

「なんだかんだでノリノリじゃないか!」

 

「点数にすると?」

 

ココアが自信満々に尋ねてくる。

 

「あまりの変わりように驚いた。70点」

 

「そんな……ここまでしても悠くんには敵わないのね……!」

 

千夜が崩れ落ちる。

 

「そんなこと言われてもね……」

 

結局、いつもの格好が一番似合っているような気がする。

 

 

 

「まだだ!まだ最終兵器が残っている!」

 

リゼがそう言ってチノを呼ぶ。

 

「なんか、落ち着きませんね……」

 

少し顔を赤らめて出てくるチノに悠が思わず心臓を抑えてしまう。

 

「死にそう」

 

「威力高すぎた!?」

 

心臓を抑える悠にリゼがツッコミを入れる。

 

「これはもはや最終兵器というより大量破壊兵器だ……」

 

「採点は!?」

 

「まずポニーテールで100点、そしてフリフリの可愛い水着で400点、合計500点」

 

「満点オーバーした!?」

 

髪型だけで満点を超す結果にリゼがツッコミを入れる。

圧倒的な点数差にシャロと千夜が不満をぶつける。

 

「審査が偏ってるわ!私たちもポニテなのに!」

 

「再審を要求します!」

 

悠の肩を揺さぶるシャロと千夜に、リゼが

 

「もう早く行くぞ」

 

と告げた。

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