「悠さんって文系の教科得意ですか?」
夕食の片付けが終わり、一段落した頃チノが悠に問いかけた。
「ああ、理系も文系もまあまあって言ったところか」
「文系だとココアさんが頼りないので、教えていただけますか」
「いいよ」
どうやらココアは文系が絶望的という。
勉強全般が出来なさそうな雰囲気をしているが、どうやら理系は得意らしい。
そんな話をしながら、チノの高校入試の対策は進んでいく――。
「――それで、徳川慶喜は朝廷に政権を返した。これが大政奉還ってやつだ」
「すごいです、みるみる問題が進んでいきます!」
里恵はチノの部屋にあったパズルに夢中だ。これ以上ないくらい集中している。
「あの……確か悠さんって高校生でしたよね。学校はどうするんですか?」
「俺もそのことは困っていてな。まあ自分で勉強して高卒資格とればいい話なんだけど……。お金もないし」
「いいんですか、高校生活って貴重ですよね」
「まあ、そうだけど、俺はラビットハウスで働いてるほうが楽しいさ。それに――」
この街はとてもきれいで温かい街だ。
もともと住んでいた薄汚くて冷たい都会とは違い、何もかもが生き生きとしている。
――すべてが輝いているのだ。
「――?」
「いや、なんでもない。とにかく俺のことより問題集進めていこうぜ」
「――はい。あっ、明日は休日ですし、街の案内もかねてココアさんが割ったカップを買いに行きたいと思います」
「何してるんだあの人は……」
ココアらしいといえば人聞きがいいかもしれないが、ラビットハウスは客も少ない喫茶店、カップの補充にお金を使っていたら破綻するのではないだろうか。
そして翌朝。シンプルな朝食を取り終えて、早々に出かける支度を済ませる。
「この場所、とても眺めがいいんですよ」
最初に連れてこられた場所は、丘の上にある見晴台だった。
この辺にカップを売っている場所があるらしい。
「空気が澄んでて気持ちいい!」
「あ、あの……悠さんはここの坂で自転車の練習しようとか言い出さないんですね。ちょっと安心しました」
「この坂で何があったんだ!?」
どうせまたココアが無理難題を押しつけてチノを振り回したのだろう。
そんなことを思ってると、目的地である店の前に着いた。
「ふぁぁ……このForme……」
「おい、なんかやべえ奴がいるぞ……」
店に入るとカップをなでながらにやけている明らかに「アレ」な人がいた。
「あ、シャロさん」
「なんだ、知り合いだったのか」
ココアの知り合いはともかく、チノの知り合いでアレな人がいるとは、ちょっと驚きだった。
「チノちゃん……?その人はまさか――」
「うちの新人さんです。ココアさんから聞きませんでしたか?」
「あ、ああ、そういえばココアがそんなこと言ってたわね」
「七瀬悠です。あと、妹の里恵です」
「私は桐間紗路です。フルール・ド・ラパンで働いてます」
お互い軽く自己紹介をして、この店の話題へ――。
「またココアが割ったのね……」
「はあ……これで何個目でしょうか」
何やら深刻な話をしているようだが、俺と妹はマイカップをどれにするかで必死だ。
「あっ、ティッピーをこれに入れてみたらどうだろう?」
妹が持ってきたのは、大きめのカップ。――カップというよりどんぶりに見える。
「なんだかココアさんみたいです」
チノが微笑んだ。気のせいか、店内がまぶしくなったような気がする。
「悠さん、このあとちょっと寄っていきたい場所が――。できればシャロさんも来てほしいです」
なんだろうと思いつつ、承諾した。シャロも一緒に行くことになった。
「文房具屋なんですけど、学校の友達と見つけた穴場なんです。流行りのものとか置いてあるんですよ」
「えー!そうなの!?私も行きたい!」
里恵がさっそく食いつく。正直このテンションについていけない。
「なんか、今日のチノちゃんいつもより子供っぽい……」
シャロが隣でぼそっとつぶやいた。
「確かに。チノさんって結構大人びてるというか、あんまりそういうの興味なさそうだと……」
そして、話題の文房具屋に到着。
チノと里恵はシャロに流行の品の説明を受けていたが――。
「なんだこれは――なんの暗号なんだ」
「何に使うんだよそれ!?」
「て、天ぷら?」
このように、何一つこの暗号を理解することはできなかった。
「使い勝手悪そうだな……。もっと機能性で選べばいいのに」
「悠さんはリゼさんと相性よさそうですね」
「え!?」
なぜか真っ先に反応したのはシャロだった。
「そ、そんな……リゼ先輩……」
「なんだ、リゼさんと知り合いの方だったんですね」
「ああ……リゼ先輩……」
「ダメだこりゃ」
それから、会計を済ませてラビットハウスへ帰ることに。
「こんな洒落たシャーペンなんて初めて買ったかも……」
「みんなでおそろいだね!」
最後に、みんなでおそろいのシャーペンを買ったのだが、正直これを学校で使ったら公開処刑されそうだ……。
ってもう学校はない、のか――。
「あ、ココアさん」
「あっ、みんな!これからみんなでスパゲッティ食べに行くんだけど、どうかな?」
ラビットハウスの前にココアがいた。
多分、誘うために戻ってきたのだろう。
「賛成~!」
「さすがは我が妹だね~もふもふ」
妹が食いつくと案の定ココアが抱きつく。
この人は定期的に抱きつかないと気が済まないのか。
――こうして、結局ココアと合流してスパゲッティを食べに行くことになった。
想像以上に長くなってしまった……。
次回か、次々回くらい、かなりシリアスになっていくと思いますので、今のうちにもふもふ成分蓄えておいてください!
観想とか残して言ってくれると大変喜びます……。((
どの組み合わせがお好きですか?
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ココア × 悠
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チノ × 悠
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リゼ × 悠
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振り回され隊 × 悠