ご注文は家出人ですか?   作:Alkali

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第三十二話 職業体験

ある日。チノが衝撃発言を行い、店内は騒然とした。

 

 

「明日から3日間、甘兎庵で働きます」

 

「——えっ?なんて?」

 

悠が思わず聞き返すと、

 

「ですから、明日から3日間、甘兎庵で働きます!!」

 

「「「「えーっ!!!?」」」」

 

一気に店内がざわつく。

 

「チノ……千夜に何を吹き込まれたんだ!?」

 

「洗脳か!あの和菓子馬鹿——よくもチノに……」

 

リゼと悠がチノを揺さぶって正気を疑う。ココアとティッピーはフリーズしている。

 

「大げさです。3日間、職業体験に向かうだけですよ」

 

「なんだ——」

 

 

 

そうして、3日間チノがいないラビットハウスになってしまった。

 

「今頃チノは甘兎庵で働いているのか」

 

「どうするココア、千夜に影響されて——『今日から抹茶派です。コーヒー派に宣戦布告です。』なんて言いだしたら」

 

「ヴェアアアア!!チノちゃんとられるー!!!」

 

ココアとティッピーは倒れた。

 

「ただの中学の職業体験だろ。3日間だけだし」

 

とリゼが言う。

チノの代わりにラビットハウスにやってきたのは——。

 

「マヤはこんな代わり映えしない職場で良かったのか?」

 

リゼが聞くと、マヤは嬉しそうに

 

「ここ慣れてるから楽なんだ〜!」

 

と言う。

 

「甘い!大切な授業の一環だろ!厳しくいくぞ!」

 

とリゼが説教するが、すぐにマヤは表情を変えて

 

「あのね……本当はここで働いてるチノが羨ましくて。私が代わりをしたかったの……」

 

と上目遣いで言ってくる。もちろんデタラメだろうが、ココアには効果抜群だ。

すぐに、

 

「厳しくしちゃダメー!」

 

とマヤをかばう。

 

 

 

「はぁ……」

 

「どうしたの?」

 

悠が窓の外をぼーっと眺めながらため息をつくと、マヤが聞いてくる。

 

「チノがいないとやる気でない」

 

「そんなに!?」

 

「デレデレじゃないか!真面目に働かないと承知しないぞ」

 

リゼが悠に言うが——

 

「客いないんだからいいだろ——」

 

そう、ラビットハウスは相変わらず客がいない。

 

 

「でも気持ちわかるなぁ!チノちゃん、今頃千夜ちゃんと楽しそうにやってるのかな〜」

 

ココアがフォローに入る。

 

マヤの頭に乗っていたティッピーがこちらにやってきた。

そして小声で悠に言う。

 

 

「これ小僧。ちょっとチノに電話してくれないか?」

 

「過保護なじいさんだな——わかったよ」

 

 

ティッピーと廊下に出て、電話のダイヤルを押す。もちろんチノの番号だ。

 

「チノか。敵地の様子はどうじゃ?」

 

ティッピーが深刻な顔で言う。すると、困惑したチノの声が聞こえた。

 

『どう、と言われても——何を報告すればいいんですか?』

 

今度は、年老いた女性の声が。——千夜のおばあちゃん!

 

『あんたよく見ると仏頂面があのじじいそっくりだねぇ』

 

「ババアの声!大きなお世話じゃ!」

 

ティッピーが言うが、おそらく向こうには聞こえていない。

 

「ちょ、ティッピー変われ。——おいチノ?もしもし?大丈夫か!」

 

電話の向こうからはチノがテンパっている声がする。

しばらくしてチノの声がうっすらと聞こえた。

 

『美味しい——なんて優しいおばあちゃん!』

 

「ダメだチノが洗脳されてる!」

 

悠がティッピーにそう言うと、ティッピーはこの世の終わりを見たような顔で

 

「ダメじゃチノ!食ったら虫歯になるぞ!チノ!聞いているのか!チノ!」

 

と叫ぶ。が、応答はなく、そのまま電話は切れた。

どの組み合わせがお好きですか?

  • ココア × 悠
  • チノ × 悠
  • リゼ × 悠
  • 振り回され隊 × 悠
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